ヒンドゥー至上主義とイスラム教徒
―― アルカイダはなぜインドに目を付けたか
2014年11月号

2014年9月初旬、アルカイダの指導者アイマン・ザワヒリは、「インドにジハードの旗を揚げる」と表明した。この意外な戦略には伏線がある。2014年の総選挙で、(西洋近代文明やイスラム教に批判的で、ヒンドゥー教徒が唯一卓越性を持つとする)ヒンドゥー至上主義を唱えるインド人民党(BJP)が勝利し、これまで反イスラム主義的な発言をしてきたナレンドラ・モディが首相に就任したからだ。BJPのヒンドゥー至上主義を基盤とする好戦性をモディが抑え込まなければ、新たに不満を抱いたイスラム教徒が、すでにアルカイダと協力している過激派組織に加わるケースが今後増えていくかもしれない。モディがヒンドゥー至上主義路線を貫き、イスラム教徒がインドの経済・文化から疎外されていると感じれば、過激主義を支持するインドのイスラム教徒が増え、イスラム原理主義台頭のポテンシャルは高まっていく。