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2025.9.12 Fri
日本の政治的分裂と危機
―― なぜ機能不全に陥ったのか
問題は、日本の政治的中枢が弱体化していることだ。自民党は内部分裂し、連立相手の支持基盤も揺らぎ、野党にもまとまりがない。一方で、ポピュリストの右派政党が台頭している。日本の統治にとって最大の問題は、権力が分散化し、それによって手詰まり状況が生じていることだ。(ソリス)
「アメリカは、核兵器を含む、あらゆるパワーを用いて、同盟国の領土と主権に対する外からの攻撃を抑止し、必要なら、相手を打倒する」。ワシントンはこの安全保障コミットメントを守れるのか。東京やソウルを守るために(北朝鮮を攻撃して)、アメリカの都市が核攻撃の対象にされるリスクをワシントンは本当に引き受けるのか。(カッツ、ジョンストン、チャ)
歴史的に繰り返されてきた通り、他の諸国は古い大国を見捨てて、新興大国に乗り換え、その衰退を機に団結して対抗する誘惑に駆られている。トランプ政権が同盟国への敵対的な姿勢を継続し、長年のパートナーを侮辱し、経済的に損害を与えるような行動を続けるなら、アメリカの前にあるのは、ますます敵対的な世界になるはずだ。(マクミラン)
日本の政治的分裂と危機
―― 欧米政治の二の舞を避けるには
2025年10月号 ミレヤ・ソリス ブルッキングス研究所 東アジア政策研究センター長

トランプが世界の貿易システムを覆し、同盟国にもっと国防を強化するよう促し、アジアにおける米軍のプレゼンスを見直すことを検討するなか、日本はアメリカとの関係を再定義していく必要がある。問題は、日本の政治的中枢が弱体化していることだ。自民党は内部分裂し、連立相手の支持基盤も揺らぎ、野党にもまとまりがない。一方で、ポピュリストの右派政党が台頭している。日本の統治にとって最大の問題は、権力が分散化し、それによって手詰まり状況が生じていることだ。こうした環境における政治的リーダーシップの欠落が、日本が地政学的な地殻変動に対応するのを難しくしている。
東アジアの新戦略環境と同盟関係
―― 同盟国の不安にどう対処するか
2023年3月号 カテリン・フレーザー・カッツ 元米国家安全保障会議ディレクター クリストファー・ジョンストン 前米国家安全保障会議ディレクター ビクター・チャ 元米国家安全保障会議ディレクター

「アメリカは、核兵器を含む、あらゆるパワーを用いて、同盟国の領土と主権に対する外からの攻撃を抑止し、必要なら、相手を打倒する」。ワシントンはこの安全保障コミットメントを守れるのか。東京やソウルを守るために(北朝鮮を攻撃して)、アメリカの都市が核攻撃の対象にされるリスクをワシントンは本当に引き受けるのか。同盟諸国は疑念を払拭できずにいる。いまや韓国人の70%以上が核武装を支持し、50%以上が米軍の戦術核の再配備を求めている。日本でも80%以上が中国、北朝鮮、ロシアを軍事的脅威とみなしている。不安を募らす東京とソウルを安心させるために、ワシントンはどのように対処すべきなのか。
同盟関係の崩壊と米国の孤立
―― 同盟破壊という愚行
2025年9月号 マーガレット・マクミラン オックスフォード大学 名誉教授(国際史)

現在のアメリカは、イギリスが帝国の全盛期に経験した状況に直面している。世界最大の軍事大国であることは重い負担であり、それもあって、債務が驚くべき水準に膨らんでいる。中国をはじめとする野心的大国は、ますます高額化する軍備競争に資源を投入している。そして、歴史的に繰り返されてきた通り、他の諸国は古い大国を見捨てて、新興大国に乗り換え、その衰退を機に団結して対抗する誘惑に駆られている。トランプ政権が同盟国への敵対的な姿勢を継続し、長年のパートナーを侮辱し、経済的に損害を与えるような行動を続けるなら、アメリカの前にあるのは、ますます敵対的な世界になるはずだ。