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論文データベース(最新論文順)

ジェノサイド認定の意味合い
―― 中国のウイグル人弾圧問題の行方

2021年3月号

ジョン・B・ベリンジャーIII  元国務省法律顧問

トランプ政権末期、ポンペオ国務長官は、中国政府は新疆ウイグル自治区でウイグル人やその他の少数民族に対するジェノサイド(民族大量虐殺)に手を染めており、ウイグル人を含むマイノリティに対して「人道に対する罪」を犯していると表明した。ジェノサイド認定が表明されると、歴史的に、制裁や軍事介入を含む重要な行動をとるように政府に求める議会、市民団体、メディア、大衆の圧力は大きくなる。だが、ジェノサイド認定は、トランプ政権が末期にとった他の行動同様に、バイデン政権の対中関係改善能力を封じ込める作用をしており、実際に、それがポンペオの意図だったのかもしれない。そうでなくても、バイデン政権はウイグル人に対する中国の行動を力強く非難しただろうが、ジェノサイドの認定を支持すれば、政権が中国に対してより懲罰的な行動をとることを求める市民の圧力を高めるのは避けられない。

ザ・アリーナ
―― 米中対立と東南アジア

2021年3月号

ビラハリ・カウシカン 前シンガポール外務省事務次官

中国の国家規模と経済の重みが東南アジア諸国の不安を高め、習近平国家主席の強引な外交路線がそうした感情をさらにかき立てている。しかし、こうした不安もアジア最大のパワーとの政治的、経済的つながりを維持していく必要性とともに、バランスよくとらえなければならない。「中国かアメリカか」、いずれか一つとの排他的な関係を選べる国は東南アジアには存在しない。アメリカが中国に対してあまりにも強引なスタンスをとれば、事態が紛糾するのではないかという地域的懸念を高め、あまりにも控えめな態度をとれば、見捨てられるのではないかと不安になる。だが「国家は競争する一方で、協力することもできる」。これこそ基本的に東南アジアがアメリカと中国の関係に期待していることだ。

新エリート階級と中国の格差
―― オリガークか独裁か

2021年3月号

ブランコ・ミラノビッチ  ニューヨーク市立大学大学院センター 社会経済格差研究センター  シニアスカラー

民間経済部門が力強く成長すれば、新しい社会経済階級が誕生する。この集団を取り込もうと、北京は共産党メンバーになるように彼らに働きかけて、取り込みを図るが、結局、彼らは社会の他の部分からも共産党メンバーの大半からも浮いた政治・経済的な上流階級となる。このようなエリートの力をどのように管理できるだろうか。一見すると、中国の不平等は、急速な成長と都市化から予測できた副産物のようにも思える。しかし、格差に対処するには、この新エリート層の高まるパワーを抑制するかどうか、そうするとしてどのように抑えるかという難しい選択に直面する。下手をすると、中国に残される選択肢はオリガーキーか独裁ということになる。

CFR Blog ブックレビュー
北京の影響下で
―― 東南アジアにとっての中国という課題

2021年2月号

ハンター・マーストン  オーストラリア国立大学博士候補生(国際政治)

東南アジア諸国の対中認識は二つの考えの間で揺れ動いている。経済成長を中国の台頭に依存しているために、中国との貿易を続けたいと考える一方で、中国の強大化する経済力、外交力、軍事力を警戒している。南シナ海を含む東南アジア地域で北京が強硬外交をとり、武力行使も辞さない路線をとっていることに神経を尖らせている。実際には、中国と東南アジアの親密な関係を示唆する神話の多くは虚構のようだ。「ミャンマーが中国の衛星国のような存在になった」とみなすのは安易すぎるし、カンボジア人の多くも、中国の影響力拡大を警戒している。むしろ、東南アジアに共通しているのは、中国に傾斜することに対するリスクヘッジ戦略をとっていることかもしれない。・・・

「自由世界」の連帯と組織化を
―― 権威主義の脅威に対処するには

2021年2月号

アレクサンダー・ビンドマン  前国家安全保障会議 ディレクター(欧州担当)

長く、民主主義(と民主国家)のことを、自国を脅かす実存的脅威とみなしてきた中国、ロシアなどの権威主義国家がいまや攻勢に出ている。国際ルールや欧米のリベラルな価値を形骸化させ、民主主義を追い込むことで、権威主義的体制の台頭を可能にし、思うままに権力を行使できる国際環境を形作ることを彼らは望んでいる。国内の傷を癒やし、民主主義が世界で直面する脅威を緩和するには、ワシントンは民主的政府を特徴付ける強さを動員し、組織化しなければならない。米新政権は権威主義に対抗するために、民主国家による民主主義のための協調を組織すべきだろう。

