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論文データベース(最新論文順)

イスラエルとハマスそして自治政府
―― それぞれの政治、すれ違う思惑

2021年6月号

マーティン・インディク  米外交問題評議会 特別フェロー(中東問題担当)

ハマスはパレスチナ人社会での自分たちの地位をもっと引き上げたいと考え、イスラエルは、市民に対するハマスの攻撃に対する抑止力を再確立したいと望んでいる。だが双方とも、ワシントンが二国家解決を仲介することには関心がない。ハマスは「イスラエルのいない一国解決策」にこだわっている。ネタニヤフは「ガザをハマスが支配し、西岸をパレスチナ自治政府が統治する三国家解決策」にコミットしている。バイデン政権は・・・東エルサレムからのパレスチナ人の立ち退きや家屋解体をイスラエルに止めるように求め、アッバス自治政府議長に(無期限の延期としている)選挙の日程を定めるように求めるべきだろう。バイデン政権は、この危機から抜け出すためにも、二国家解決策への関係勢力の信頼と希望を再構築する必要がある。

シリア化するミャンマー
―― 東アジアにおける破綻国家の誕生か

2021年6月号

デレク・J・ミッチェル  元駐ミャンマー米大使

軍隊と民衆間の分裂を修復するのはもはや不可能だと多くの人はみている。現在の残虐行為を前に、多数派であるビルマ族も、ミャンマー軍が何十年にもわたって国内の少数民族を対象に暴力と不正を繰り返してきたことの意味合いについて覚醒しつつある。こうしてもたらされる民族間の連帯が、永続的な平和と和解の基盤を提供できるかもしれず、これをベースにより力強い民族間対話の枠組みを立ち上げるべきだろう。中国、インド、タイ、その他の周辺諸国は、移民や難民の受け入れを求める圧力にさらされ、ミャンマーとの国境地帯が無法化し、暴力と絶望が社会に蔓延する事態に備えざるを得なくなるだろう。ミャンマーが経験しているのはいつもながらの民主主義からの後退ではない。いまやアジアの重要地域で破綻国家がゆっくりと誕生しつつある。

インド変異株の悪夢
―― 変異株と政治災害が引き起こしたインドの悲劇

2021年6月号

マンダキニ・ガーロット  ジャーナリスト / 映画監督

世界における新規コロナ感染の三つに一つがいまやインドで起きている。だが、こうなる必然性はなかった。狼狽、間違い、奢りを通じて黙示録的世界を招き入れたのはモディ政権に他ならない。「国内のコロナを抑え込み、いまや世界のパンデミックを終わらせるのを助ける立場にある」と対外的に表明した彼の強気が裏目に出た。人々はマスクを外し、ソーシャルディスタンスのガイドラインを無視し始めた。保健担当大臣が偽医療を公的に紹介しただけでなく、ヒンドゥー教の大規模な宗教的祝祭(クンブメーラ)のために(ウッタラカンド州にある聖地ハリドワールへの)巡礼を認めたことでも政府は感染を拡大させてしまった。しかも、二つの変異株の特徴を有するB・1・617変異株が定着しつつあることを認識しつつも、この新しい敵を理解しようと政府が力を入れることはなかった。・・・

感染症を含むグローバルヘルス対策をめぐって、これまでワシントンは国際機関や途上国を中心とする各国政府に援助を提供することで、対策を主導してきたが、このアメリカ主導型のモデルに大きな変化が生じている。いまや、慈善団体、地域機構、民間企業などの、新しいネットワークと組織がグローバルヘルス領域で大きな役割を果たしているだけでなく、途上国の科学者や組織も研究やベストプラクティスをめぐって大きな影響力をもつようになった。しかも、技術革新によって民間企業に新タイプのデータがもたらされており、今後、政府と保健機関の仕事は大きく変化していくだろう。グローバルヘルスを守る努力の中枢に、各国政府、地域機関、民間部門とのパートナーシップを据える必要がある。


新疆における文化弾圧のルーツ
―― 帝国の過去とウイグル人

2021年5月号

シーン・R・ロバーツ ジョージ・ワシントン大学 エリオットスクール 准教授(国際関係論)

新疆における北京の残忍な行動は、習近平体制の権威主義化や中国共産党(CCP)のイデオロギーを映し出しているだけではない。むしろ、ウイグル人に対する抑圧は、「征服したものの、現代の中国に完全に組み込めず、一方で、実態のある自治も与えていない領土」と北京との「植民地的な関係」に起因している。北京はウイグル人の文化とアイデンティティを抹殺することを決意している。「彼らの血統・ルーツを壊し、つながりと起源を破壊すること」を目的にしている。欧米はこれを人権侵害として攻撃しているが、変化は起きそうにない。現実には、2020年に国連人権理事会で45カ国が新疆での中国の行動を擁護する書簡に署名している。「ウイグル人に対する扱いが中国の経済と名声にダメージを与える」と北京が納得しない限り、大きな変化は期待できない。

