2026.2.24 Tue
<3月号プレビュー>
変化した潮流にどう向きあうか
ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。(ウォルト)
中国は、アジア太平洋の覇権を握るという野望を実現する上で、日米同盟が最大の障害であることを理解している。経済的にレジリエントで、外交的に活発で、軍事能力の高い日本なら、台湾を孤立させ、近隣諸国を威圧し、アメリカがこの地域に関与するコストを引き上げる北京の計画を損なうことができる。(ブルメンタール、クイケン、シュライバー)
北京は、「ドナルド・トランプほど台湾に無関心で、台湾海峡に軍事介入してくる可能性が低い米大統領は今後現れない」と確信している。だが、2026年11月の中間選挙で民主党が米議会を制し、トランプ支持派の勢いが衰えれば、この見通しも変化してくるかもしれない。(サン)
トランプ戦略の末路
―― 主要国の反発と拒絶
2026年3月号 スティーブン・M・ウォルト ハーバード大学ケネディ・スクール 教授(国際関係)
ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。対米依存を減らす努力をする国もあれば、アメリカのライバルと新たな取り決めを結ぶ国もあるだろう。そして相当数の国が、アメリカの利己的な行動へ報復する機会を待ち望むようになるだろう。結局、世界的な反発が高まり、ワシントンの主要なライバルにとって魅力的な機会がもたらされる一方、アメリカの安全、繁栄、影響力は低下していくだろう。
日本を一人にしてはいけない
―― 中国のアジア太平洋覇権を阻むには
2026年3月号 ダン・ブルメンタール アメリカン・エンタープライズ研究所 シニアフェロー マイク・クイケン スタンフォード大学フーバー研究所 特別客員研究員 ランドール・シュライバー 元米国防次官補
日米は重要な岐路に立たされている。東京が、中国との長期にわたる対立に備えて大胆な措置をとり続けるなか、ワシントンのコミットメントは揺らいでいる。東京は難しい部分をこなしてみせた。今度はワシントンが立場を強化しなければならない。中国は、アジア太平洋の覇権を握るという野望を実現する上で、日米同盟が最大の障害であることを理解している。経済的にレジリエントで、外交的に活発で、軍事能力の高い日本なら、台湾を孤立させ、近隣諸国を威圧し、アメリカがこの地域に関与するコストを引き上げる北京の計画を損なうことができる。アメリカは、日本と同盟国にとって台湾有事は存立にかかわるという高市の発言を支持して、同盟国と共にあることを示す必要がある。
台湾に迫り来る嵐
―― 北京を行動に駆り立てる複合要因
2026年3月号 ユン・サン スティムソン・センター 中国プログラム・ディレクター
台湾を巡る習近平の決断を左右する最大の要因は、アメリカが介入してくるかどうかだ。そして北京は、「ドナルド・トランプほど台湾に無関心で、台湾海峡に軍事介入してくる可能性が低い米大統領は今後現れない」と確信している。だが、2026年11月の中間選挙で民主党が米議会を制し、トランプ支持派の勢いが衰えれば、この見通しも変化してくるかもしれない。トランプ政権の今後、中国の後継プロセスの作用、ロシアのウクライナ戦争、台湾政治の流れからみても、北京は、現状を台湾攻略のチャンスだと考えている可能性がある。


