ブレグジット後のイギリス
―― 漂流する連合王国
2020年6月号
国際社会におけるイギリスの例外的役割は何か。イギリス外交をこれまで規定してきた「ヨーロッパやアメリカとの関係」は「ブレグジット」そして「欧州との関係を軽視するドナルド・トランプ米大統領の登場」によってさらに不透明化している。問題は「もはやアメリカとイギリスが特別な関係にないこと」ではない。壮大な戦略プロジェクトを共有していないことだ。それでもイギリスは、テロとの戦いにおける長い経験を持ち、経済開発の領域でも大きな貢献をしてきた。かなりの軍事大国であり、ヨーロッパでそれに比肩する軍事力を持つのはフランスだけだ。パワーバランスが変化し続け、破壊的な行動が日常化しつつある。このような世界で、イギリスが貢献できることは数多くある。しかしそのためには、独立国家としての限界を受け入れ、ユニークかつ例外的な役割探しを断念する必要がある。・・・
