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論文データベース(最新論文順)

コロナウイルスと陰謀論
―― 感染症危機と米中対立

2020年4月号

ヤンゾン・ファン 米外交問題評議会シニアフェロー (グローバルヘルス担当)

恐れと不確実性のなかでは噂が飛び交うものだ。新型コロナウイルスが確認されて数週間もすると、ソーシャルメディアではウイルスは生物兵器だと示唆するコメントが目立つようになった。武漢のウイルス研究所から持ち出された中国の生物兵器(が使用された)、いやアメリカの兵器が武漢で使用されたという噂が飛び交うようになった。実際、ウイルスがどこからやってきたかを特定できれば、専門家と政府が、拡散を防ぐ最善の策を特定し、将来におけるアウトブレイクを阻止する助けになる。これまでのところ、ウイルスは生物兵器として開発されたとする説、あるいは偶発的に実験室から外部環境へ漏出してしまったとする説は、野生動物取引市場で動物由来のウイルスがヒトに伝播したという考え同様に、一定の信憑性をもっている。問題は陰謀論が米中間の不信に根ざし、それが一人歩きを始めていることだ。・・・

平壌とコロナウイルス
―― ウイルスと経済と体制危機

2020年4月号

スー・ミ・テリー
戦略国際問題研究所  シニアフェロー

コロナウイルスの侵入を警戒する北朝鮮は、国境線を封鎖し、あらゆるツーリズムを停止し、外国人のすべてに行動制限を課している。多くの公共サイトを閉鎖し、あらゆる学校を1カ月にわたって閉鎖している。こうした措置を続ければ、ウイルスの脅威は抑え込めても、経済的に追い込まれ、平壌の体制基盤が損なわれることになる。一方、北朝鮮にウイルスが入り込めば、感染は急速な広がりをみせるだろう。北朝鮮人口の43%(1100万人)が栄養失調に陥り、体力と抵抗力を失っており、この状況で感染症ウイルスが入り込めば、ひとたまりもない。しかも、この国にはパンデミックと闘うインフラはなく、病院システムはほとんど機能しておらず、医薬品も不足している。

中国の経験から各国は何を学べるか
―― コロナウイルス・パンデミック

2020年4月号

トマス・J・ボリキー  米外交問題評議会 グローバルヘルス・プログラム ディレクター  ビン・グプタ  ワシントン大学メディカルセンター アフィリエートアシスタントプロフェッサー (健康統計学)

世界がCOVID19に対処していく上で、中国がどのような経験をしてきたかを注意深く配慮する必要がある。(呼吸器疾患を抱え込みがちな)喫煙者が多く、大気汚染がひどいことも中国特有のリスク要因として考慮すべきだろう。認識すべきは、アウトブレイクの中核となった武漢を含む湖北省の医療システムが適切に機能できなくなったことだ。武漢の致死率は、他の国内地域のそれの4―6倍に達した。さらに、感染拡大を抑え込むために中国がとった大胆な措置を自国もとるべきかどうか。中国政府のやり方をそのまま取り入れられる国は他になさそうだし、そうすべきでもない。市民的自由や市民の権利を無視する政府の姿勢は、新型ウイルス発生(の迅速な情報公開を怠り)アウトブレイクを引き起こした政策や行動と表裏一体をなしているのだから。・・・

CFR Blog
ウイルスとエネルギー市場ショック
―― 冷え込む需要とエネルギー価格の低下

2020年4月号

エイミー・M・ジャッフェ 米外交問題評議会 シニアフェロー(エネルギー・環境問題担当)

