米中という二つのリビジョニスト国家
―― トランプと米中関係の試金石
2017年4月号
非自由主義諸国は、民主化を求めるアメリカの大戦略が本質的に現状のトランスフォーメーション(大変革)を重視していることに大きな脅威を感じている。問題は、アメリカの外交エリートたちが、多くの場合この点を認識していないことだ。現実には、アメリカと中国はともに現状の変革を求めるリビジョニスト国家なのだ。ワシントンは今後も民主化を促進すべきだが、より他に脅威を与えない方法を通じて、しかも地域大国とアメリカの関係に戦略的余波が及ばない地域でそれを行動に移すべきだろう。例えば、ワシントンがベトナムとの過度な関係強化を試みれば、中国は、ロシアがウクライナにとったのと同様の行動を、ベトナムに対してみせるかもしれない。ロシアや中国の国境近くへと同盟ネットワークを拡大することや、中ロ国内の民主化を支援することには慎重でなければならない。ワシントンはリベラリズムを促進しつつも、その大戦略が他国をひどく脅かす可能性があることを十分に認識する必要がある。