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2021年1月10日発売

フォーリン・アフェアーズ・リポート
2021年1月号

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フォーリン・アフェアーズ・リポート2021年1月号 目次

コロナ後の世界と経済

  • コロナ後の経済再建を考える
    ―― 債務増でも積極財政をとるべき理由

    ジェイソン・ファーマン

    雑誌掲載論文

    2009年と比べて今回は財政政策上より多くの手を打てる。グローバル金融危機後の2009年1月におけるアメリカの債務残高が国内総生産(GDP)の50%未満だったのに対して、パンデミックを経たバイデンの大統領就任時には債務がGDPの100%におそらく達していることを考慮すれば、この見方は間違っているようにも思えるかもしれない。だが、かつてと現在では金利に違いがある。2009年1月の段階で10年国債の実質金利はおよそ2%だったが、2021年1月のそれはマイナス1%程度になる。現在の公的債務がかつて以上に大きいとしても、キャリーコスト(持ち越し費用)は少なくて済む。バイデンがキャンペーンで約束してきた政策を実施すれば、回復は加速する。景気サイクルだけでなく、ワクチンも追い風を作り出すと期待したい。

  • 新大統領が直面する内外のアジェンダ
    ―― バイデンが生かすべき機会を検証する

    サマンサ・パワー

    雑誌掲載論文

    新政権は、国内問題の解決を優先し、パンデミックを終わらせ、社会に広く恩恵を与える平等な経済再生を一気呵成に実現し、ほころびをみせ始めた民主的制度を改革しなければならない。バイデンは、経済的不平等、システミックな人種差別、気候変動に正面から向きあって、アメリカを「よりよい再生(build back better)」へ向かわせることで、現在の危機を克服していくと語っている。当然、ワクチンのグローバルな流通を先導し、留学生のためのアメリカでの教育機会を拡大し、内外で政治腐敗と闘っていく姿勢をアピールしなければならない。アメリカの強さを利用し、中国の行き過ぎた対外関与が作り出した空白をうまく利用すれば、そうした構想は、アメリカの能力への信頼を大きく引き上げることができる。これが、今後、アメリカの利益を促進するために必要なパートナーシップの説得や連帯の構築に向けた基盤を作り出すことになる。

  • 「マジックマネー」の時代
    ―― 終わりなき歳出で経済崩壊を阻止できるのか

    セバスチャン・マラビー

    Subscribers Only 公開論文

    今日、アメリカを含む先進国は、双子のショックの第二波としてパンデミックを経験している。2008年のグローバル金融危機、グローバルパンデミックのどちらか一つでも、各国政府は思うままに紙幣を刷り増し、借り入れを増やしたかもしれない。だが、これら二つの危機が波状的に重なることで、国の歳出能力そのものが塗り替えられつつある。これを「マジックマネー」の時代と呼ぶこともできる。「しかし、インフレになったらどうするのか。なぜインフレにならなくなったのか、そのサイクルはいつ戻ってくるのか」。この疑問については誰も確信ある答えを出せずにいる。例えば、不条理なまでに落ち込んでいるエネルギーコストの急騰が、インフレの引き金を引くのかもしれない。しかし・・・

  • 米経済の復活とコロナショック
    ―― 経済覇権の米中逆転はあり得ない

    ルチール・シャルマ

    Subscribers Only 公開論文

    多くの人は、米経済が2010年に復活を遂げ、この10年にわたって黄金時代を謳歌していたことを見落とし、アメリカ衰退論に囚われている。パンデミックショックが本格的な金融危機を引き起こせば、問題を抱える企業が世界中で債務不履行に陥り、最終的にはアメリカ金融帝国にとっても脅威となるだろう。しかし、巨大な公的債務だけでなく、ゾンビ企業が企業債務の10%を占める現在の中国は、そうした危機に対してアメリカ以上に大きな脆弱性をもっている。結局、経済成長にとってもっとも重要なのは生産年齢人口であり、アメリカではこれが依然として増大しているのに対して、中国では5年前から減少に転じている。アメリカが世界最大の経済大国の地位を失うことも、米中逆転も当面あり得ない。

  • 財政支出でコロナ恐慌を抑え込めるか
    ―― ハイパーケインズ主義の実験と日本の先例

    ザチャリー・カラベル

    Subscribers Only 公開論文

    各国は、あたかも2020年夏まで経済生産がゼロの状態が続くかのような財政支出を約束している。ニューディールを含めて、このレベルの政府支出には歴史的先例がない。つまり、これは「ハイパーケインズ主義」の実験のようなものだ。有事であると平時であると、先例はない。このような試みがアメリカ経済、ヨーロッパ経済、世界経済を救えるかどうかは誰にもわからない。希望をもてるとすれば、パンデミック前の段階で対GDP比債務がすでに230%近くに達していたにもかかわらず、日本の金利とインフレ率が引き続き安定していたことだ。多額の借入と財政出動がジンバブエよりも日本のような状況を作り出すのなら、楽観的になれる根拠はある。しかし、政府支出で永遠に現実世界の経済活動を代替することはできない。