ウイルスが人とモノの流れを抑え込んでいる状態が長期化すれば、危機の余波は公衆衛生部門を超えて経済に及ぶ。特にウイルスは、グローバルな石油・天然ガス市場にとってのブラックスワンの役割を果たしつつあり、すでに、ウォールストリートの銀行の多くが、コロナウイルスの余波を考慮して、2020年前半の原油価格予測を下方修正している。中国の石油需要は通常よりも40%少なくなり、一般消費者の需要はさらに大きな落ち込みをみせると予測されている。中国人のツーリズムも大きく落ち込み、大きく経済を冷え込ませると考えられる。天然ガスの価格も低下しており、すでにアジア市場でのLNG価格はこれまででもっとも低い価格になっている。

封じ込めから社会的隔離措置へ
―― 1918年の教訓

2020年4月号

ベンジャミン・コーリング 香港大学公衆衛生大学院 教授

「グローバルパンデミック」と認識される事態に備える時間的猶予はわずかながらも残されている。イタリアの公衆衛生当局は、北部で数週間にわたって感染が大きな広がりをみせていることに最近になって気づき、その後、対応に追われている。数多くの国が今後、これと同じ状況に直面するはずだ。アメリカでも、水面下での感染拡大はすでに進行していると考えられる。公衆衛生担当省は、病院における集中治療の需要が急激に高まることを想定した対応計画を考案すべきだし、国と地方の当局は、アウトブレイクが起きた地域での社会的隔離策をとることに備える必要がある。どのような事態なら(学校や職場の閉鎖などの)抜本的な社会的隔離策をとるかを考えておくべきだ。社会的隔離に関する社会の応諾と支持を維持していくには、その計画の目的と詳細、なぜそれが必要かについて適切に社会との意思疎通をはかっていく必要がある。

CFR Meeting
新型ウイルスの脅威
―― 封じ込めはできるのか、政府の対応は適切か、経済はどうなるか

2020年3月号

トーマス・R・フリーデン 米疾病対策センター(CDC)前所長  ヤンゾン・ファン  米外交問題評議会シニアフェロー(グローバルヘルス担当) ジェニファー・ナッゾ ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院 シニアスカラー ブラッド・セッツァー  米外交問題評議会シニアフェロー(国際経済担当)

考えるべきは、コロナウイルスがSARSのように管理できるようになるか、それとも、インフルエンザや通常の風邪のようになるかだ。SARSは少なくとも、われわれの知る限り、この14年間で感染事例はない。一方、インフルエンザや風邪は地域的あるいは特定の諸国で、数カ月、数年、あるいは永遠に流行する。この点についてわれわれは情報をもっていない。われわれが試みるべきは、コロナウイルスの感染拡大を阻止できると想定し、そのために必要なあらゆることを試みる一方で、完全にストップできない場合に備えて、このウイルスをより適切に管理する、あるいはその衝撃を緩和するにはどのような計画が必要かを考えていくことだ。(T・フリーデン)

コロナウイルスは、SARSとは違って、感染拡大のスピードが速く、症状はより穏やかだからだ。症状が穏やかだと、ウイルスがどこにいるかがわかりにくくなる。多くの国が、中国とのつながりから感染を特定しようと試みてきたが、すでに国内での感染が起きている。(中国とのつながりに気を奪われていると)国内での感染の広がりを見落とすことになる。(J.ナッゾ)

習近平とコロナウイルス
―― トップダウン型危機管理の弊害

2020年3月号

エリザベス・エコノミー 米外交問題評議会 シニアフェロー(中国担当)

コロナウイルスのアウトブレイクは、習近平政権にとって最悪の人道・経済危機に向かっている。もちろん、国家主席が辞任するはずはない。習近平は、まさにこうした危機に持ちこたえられる政治システムの構築に就任後の7年を費やしてきた。国営メディアは国家主席の役割を、背後からリードする、最終権限をもつ最高指揮官であると強調し、武漢の病院を視察し、患者をいたわる役目は李克強首相や孫春蘭国務院副総理が担っている。要するに、現地で起きている危機と習近平の間には、党の官僚制度内のステータスを分ける階層の数だけバッファーが存在する。だが、ウイルスを封じ込めるのに時間がかかれば、その分、今回の危機で生じた(政治的・社会的)亀裂は大きくなり、それが引き起こす問題も深刻になる。多くの中国人が望んでいるのは、他の国の市民が望むのと同じことだ。なぜ今回のようなことが起き、二度と起きないようにするには何が必要なのか、そして誠実な政治家が「責任は自分がとる」と語ることだ。・・・。

