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論文データベース(最新論文順)

北朝鮮に対する包括的強制策を
―― 外交で脅威を粉砕するには

2018年5月号

ビクター・チャ 元米国家安全保障会議アジア部長 カトリン・フレーザー・カッツ 元米国家安全保障会議 ディレクター(日韓担当)

米朝サミットへの流れは劇的だが、結局は長期的なゲームへと姿を変えるだけかもしれない。平壌がオファーしている核・ミサイル実験の凍結は、(アメリカを)交渉に応じさせるための誘因に過ぎない。交渉が終わった翌日から実験を再開できるし、核プログラムを水面下で進めることもできる。しかも、核保有国としての認知を取り付け、韓国から米軍を締め出し、韓国へのアメリカの軍事コミットメントを形骸化させるという長期的な目的を平壌が見直したと信じる理由もない。ワシントンは今後も平壌に最大限の圧力をかけ、北朝鮮との交渉をより広範な地域戦略に紐付けなければならない。軍事オプションを回避しつつ、むしろ、日韓という同盟諸国との緊密な協調を通じて、地域的抑止体制と拡散防止策のための新たな試みを開始すべきだ。

シリア内戦と外部パワー
―― アフリンの攻防と勝者なき紛争の行方

2018年4月号

アーロン・ステイン  アトランティックカウンシル レジデント・シニアフェロー

ロシア、イラン、トルコ、アメリカというシリア内戦に介入している外部パワーは、アサド政権同様に、紛争終結を望みつつも、譲歩を拒んでいる。シリアの反政府勢力への影響力をもつトルコは反クルドの立場からアフリンに介入し、クルド人を紛争期のパートナーとしてきたアメリカは軍事的成功を政治目標に結びつけようと、米軍をシリア北東部に当面駐留させるつもりだ。ロシアは内戦を終結へ向かわせるという大きな目的から、紛争終結のカギを握る(反政府勢力への影響力をもつ)トルコの協力を失うような危険は犯したくないと考えている。一方、アサド政権とイランは、トルコの介入は反政府勢力を勢いづけると反発している。この流れを変えない限り、シリア内戦は今後も続き、さらに多くの人の命が奪われることになる。

同盟関係と国際機関の価値に目を向けよ
―― 大国間競争で勝利を収めるには

2018年4月号

ベン・ステイル 米外交問題評議会シニアフェロー(国際経済担当)

冷戦初期同様に現在のアメリカは大国間競争の時代に足を踏み入れている。しかし、アメリカファーストを掲げるトランプ政権は、冷戦における勝利を西側にもたらした同盟関係や国際機関を基盤とする秩序に背を向けてしまっている。戦後戦略の中枢は「ヨーロッパとアジアで、権威主義の誘惑と脅威に対抗する力をもつ強固な民主的な同盟関係を築くことだった」。当時のアメリカは、そうすることで、軍事力に過度に依存せずに、自国の経済・安全保障利益を守れるようになると考えた。トランプ政権が大国間競争の時代の幕開けを宣言したタイミングで、アメリカが冷戦という大国間競争に勝利を収めるのを助けたツールを大統領が放棄し、その価値を否定しようとしているのは大きな皮肉としか言いようがない。

何が米戦略の立案を阻んでいるのか
―― ホワイトハウスとペンタゴンの対立

2018年4月号

ジュリアン・スミス 前米副大統領副補佐官 (国家安全保障問題担当)
ローレン・デヨング・シュルマン 前米国家安全保障会議ディレクター (国防政策担当)

北朝鮮軍事戦略の策定を阻んでいるのはホワイトハウスや米国家安全保障会議(NSC)とペンタゴンの確執なのか。おそらくそうではない。ホワイトハウスが戦略をもっていないこと、数日毎に新たな戦略の条件を示し続けていることが問題だ。さらに、機能する省庁間調整プロセス、政府の方針を維持する閣僚、高官ポストが空席でない国務省、駐韓アメリカ大使、さらにはアメリカの政策や大統領のツイートを解読するのに次第に苛立ちを感じているかにみえる同盟諸国との開放的なコミュニケーションチャンネルも必要とされている。国務省、ソウル、あるいは平壌、どこにいようと、ホワイトハウスが本当に望んでいるものが何なのかを理解できない状態にある。

CFR Blog
ティラーソンからポンペオへ
―― 米国務省を救うには

2018年4月号

スチュワート・パトリック 米外交問題評議会シニアフェロー

ティラーソンは、スティーブ・バノン(首席戦略官)やスティーブン・ミラー(政策担当上級顧問)のような、トランプ大統領を取り巻く保守・ナショナリスト系のイデオローグたちによる攻撃から国務省を守ることができなかった。こうした自称「反グローバリスト」たちは、国務省のことを、勤勉なアメリカの愛国者ではなく、アメリカの主権を価値のない合意と引き換えに売り渡す国際主義者たちが埋め尽くす、敵に乗っ取られた組織とみなした。・・・後任のポンペオは、その忠誠ゆえにトランプに好ましく思われているが、大統領が外交的カオスを作り出そうとしたり、無謀にもアメリカを脅かす脅威を無視しようとしたりしたときに、大統領の前に立ちはだかれるだろうか。ポンペオのCIAでの記録をみれば、楽観は許されない。・・・