中国における大家族時代の終焉
―― 中国の野望と人口動態トレンド

2021年5月号

ニコラス・エバースタット  アメリカンエンタープライズ研究所 政治経済担当チェアー アシュトン・バーデリ  ペンシルベニア州立大学 教授(社会学・人口動態)

大家族の衰退という中国で進行するトレンドがいまや大きな流れを作り出している。この現象が引き起こす衝撃を北京が十分に認識していないだけに、家族構造の変化は、今後長期にわたって、中国の大国化願望を脅かし続けるだろう。1世代後の中国は、この人口動態上の逆風ゆえに、当局が想定するほど豊かでも生産的でもないはずだ。伝統的にライフボートの役目を果たしてきた大家族主義や血縁的つながりが衰退し、大規模な社会保障国家をあと1世代で構築しなければならないとすれば、経済外交と国防政策を通じて外国に影響力を与える北京の手段は大きく制約される。いずれ中国は経済パワーが低下し、国防政策を下方修正せざるを得ない状況に直面する。

CFR in Brief
気候変動と原子力発電

2021年4月号

リンジー・メイズランド CFR.org ライター

2011年、日本の福島第一原子力発電所の原子炉3基がメルトダウンし、1986年のチェルノブイリ原発事故以降、最悪の事態が引き起こされた。日本を含む一部の国はその後原子力エネルギーの使用を見直した。しかし、他の多くの諸国は、原子力への立場を変えなかった。今後、気候変動問題への対策から、各国は原子力発電の利用を考慮に入れざるを得なくなるとする見方もある。米エネルギー情報局(USEIA)は、途上国における原子力発電は今後30年間で3倍近くに増えると予測している。だがそれでも、エネルギーミックスでみると原子力エネルギーは比較的小さなシェアに留まると考えられる。

時代後れで危険な湾岸政策
―― アメリカの湾岸政策のリセットを

2021年4月号

クリス・マーフィー  米民主党上院議員(コネチカット州選出)

「ペルシャ湾岸地域を支配しようとする外部勢力によるいかなる試みも、アメリカの死活的に重要な利益に対する攻撃とみなす」。この演説がその後「カーター・ドクトリン」として知られるようになり、以来、アメリカの中東政策の基盤とされてきた。しかし、いまやサウジよりもメキシコからより多くの石油をアメリカが輸入していることからも明らかなように、状況は大きく変化している。バイデン大統領は、新しい現実を見据えて政策をリセットし、むしろ、多角的で安定した国民経済、民衆の声に耳を傾けるような政府をもつ平和な地域へ湾岸が向かっていくのを助けるべきだろう。

中国のワクチン外交と途上国
―― 信頼とソフトパワーにつながるか

2021年4月号

ヤンゾン・ファン 外交問題評議会 シニアフェロー(グローバルヘルス担当)

すでに北京は69カ国に無償でワクチンを提供し、この他にも28カ国にワクチンを商業輸出している。この「ワクチン外交」は中国のソフトパワー強化につながるだろうか。チリ、カンボジア、ペルー、セルビア、アラブ首長国連邦(UAE)、インドネシア、トルコ、ジンバブエ、セイシェルなど多くの国の首脳は、中国製ワクチンの最初の予防接種を個人的あるいは公的に歓迎している。但し、ワクチン外交をめぐってはロシアやインドとの競争も激化している。いまやアメリカも、安全で効果的ワクチンの公平な流通に向けたグローバルな競争に参入しつつある。しかも中国ワクチンには有効性や透明性をめぐってはっきりしない部分もある。・・・

介入と後退の歴史
―― グローバル世界でのアメリカの役割

2021年4月号

ロバート・ケーガン ブルッキングス研究所 シニアフェロー

外国の紛争に無関心を装いつつも、その後パニックに陥り、軍を動員して介入し、事態が安定すると撤退して後退する。アメリカは外国に介入した瞬間に片足を出口に向かわせていた。この交互に繰り返されるアプローチが同盟国、敵対国の双方を混乱・誤解させ、多くの場合、回避できたはずの紛争が引き起こされてきた。20世紀にはドイツや日本を含めて、アメリカの意図を誤認した外国の指導者や政府が戦争を起こし、最終的に無残な姿をさらけだした。21世紀における中国との競争において、アメリカ人は出口を探すのをやめて、運命と自国のパワーが強いる役割を受け入れるべきだろう。

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