アメリカのリーダーシップと世界
―― トランプ後のアメリカ外交

2020年3月号

ジョセフ・バイデン  前米副大統領

気候変動にはじまり、大規模な人の移動、テクノロジーが引き起こす混乱から感染症にいたるまで、アメリカが直面するグローバルな課題はさらに複雑化し、より切実な対応を要する問題と化している。しかし、権威主義、ナショナリズム、非自由主義の台頭によって、これらの課題にわれわれが結束して対処していく能力は損なわれている。地に落ちたアメリカの名声とリーダーシップへの信頼を再建し、新しい課題に迅速に対処していくために同盟諸国を動員しなければならない。アメリカの民主主義と同盟関係を刷新し、アメリカの経済的未来を守り、もう一度、アメリカが主導する世界を再現する必要がある。恐れにとらわれるのではなく、いまはわれわれの強さと大胆さを発揮すべきタイミングだ。

CFR Updates
コロナウイルスと中国のハイテク企業

2020年3月号

ローレン・ダドリー CFRリサーチアソシエーツ 、アダム・シーガル CFRシニアフェロー

数多くの中国のハイテク企業は、医師や看護婦などの感染症対策の最前線で働く人々にテクノロジーと財的支援を提供している。チャイナ・モバイル、チャイナテレコム、チャイナ・ユニコム、ファーウェイはすべて5Gの機器とサービスを武漢に新設された火神山医院に提供している。アリババも政府系の研究所に、ワクチンや新薬の開発に役立つAI(人工知能)能力への無償アクセスを提供すると発表している。感染症を北京がなんとか制御しようと試みるなか、テクノロジー企業も感染症対策をめぐって重要な役割を果たしている。しかし、そうした努力の目的は、おもに政府の対応を助け、「自分たちが大衆の反動の標的とされるのを避けること」にある。北京の官僚たちは、感染した個人の行動を追うために民間のビッグデータをさらに統合することを求めている。ウォールストリート・ジャーナルが伝えたように、北京は、すでにそのサーベイランス(監視)能力と、航空会社、電話会社、公共交通システムを含む国有企業のデータを利用して、ウイルスの動きを追い、感染者を隔離している。感染症対策が作り出す流れのなかで、中国のテクノロジー企業と国家・政府との関係はさらに緊密なものになっていくと考えられる。

最悪の事態に備えるべき理由
―― 新型コロナウイルスにどう対処するか

2020年3月号

トム・イングルスビー  ジョンズ・ホプキンス 公衆衛生大学院 ヘルス・セキュリティセンター 所長

ウイルスが人類社会に与える衝撃の規模は、その感染力がどの程度で、感染した人の致死率がどの程度になるかに左右されるが、これらを的確に判断できる状況にはない。封じこめがうまくいかず、グローバルなアウトブレイク(パンデミック)になる可能性もある。これまでのところ、中国の管理措置ではウイルスを抑え込めていないようだし、ウイルスはいずれ変異し、致死率と拡散能力を変化させていく。効果的なワクチンがあれば、感染ペースを鈍化させ、感染症のインパクトを大幅に緩和できるようになるが、ワクチン開発にはかなり時間がかかる。政府と公衆衛生当局は、分かっていることと分かっていないことを区別し、正確に情報を伝え、良い知らせであれ、悪い知らせであれ、情報提供を控えてはならない。各国政府は、新型ウイルスを封じ込められず、深刻で致死性の高い感染症として世界で猛威を振るうかもしれないリスクを認識し、最悪の事態に備えた行動をとる必要がある。

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