1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

パンデミック後の日本
―― 世界の労働者と留学生は日本を目指す

2020年9月号

ファーラー・グラシア  早稲田大学教授(社会学)

アメリカへの移民の流れは今後か細くなっていくかもしれないが、一方で、移民を受け入れ、多様性、ダイナミクス、新しい才能という移民がもたらす社会的恩恵を引き出す国も出てくるだろう。そして日本ほどこの流れから大きな恩恵を引き出せる国もない。社会的に安全で安定しているし、失業率も低く、より多くの労働者を必要としている。いまや欧米へのコスト高の留学に前向きでなくなった世界の学生を魅了できる優れた大学もある。パンデミックが経済を破壊し、欧米の大学がかつてのようなアクセスも魅力も失うにつれて、移民や学生の目的地としての日本の魅力と優位はますます際だってくる。この流れが根付けば日本企業だけでなく、日本社会もいずれ世界の一部として統合されていくはずだ。

ワクチンナショナリズムを回避せよ
―― パンデミックを終わらせる国際協調を

2020年9月号

トマス・J・ボリキー  米外交問題評議会 シニアフェロー(グローバルヘルス担当)
チャド・P・ボウン  ピーターソン国際経済研究所 シニアフェロー

開発中の新型コロナウイルスのワクチン候補は160に達し、すでに治験に進んでいるものも21ある。開発国を含む富裕国は、早い段階でワクチンを入手しようとすでに競い合っている。各国の目的は、他の地域でのCOVID19の感染拡大を抑えることではなく、自国市民へのワクチン供給を優先することにある。このような「ワクチンナショナリズム」は、広い範囲で深刻な帰結をもたらす。有効性が確認された最初のワクチンが出現する日が近づいているだけに、グローバルレベルでの公平な分配をめぐる執行可能なシステムを準備する時間はなくなりつつある。先ず短期的な国際合意をまとめる必要があるだろう。国内における重要な公衆衛生上の目的を達成するための目安、つまり、医療関係者などを含めて、ワクチンをどのような職種の人にどの程度接種すべきかについての信頼できる研究があれば、国内人口のすべてにワクチンで免疫をつけさせるという考えを政治家が先送りし、他国とワクチンを共有することに前向きになれるかもしれない。

CFR Briefing
ワクチンの夢とロシアの現実
―― なぜロシアはワクチン開発を急いだか

2020年9月号

ジュディ・トゥイッグ  バージニアコモンウェルス大学政治学教授

ロシア政府は、8月にCOVID19ワクチンの開発に成功し、規制当局がスプートニクVワクチンの使用許可を出したと発表した。欧米メディアは、ワクチン開発を急ぐあまり、ロシアは標準的承認プロセスの重要部分をバイパスしているのではないかと心配している。もっとも、ロシアのワクチン戦略の背後にある政治的インセンティブを理解するのは難しくない。30年前にソビエト崩壊の屈辱にまみれて以降、卓越した大国としての地位を回復するための道筋を模索してきたロシアにとって、100年に一度のパンデミックを克服するワクチンを、特にラテンアメリカやアフリカの低所得国や中所得国をウイルスが襲い始めた段階で提供できれば、1 年前には想像さえできなかった形でロシアの名声を高めることができる。しかし、そのワクチンが宣伝どおりに機能しなければ、内外で名声が失墜するし、その痛手は相当に大きなものになる。プーチンの「スプートニクの瞬間」が科学への信頼を侵食し、ロシア人の生命を奪う、広報上の勇み足であることが明らかになるとすれば、それは悲劇としか言いようがない。

迫り来るグローバル食糧危機
―― コロナウイルスと飢餓の脅威

2020年8月号

デビッド・M・ビーズリー 国連世界食糧計画 事務局長

COVID19が引き起こすパンデミックによって、飢餓状態に追い込まれる人が急増する事態を警戒しなければならない。もちろん、世界の飢餓人口を増大させる最大の要因は紛争であり、飢餓に苦しむ人々の60%が紛争地域に暮らしている。気候変動も人々を飢餓に追いやる大きな要因だ。だが、これらの危機にCOVID19が追い討ちをかけている。「突発的飢餓に陥る人は年末までにほぼ倍増し、2億6500万に達する」と、われわれ国連世界食糧計画(WFP)は予測している。決意に満ちた行動をとらない限り、飢餓や貧困が深刻化し、コストの嵩む、カオティックな時代に直面する危険がある。

解体する米韓同盟
―― 変化するアメリカの国防戦略

2020年8月号

スー・ミ・テリー  戦略国際問題研究所  シニアフェロー

北朝鮮との取引を無謀に模索する一方で、トランプはソウルとの関係に大きなダメージを与えた。北朝鮮の核兵器は手つかずのままだが、ボルトン回顧録が明らかにしている通り、長くアジアにおけるアメリカの防衛戦略の要だった米韓同盟は、トランプが再選されれば、もはや生き残れないかもしれない。米軍は「韓国を守るために」現地に駐留しており、この保護の代価として韓国はアメリカにより多くを支払うべきだとトランプは信じている。ボルトンによると、トランプは、アメリカ政府が部隊派遣からきちんとした利益を確保できるように、同盟国は「コストプラス50%」を支払うべきだと考えている。当然、韓国のアメリカへの信頼はひどく揺るがされており、かつてのような関係に戻ることは、おそらくないだろう。

