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論文データベース(最新論文順)

CFR Update
世界経済を左右する中国における成長と改革の行方

2013年10月号

ロバート・カーン
米外交問題評議会シニアフェロー(国際経済担当)

市場プレイヤーの多くは、中国経済の成長率は今後急激に減速していくと考えている。2013年と2014年の成長率は6%台へと落ち込み、悪くすると5%を割り込む可能性もあると予測している。だが、こうした経済成長の減速は、中国が経済構造のリバランスを試み、現在の輸出・投資主導型経済から、消費主導型経済に移行するための改革を実施することを織り込んでいる。これを別にしても、IMF(国際通貨基金)が指摘する通り、労働力人口の減少が労働市場ダイナミクスを根本的に変化させる。つまり、中国は、労働力の過剰供給の時代が終わり、相対的な賃金が上昇する「ルイスの転換点」にさしかかりつつある。だが一方でIMFは、経済成長の停滞を理由に中国は改革(経済構造のリバランシング)を先送りするのではないかと懸念している。中国が野心的な改革を実行し、経済のリバランシングを実現して短期的な低成長のリスクを受け入れるか、あるいは、経済成長を維持しようと改革プロセスを先送りするかで、グローバルな経済成長の見通しは大きく変わってくる。

アサド勝利後のシリア
――戦後シリアの荒涼たる現実とは

2013年10月号

アンドリュー・タブラー
ワシントン近東政策研究所シニアフェロー

戦闘で敗れ去るのをアサドが回避できる可能性は高まっており、はっきりとした勝利をいずれ手にするかもしれない。もちろん、アサドが権力を維持できるとしても、彼が内戦前のような国家レベルでの統治を再確立することはなく、テロ集団を含む反政府勢力は、シリアの一部を今後も掌握し続けるだろう。アサドは(シーア派の)イラン、ヒズボラとの関係をさらに強め、一方、中東のスンニ派諸国は、反政府武装勢力による抵抗を今後も支え続けるはずだ。だが、アサドが全面的な内戦を展開し、化学兵器を民間人に対して使用したことが、民衆の支持をとりつける上で今後も大きな障害となる。内戦を経たシリア政府は、戦争前に存在した残忍ながらも安定した政府以上に、抑圧的で法を顧みなくなるだろう。シリアは今後長期的に不安定化し、人道に対する残酷な犯罪が繰り返される場所になるだろう。

イランは対話・交渉路線を模索する
―― 最高指導者ハメネイの思想

2013年10月号

アクバル・ガンジ
ジャーナリスト

イランの最高指導者、アヤトラ・ハメネイは聖職者としては、一風変わった過去を持っている。青年期に世俗派の反体制指導者たちと交流し、イスラム革命前に彼らの思想を吸収しているだけでなく、西洋の文学を耽読する文学青年でもあった。レフ・トルストイやミハイル・ショーロホフの作品を絶賛し、バルザックやゼバコの小説を愛読した。なかでもビクトル・ユーゴの『レ・ミゼラブル』が大のお気に入りだった。ムスリム同胞団の思想的指導者サイイド・クトゥブの著作からもっとも大きな影響を受けているとはいえ、ハメネイは、科学と進歩は「西洋文明の真理」であり、イランの民衆にもこの真理を学んで欲しいと考えている。彼はクレージーでも、支離滅裂でも、攻撃のチャンスを模索する狂信者でもない。核兵器の開発も望んでいない。ハメネイは「核兵器は人類に対する罪であり、生産すべきではないし、すでに存在する兵器は解体すべきだ」と考えている。ハメネイは欧米はイランの体制変革を狙っていると確信し、欧米への根深い猜疑心を持っているが、その思想にも変化がみられる。・・・・

Foreign Affairs Update
ロシアのアジアシフト戦略という幻想

2013年10月号

フィオナ・ヒル
ブルッキングス研究所 シニアフェローボボ・ロー
英チャタムハウス アソシエートフェロー

アメリカに続いてロシアもアジアへと軸足を移そうと試みている。伝統的なヨーロッパ市場ではなく、アジア太平洋市場との関係を強化することで、ロシアの経済成長を刺激したいとプーチンは、考えている。モスクワのアジアシフト戦略は、アジアに影響力を行使したいという願いだけでなく、極東ロシアの人口がまばらであることへの恐れにも突き動かされている。この意味で、その鍵を握るのが中国との関係だ。だが、モスクワにとって中国との貿易関係は、次第に(中国による)新植民地主義的な様相を帯びてきている。ロシアからの主な輸出は原材料で、中国からは製品や消費財を輸入しているからだ。北京は、兵器を別とすれば、ロシアから工業製品を輸入することに関心はなく、武器輸入でさえも、近年は低調で、2006年以降、大がかりな武器貿易契約は交わされていない。アジアシフト戦略をとれば、いずれロシアは「自国の帰属しない東」と「うまく適合できない西」の間で漂流していることを見いだし、失望することになるだけだろう。

