Juan Alejandro Bernal / Shutterstock.com

2026.2.20 Fri

ミャンマーは中国の勢力圏に
―― 中国の目的は何か

ミャンマーにおける核心的な問題は、中央の軍事政権あるいは亡命政権のどちらが国家統一を回復できるかではなく、北京が永続的な国家分断の上に築いたシステムを維持できるかどうかにある。北京は軍事政権だけでなく、各地の有力な武装勢力とも直接的な関係を築いている。(ティハ)

ミャンマーの安定回復と中国との友好関係の促進を強調しつつも、北京は、崩壊寸前の軍事政権を支えつつ、少数民族武装勢力を自国の影響下に取り込む一方で、欧米との結びつきが強いとみている民主派勢力を排除している。現実には、中国はミャンマーのカオスのなかにチャンスを見いだしている。(イェ・ミョー・ヘイン)

「米中のどちらかを選んでいる」という自覚はないのかもしれないが、東南アジア諸国の多くが、アメリカから離れて、中国へ傾斜しているのはいまや明らかだろう。しかし、そのパワーを北京がどのように使うかをめぐって、地域諸国が大きな懸念をもっているのも事実だ。(コン、リウ)

ミャンマーは中国の勢力圏に
―― 不安定な均衡はいかに形成されたか

2026年3月号 アマラ・ティハ スティムソン・センター 中国プログラム 非常勤フェロー

ミャンマーにおける核心的な問題は、中央の軍事政権あるいは亡命政権のどちらが国家統一を回復できるかではなく、北京が永続的な国家分断の上に築いたシステムを維持できるかどうかにある。北京は軍事政権だけでなく、各地の有力な武装勢力とも直接的な関係を築いている。あらゆる勢力と友好関係を築くこの戦略の目的は、中国にとって重要な物質的利益、つまり、ミャンマーの重要鉱物資源へのアクセス、そしてインド洋への陸上輸送ルートの確保することにある。

ミャンマーを操る中国の二重戦略
―― 地域覇権を狙う北京の分断戦略

2025年6月号 イェ・ミョー・ヘイン 東南アジア平和研究所 上級フェロー

ミャンマーの安定回復と中国との友好関係の促進を強調しつつも、北京は、崩壊寸前の軍事政権を支えつつ、少数民族武装勢力を自国の影響下に取り込む一方で、欧米との結びつきが強いとみている民主派勢力を排除している。現実には、中国はミャンマーのカオスのなかにチャンスを見いだしている。崩れかけた軍事政権を支えることで影響力を強化し、武装抵抗勢力の連帯を切り崩して、その一部への影響力を拡大して欧米の影響力を抑え込んでいる。軍事政権による統治が続き、国内が分断されたままであれば、中国にとって、ミャンマーをより管理しやすい状態に保てるからだ。実際、ミャンマーを弱体化した状態にとどめることが、中国が絶対的な地域覇権を確立する前提条件なのだ。

東南アジアの選択
―― なぜ中国に傾斜しているか

2025年8月号 ユエンフォン・コン シンガポール国立大学 公共政策大学院 教授 ジョセフ・チンヨン・リウ 南洋理工大学 教授

「米中のどちらかを選んでいる」という自覚はないのかもしれないが、東南アジア諸国の多くが、アメリカから離れて、中国へ傾斜しているのはいまや明らかだろう。しかし、そのパワーを北京がどのように使うかをめぐって、地域諸国が大きな懸念をもっているのも事実だ。実際、この地域のエリートを対象とする調査で「誰を信頼しているか」という問いで、第1位に選ばれたのは日本で、中国は4位だった。流れは中国にあるとしても、北京が地域諸国の懸念を和らげ、信頼を勝ちとるには、まだ、やるべきことが多く残されている。だが、2期目のトランプ政権の政策が、北京がこの課題を克服するのを容易にするのかもしれない。

Current Issues

Focal Points アーカイブ

Focal Points

過去のトップページ特集

Focal Points アーカイブ

最新のSubscribers' Only公開論文

デジタルマガジン

本誌最新号紹介

2026年2月号(2026年2月10日発売)

Contents

  • 米同盟諸国の苦悩
    アメリカ後の選択肢を求めて

    フィリップ・H・ゴードン、マーラ・カーリン

  • 米中の大いなる取引を
    関係リセットの条件

    呉心伯

  • 体制変革と歴史の教訓
    イラン、ベネズエラ、ガザ

    リチャード・ハース

  • トランプ政治の恐るべき現実
    米民主主義の復活はあり得るか

    スティーブン・レヴィツキー、ルーカン・A・ウェイ、ダニエル・ジブラット

  • 追い込まれた民主主義
    非自由主義インターナショナルの台頭

    ニック・チーズマン、マティアス・ビアンキ、ジェニファー・シール

  • 中国のニューフロンティア戦略
    米中競争の核心

    エリザベス・エコノミー

  • ロシアのオーウェル的監視社会
    戦争と『1984』

    ニーナ・フルシチョワ

  • トルコ帝国の幻想
    大いなる野望、ぜい弱なパワー

    アスリ・アイディンタスバス

他全8本掲載

Page Top