香港の次は台湾か
―― アメリカは北京の思惑にどう対処すべきか

2020年8月号

マイケル・グリーン  ジョージタウン大学外交大学院 教授(アジア研究) エヴァン・メデイロス  ジョージタウン大学外交大学院 教授(アジア研究)

北京が「アジアの将来における・・・自国の立ち位置を新たに定めようとしているときに」、ワシントンは、香港問題を現地情勢だけでとらえる狭いゲームに自らを押し込んではならない。習近平がリスクテイカーで、紛争も辞さず、領有権の主張にこだわりをもっていることは明らかだし、ワシントンは、台湾への余波を考慮した上で、十分に考え抜いた香港問題への対策をとる必要がある。アメリカは(ヨーロッパ同様に)アジア太平洋地域においても地域的覇権国が支配的優位を確立するのを阻止することをこれまで長く目的に掲げてきた。香港の状況は、この目的を維持していくのが急速に難しくなりつつあることを示している。ワシントンは外交的圧力を通じて、そこに中国に反対する国際的連帯が存在することを知らせる必要があるが、過度に危機意識を植え付けるのを避け、北京がアメリカとその同盟諸国の分断作戦に出ないように配慮する必要がある。

経済活動再開の恩恵とリスク
―― 感染率拡大の国家間格差はなぜ生じたか

2020年8月号

ジョシュ・ミックハウド  カイザーファミリー財団  アソシエイト・ディレクター (グローバルヘルス政策担当) ジェン・ケーツ  カイザーファミリー財団  シニアバイスプレジデント (グローバルヘルス&HIV政策担当)

都市封鎖、行動規制解除後の感染率の推移は国ごとにばらつきがある。感染を封じ込めるほど十分長期にわたって封鎖や行動規制を続け、公衆衛生システムを強化し、レジリエンスを高め、社会にメッセージを適切に伝えた国は、日常生活への復帰後も壊滅的な事態には陥っていない。しかし、大した準備もせずに、経済・社会活動の再開に踏み切り、いまや大きなコストを支払わされているブラジルやアメリカのような国もある。経済・社会活動再開のための最善の計画も、予期せぬ事態に遭遇することもある。各国で、ステイホームの指令やソーシャルディスタンシングのガイドラインがデモ行動で覆されたことはその具体例だ。社会・経済活動再開に向けたロードマップが存在することは安心材料だが、数週間から数カ月先にはそれを書き換える必要が出てくるだろう。

アジアにおける戦争を防ぐには
―― 米抑止力の形骸化と中国の誤算リスク

2020年7月号

ミシェル・A・フロノイ  元米国防次官

中国の積極性の高まりと軍備増強、一方での米抑止力の後退が重なり合うことで、米中戦争がアジアで起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている。アメリカを衰退途上の国家だと確信し、すでに抑止力は空洞化しているとみなせば、北京は状況を見誤って台湾を封鎖あるいは攻撃する恐れがある。早い段階で台湾に侵攻して既成事実を作り、ワシントンがそれを受け入れざるを得ない状況を作るべきだと北京は考えているかもしれない。要するに、北京はワシントンの決意と能力を疑っている。こうして誤算が起きるリスク、つまり、抑止状況が崩れ、2つの核保有国間で紛争が起きる危険が高まっている。

アメリカ社会の分裂と解体
―― 唐突な国家破綻を回避するには

2020年7月号

ダロン・アセモグル  マサチューセッツ工科大学  教授(政治経済学)

白人警察官がアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドを(首を足で押さえつけて)残酷に殺害した事件は、大規模な抗議行動を誘発した。かつて白人至上主義者を「とてもよい人々=very fine people」と呼んだ指導者が、この危機に米大統領として建設的な発言ができるはずはなかった。しかし、多くのアメリカの都市で起きた暴動に対するトランプの反応は、彼の(でたらめな)基準からみても衝撃的だ。デモ参加者を悪者とみなして催涙ガスの使用を促し、デモ対策として国内で軍を配備するための1807年の反乱法を発動することさえ示唆した。トランプが選挙に敗れ、素直にホワイトハウスを去ったとしても、新政権が、トランプをかつてホワイトハウスに送り込んだアメリカ社会の構造的問題に取り組まない限り、うまく修正できないダメージに直面する。(アメリカの制度に対する市民の)信頼を取り戻すには、次の政権は風土的病的な広がりをみせる人種差別と格差に対処していく必要がある。

デジタル人民元とドル
―― 脅かされる米ドルの覇権

2020年7月号

アディティ・クマール  ハーバード大学ケネディスクール ベルファー・センター  エグゼクティブディレクター エリック・ローゼンバッハ  ハーバード大学ケネディスクール ベルファー・センター 共同ディレクター

一帯一路を通じて世界のインフラプロジェクトに資金を提供している北京が、途上国の金融インフラに投資すれば、この構想を補完する「デジタル一帯一路」を構築できるし、中国と大規模な輸出入関係にある企業に、アリペイを使って「デジタル人民元」で取引するように促すこともできる。実際、中国のデジタル通貨を利用できるようになれば、(経済制裁の対象にされても)テヘランはドル建ての取引と決済、そして米金融機関を迂回できるようになる。迫りくる「デジタル通貨の時代」における経済的優位を守るには、ワシントンは直ちに行動を起こす必要がある。競争力のあるデジタル通貨をワシントンが開発できなければ、情報化時代におけるアメリカのグローバルな影響力は大きく損なわれることになるかもしれない。

1 / 23712345...102030...最後 »

Page Top