EU脱退という愚かで危険な火遊び
―― キャメロン英首相の危険なゲーム

2013年10月号

マティアス・マタイス
ジョンズ・ホプキンス・ポール・ニッツスクール准教授(国際政治経済学)

キャメロン首相は2013年1月、イギリスの欧州連合(EU)との関係を規定する条約内容を再交渉し、2017年末に国民投票を実施してEUへの残留か離脱かを決定すると発表した。イギリスのEU懐疑論は、国家主権という時代遅れの概念にしがみつく英保守党内グループの、ブリュッセルに対する理屈抜きの嫌悪感に根ざしている。合理的な政治的・経済的計算をすればロンドンがEUとの関係を絶つというシナリオが出てくるはずはない。キャメロンは、時代遅れの孤立した国への軌道にイギリスを載せようとしている。イギリスがヨーロッパと関係を絶つ可能性、つまり真のパワーを捨てて国家主権という幻想を選ぶ悲劇的な過ちを犯す可能性は、いまやかなり現実味を帯びてきている。

CFR Meeting
放置されたシリア内戦
―― 問題は化学兵器だけではない

2013年10月号

◎スピーカー
ジョン・マケイン
米上院議員
◎モデレーター
マーガレット・ワーナー
PBSニュースアワー

化学兵器によって1400人が殺害された。・・・だが、この他に11万人が銃弾、ナイフ、棍棒で惨殺されていることを忘れてはいけない。この殺戮行為に目を向けないのは間違っているし、いまやアサドは空からの攻撃に力を入れている。・・・シリアの化学兵器廃棄に関するロシアとの合意は、シリア内戦についての言及がなく、何の解決策も示されていない。実際、アサドがシリアの民間人にさらに過酷な作戦をとるようになれば、シリアはさらに混沌とした状況に陥り、化学兵器を廃棄するのも不可能になる。要するに、アサドは、合意受諾を反故にすることなく、合意を無力化できる立場にある。シリア内戦を終結に向かわせるには、シリア政府軍の軍事能力を低下させ、穏健派反政府武装勢力の軍事能力を強化しなければならない。ロシアは、反政府勢力や民間人を殺害するのに用いられる兵器を、いまもシリアへと飛行機で送り込んでいる。・・・

CFR Interview
イランとの関係改善は実現するか
―― 核協議とシリア危機の新ファクターとは

2013年10月号

モフセン・M・ミラニ
南フロリダ大学戦略外交センター所長

オバマ大統領は「アメリカはイランの体制変革を模索していないし、イランは(核不拡散条約で認められた)原子力の平和利用を試みる権利を持っている」と国連演説で語り、ロウハニ大統領も「イランの国防ドクトリンのなかに核兵器という言葉は存在しない」と明言した。ただし、オバマは、イランが国内でウラン濃縮を進めることを認めるつもりはない。ここが重要なポイントだ。今後、両国の立場をいかに交渉で埋めていくか。イランにはアメリカとの和解を望んでいない力強い強硬派集団が存在するし、ロウハニの動きを監視している。微妙な問題をめぐって拙速な動きをみせれば、彼は国内的に障害を抱え込むことになる。アメリカは、シリア問題をめぐるジュネーブ2にイランを招待するとともに、5プラス1(国連安保理5常任理事国とドイツ)とともにイランとの二国間交渉を試み、外交チャンネルを増やすことで、イランの意図を見極めるべきだろう。・・・・・・

アメリカか中国か
―― 韓国のジレンマ

2013年10月号

スコット・スナイダー
米外交問題評議会シニア・フェロー(朝鮮半島担当)

中国の台頭を前に、韓国は戦略ジレンマに直面している。経済成長の多くを中国との経済関係に依存しつつも、安全保障領域では依然としてアメリカとの同盟関係を必要としているからだ。ソウルは、ワシントンと北京のいずれかを選択するような事態を回避するのが戦略的に好ましいと考えているようだ。当然、韓国は、良好な米中関係が維持されることに大きな利益を有している。だが、仮に韓国がアメリカではなく、中国との関係強化を戦略的に優先させるとすれば、それはどのような環境においてだろうか。

インドを支える州経済の台頭
―― 経済再生を主導する州経済の躍進

2013年9月号

ルチル・シャルマ/モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント 新興市場・グローバルマクロ担当ディレクター

グローバル経済が低迷するなか、ニューデリーは政治的な機能不全に陥っているかにみえる。二桁台に達していたGDP成長率も、いまや5%に落ち込み、インドの首都は政治腐敗、停電、無能な警察といったスキャンダラスなニュースで埋め尽くされている。だが、ダイナミックな州が急速かつ持続可能な経済成長を遂げ、いまやインドは力強い地方によって成り立つ国であることが再認識されつつある。主要な州経済がいまでも二桁近い経済成長を実現していることは、中国、ブラジル、インドネシア、メキシコなどの他の新興諸国とインドが競争していく上での大きな力になる。州指導者が中央に対して連邦構造を受け入れさせ、経済政策上の権限をさらに州政府に委譲させることに成功すれば、インド経済は再度復活の道のりを歩み始めるだろう。

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