アジア秩序をいかに支えるか
―― 勢力均衡と秩序の正統性

2021年2月号

カート・M・キャンベル  アジアグループ 議長  ラッシュ・ドーシ  ブルッキングス研究所 中国戦略イニシアティブ ディレクター

ウィーン体制によって1815年から第一次世界大戦までの1世紀に及んだ長い平和の礎が築かれた。大国間政治が激化し、地域秩序が緊張している現在のインド太平洋はウィーン体制の歴史的教訓から多くを学べるだろう。当時も今もいかに勢力均衡を形作り、秩序の正統性を保つかが問われている。北京の行動が、アメリカやアジア諸国の「インド太平洋秩序」のビジョンと衝突するのが避けられない以上、ワシントンはシステムを強化するために他国と協力し、北京が生産的に秩序にエンゲージするインセンティブを与え、一方で中国が秩序を脅かす行動をとった場合のペナルティを他の諸国とともに考案しておく必要がある。秩序のパワーバランスと正統性をともに維持するには、同盟国やパートナーとの力強い連帯、そして中国の黙認と一定の応諾を取り付けておく必要がある。

未来に備える能力の強化を
―― 軍の近代化と産業基盤の再生

2021年1月号

ヒラリー・クリントン 元米国務長官

アメリカはさまざまな脅威に直面しつつも、危険なまでに備えを欠いている。この国の産業や技術上の優位は崩れ、その生命線であるサプライチェーンは危機にさらされ、同盟関係はほころび、政府は空洞化している。必要なのは防衛力の近代化と国内産業基盤の強化で、この二つを組み合わせる必要がある。軍の近代化は、莫大なコスト削減につながり、その余剰資金を、国内における先進製造と研究開発に投じることができる。そうすることで、アメリカがライバル諸国と競争し、気候変動や未来のパンデミックなど非伝統的な脅威に備える助けになる。このように外交政策と国内政策を統合すれば、その双方をより効率化できる。それは、不透明な世界でこの国が再び足場を築いていく助けになるはずだ。

中国のグローバルドローン戦略
―― 対抗するか、取り残されるか

2021年1月号

マイケル・C・ホロウィッツ  ペンシルベニア大学教授  ジョシュア・A・シュワルツ  ペンシルベニア大学 博士候補生  マシュー・ファーマン  テキサスA&M大学 教授(政治学)

2011年まで、軍事ドローンを保有していたのはアメリカ、イギリス、イスラエルの3カ国だけだったが、2011年から2019年の間にその数は18カ国に上昇した。こうした軍事ドローンの拡散は、主要サプライヤーとして中国が出現した時期と一致している。ドローン輸出戦略をとる中国の優位の一つは「相手国政府の立場や内政を問わないこと」にある。一方、アメリカは長く輸出規制を課してきた。トランプ政権が再解釈を通じて規制を緩和するなか、ドローンの輸出を認めるのか、誰に対して洗練された軍事ドローンテクノロジーの輸出を認めるのか。次期政権はこの難しい質問に答えを出すことを迫られる。

「アメリカは敗北しつつある」
―― 米中競争についての北京の見方

2021年1月号

ジュリアン・ゲワーツ  米外交問題評議会 中国担当シニアフェロー

2008年の金融危機を前に、北京の指導者たちは「欧米の衰退が実際に始まった」と考えるようになった。マルクス主義的な歴史の流れを信じる北京の指導者たちは、毛沢東の言う「無為に中国を抑え込もうとする救いようのない反動勢力」のアメリカは、結局は挫折すると考えてきた。この考えが中国の習近平国家主席の世界観を規定している。それだけに、ワシントンは「中国の能力と目的を分析するだけでなく、北京の指導者たちがアメリカをどのように認識しているか」を踏まえた戦略をとらなければならない。アメリカは衰退の一途をたどっているという中国の指導者たちの思い込みを覆す戦略が必要だ。幸い、そのために、アメリカが実行しなければならないことの多くは、ワシントンが管理できる範囲内にあるし、行動のための時間も残されている。

中国が望む世界
―― そのパワーと野心を検証する

2021年1月号

ラナ・ミッター  オックスフォード大学教授(現代中国史・政治)

世界第2位の経済大国である中国が、ライバルが規定した条件で世界秩序に参加するはずはない。特に、2008年のグローバル金融危機以降、中国指導部は、自国の権威主義的統治システムは、自由主義国家に至るプロセスにおける一つの形態ではなく、それ自体が目的地であると明言するようになった。明らかに国際秩序を作り替えることを望んでいる。中国は間違いなく、国際社会の「舞台中央に近づきつつある」と習はすでに宣言している。今後の展開にとっての重要な鍵は、中国が世界における自らの野心を、他国にとってある程度許容できるものにできるかどうかだ。現実には、もっともらしい新世界秩序を作る中国の能力を脅かしているのは、その権威主義体質に他ならない。

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