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2026.2.10 Tue
ロシアの重苦しい現実
―― オーウェル的関心社会
モスクワは、恐怖と不安を蔓延させることで、多くのロシア人を沈黙させるだけでなく、互いを黙らせるように仕向けている。そして、「伝統的な価値の保存」を命じる大統領によって、実質的に西洋文明を構成するすべての要素が拒絶されている。・・・(フルシチョワ)
ほとんどのウクライナ人は、「ロシアに支配される」という恐怖と比べれば、戦い続ける方がはるかにましだと考えている。さらに、ロシアが武力によって奪った広大な土地を占領・支配し続けるのを許すのは、あらゆる国際規範に反するだけでなく、世界の安定にとっても危険であることを理解すべきだろう。(グメニュク)
モスクワは戦闘経験を蓄積・分析し、そこから得た教訓を軍および国防エコシステム全体に拡散している。戦時経験を体系的に把握し、制度に組み込むとともに、戦後の軍改革につなげようとしている。AI意思決定システムとAI搭載兵器をどのように実戦配備するかの検討もすでに開始している。(マシコット)
ロシアのオーウェル的監視社会
―― 戦争と『1984』
2026年2月号 ニーナ・フルシチョワ ニュースクール大学 教授(国際関係学)
ロシアでは何が禁止され何が許されているのか、誰も正確に把握していない。それでも、この4年間であらゆる規制が拡大された。モスクワは、恐怖と不安を蔓延させることで、多くのロシア人を沈黙させるだけでなく、互いを黙らせるように仕向けている。そして、「伝統的な価値の保存」を命じる大統領によって、実質的に西洋文明を構成するすべての要素が拒絶されている。政府の批判派は外国のエージェントとみなされ、弾圧される。この状況のなかで、政治家も市民も、集団的狂気に駆られたかのように抑圧的な規則を次々と生み出している。
ウクライナ戦争は続く
―― ロシアに対する恐怖
2025年4月号 ナターリヤ・グメニュク ジャーナリスト
ロシアによる占領がウクライナ民衆に与えている複雑で強烈な影響を理解する必要がある。実際、ほとんどのウクライナ人は、「ロシアに支配される」という恐怖と比べれば、戦い続ける方がはるかにましだと考えている。さらに、ロシアが武力によって奪った広大な土地を占領・支配し続けるのを許すのは、あらゆる国際規範に反するだけでなく、世界の安定にとっても危険であることを理解すべきだろう。もちろん、NATOやEUへの加盟の道筋、欧米からの兵器と復興資金など、条件さえ整えば、停戦合意を検討できるかもしれない。だが、ロシアの持続的な脅威を封じない停戦が成立しても、恒久的な平和と安定は幻想のままだろう。
再生したロシア軍
―― 戦闘経験から学習・応用へ
2025年11月号 ダラ・マシコット カーネギー国際平和財団 シニアフェロー
2022年にウクライナ侵攻を開始した当時、ロシア兵たちは与えられた任務に必要な訓練さえ受けていなかった。そもそも戦争で戦うことさえ知らされていなかった。指揮系統も正常には機能しなかった。だが、もはや、当時を前提に状況を捉えることはできない。すでにロシア軍は学習組織への変貌を遂げている。モスクワは戦闘経験を蓄積・分析し、そこから得た教訓を軍および国防エコシステム全体に拡散している。戦時経験を体系的に把握し、制度に組み込むとともに、戦後の軍改革につなげようとしている。AI意思決定システムとAI搭載兵器をどのように実戦配備するかの検討もすでに開始している。