対中冷戦戦略の誤謬
―― 対中協調の余地は残されている

2018年4月号

マイケル・D・スワイン カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

トランプ政権は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を、あらゆる地域プレイヤーが繁栄と安全を手に入れるための包括的ビジョン、そして中国に対抗するアメリカの同盟国とパートナーのためのネットワークとして描いているが、この戦略に中身はない。アメリカとその同盟国がアジア太平洋地域におけるもっともダイナミックな大国である中国を敵として扱って、安全と繁栄が包括的なものになることなどあり得ない。中国は、アメリカとそのパートナーとの長期的な関係について何かを決断しているわけでも、グローバルな覇権国としてのアメリカに取って代わることを決意しているわけでもない。リビジョニストパワー、現状維持パワーという二つの顔をもつ中国の複雑な自己アイデンティティの片方にだけ焦点を合わせて、二つの大国間の存亡をかけた抗争をイメージするのは間違っている。

プーチノミクスの驚くべき成功
―― 成長よりも安定を重視する狙いは何か

2018年4月号

クリス・ミラー フレッチャー法律外交大学院准教授

原油価格の暴落と欧米による経済制裁という大きな圧力にさらされているために、ロシア人を含む、内外の専門家の多くは、経済危機がウラジミール・プーチンの権力を脅かすのではないかと考えてきた。しかし、これまでのところ、そのような兆しはない。ロシア経済は安定しているし、インフレも歴史的な低水準で、予算もほぼ均衡している。プーチノミクスの大きな特徴は、高賃金と経済成長を目指すのではなく、むしろ、失業率を低く保ち、年金を着実に支払うことを重視することで、社会不満の高まりを抑え込んでいることにある。債務とインフレを低く保つことで、マクロ経済の安定を心がける「プーチノミクス」は、ロシアを豊かにすることではなく、国内を安定させ、エリートの権力を維持することを目的にしている。

北朝鮮崩壊後の危機に備えよ
―― 飢饉と難民流出を回避するには

2018年3月号

ジョーンバム・バエ(ホバート&ウィリアム・スミスカレッジ 客員アシスタント・プロフェッサー)
アンドリュー・ナチオス(テキサスA&M大学 教授)

北朝鮮の体制崩壊は、北朝鮮民衆が25年にわたって耐えてきた慢性的な食糧不足を一気に悪化させ、感染病や公衆衛生上の問題をさらに深刻にするはずだ。これによって、大規模な北朝鮮難民が中国に押し寄せる危険が生じる。このシナリオを回避するには、米韓は北朝鮮に食糧を供給し、北朝鮮民衆が中国との国境地帯に向かうのではなく、国内に留まるように仕向ける必要がある。そのためには食糧や医療物資を迅速に届け、感染症による犠牲を引きおこす汚染水対策をとる必要がある。治安を安定させ、人道支援団体の安全を確保し、食糧・医療物資を人々に届けるには、北朝鮮内に11万5000人から40万人の部隊を展開させる必要がある。問題は、38度線以北での米・韓国軍の活動が必要になるこのミッションを、中国が受け入れるかどうかだ。

トランプを待ち受ける嵐
―― ドナルド・トランプの本当のコスト

2018年3月号

エリオット・コーエン ジョンズ・ホプキンス大学教授

トランプは就任1年目に偉大なことを成し遂げたと考え、「評論家たちは悪意に満ちているし、間違っていたことが立証された」と感じているようだ。実際には、アメリカの政府機関の志気を大きく低下させ、(就任後に)彼がもっと成熟した政治家になることを期待していた内外のすべての人々を失望させた。任命した高官の多くを疲弊させ、しかも、バックアップ体制を準備していない。最悪なのは「自分は何をしているかを分かっている」と誤認していることだ。外交が嵐に遭遇しなかったのも、本人の成長ではなく、側近たちの抵抗によるものだ。「自分が天才だからだ」と理由づける多くのことは、単に幸運に恵まれた結果にすぎない。早晩、彼の運も使い果たされる。その時がやってくれば、トランプ大統領が強いた本当のコストがはっきりしてくる。

中国が支配するアジアを受け入れるのか
―― 中国の覇権と日本の安全保障政策

2018年3月号

ジェニファー・リンド ダートマス大学准教授(政治学)

現在のトレンドが続けば、そう遠くない将来に、中国はアメリカに代わって、東アジアの経済・軍事・政治を支配する覇権国になるだろう。そして、地域覇権国は近隣諸国の内政にかなり干渉することを歴史は教えている。中国に対抗できるポテンシャルをもつ唯一の国・日本は、特に重要な選択に直面している。日本人は軍備増強には懐疑的で、むしろ、経済の停滞と高齢社会のコストを懸念しており、引き続き、銃よりもパンを優先する決断を下すかもしれない。だが実際にそうした選択をする前に、中国が支配するアジアにおける自分たちの生活がどのようなものになるかについて日本人はよく考えるべきだろう。北京は尖閣諸島の支配権を握り、日米関係を弱体化させ、中国の利益を促進するために、さらに軍事的・経済的強制力をとり、日本の政治に干渉してくるかもしれない。

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