  • アメリカのリーダーシップと同盟関係
    ―― トランプ後の米外交に向けて

    ジョセフ・バイデン

    Subscribers Only 公開論文

    気候変動にはじまり、大規模な人の移動、テクノロジーが引き起こす混乱から感染症にいたるまで、アメリカが直面するグローバルな課題はさらに複雑化し、より切実な対応を要する問題と化している。しかし、権威主義、ナショナリズム、非自由主義の台頭によって、これらの課題にわれわれが結束して対処していく能力は損なわれている。地に落ちたアメリカの名声とリーダーシップへの信頼を再建し、新しい課題に迅速に対処していくために同盟諸国を動員しなければならない。アメリカの民主主義と同盟関係を刷新し、アメリカの経済的未来を守り、もう一度、アメリカが主導する世界を再現する必要がある。恐れにとらわれるのではなく、いまはわれわれの強さと大胆さを発揮すべきタイミングだ。

ワクチンへの期待と幻想

  • ワクチンへの過大な期待と幻滅
    ―― 迅速な勝利は期待できない

    ジョシュ・ミショー 、 ジェン・ケイツ

    雑誌掲載論文

    将来のアウトブレイクリスクを排除するには、世界人口の70%がワクチンの接種あるいは感染と回復を通じて、コロナウイルスの免疫を獲得する必要がある。COVID19に感染したのは世界人口の10%と推定されるだけに、グローバル規模のワクチン接種でリスクを抑え込むのは非常に難しい。途上国へのワクチン供給に遅れが生じるのも、ワクチン接種をいやがる人が出てくるのも避けられない。ソーシャルメディアを通じて拡散される反ワクチンのプロパガンダや偽情報が・・・ワクチンへの信頼を貶めるかもしれない。有効なワクチンの供給で、コロナ危機が終わるわけではない。迅速な勝利がもたらされることはなく、むしろ、ウイルスとの長期に及ぶデタントの時代の始まりになる可能性が高い。

  • CFR Blog
    ワクチン開発と集団免疫
    ―― 米中免疫ギャップの意味合い

    ヤンゾン・ファン

    雑誌掲載論文

    ワクチンの大規模接種と感染・回復の免疫獲得によってアメリカは集団免疫を実現し、2021年秋までには平常への復帰を果たせるかもしれない。一方、コロナウイルスのアウトブレイクを短期間で封じ込めただけに、ウイルスにさらされた中国人はほとんどおらず、このままでは中国の人口の多くがこの感染症に脆弱なままの状態に置かれる。この「免疫ギャップ」によって(中国が今後集団免疫を獲得する上で大きな困難とリスクに直面するとすれば)、もはや(初期段階で感染症を封じ込めた)中国の「成功」と(そうできなかった)欧米諸国の「失敗」を、中国モデルの優位を示す証拠として指摘できなくなり、中国の指導者に政治問題を突きつけることになるかもしれない。むしろ、リベラルな民主主義国家のレジリエンス(復元力)、大きな危機に直面したときの自己修正能力が評価されるようになるかもしれない。つまり、ワクチンが大国間競争のゲームチェンジャーになる可能性がある。

  • 農村地帯で続く小さなアウトブレイク
    ―― コロナ危機が長期化する理由

    タラ・C・スミス

    雑誌掲載論文

    都市部で猛威を振るったコロナウイルスは、いまや多くの農村コミュニティを襲っている。全米で感染ケースが増えているが、一人当たりの感染率がもっとも高いのは農村部や小さな町であることが多い。農村部での感染状況は当面は悪化し続けると考えられる。地方の病院は設備も十分ではないし、ファイザーのワクチンのように保存に特殊な設備が必要なワクチンを管理していくのは難しい。1世紀前のインフルエンザがそうだったように、都市がコロナウイルス感染の拡大を制御できるようになっても、農村部では2021年あるいはより長期的にウイルスへの感染は拡大し続けるかもしれない。

  • 対途上国ワクチン供給の覇者
    ―― 中国は途上世界の救世主へ

    エイク・フライマン、ジャスティン・ステビング

    Subscribers Only 公開論文

    世界保健機関(WHO)は、途上国の重症化リスクがある人々に20億回分のワクチンを提供するイニシアティブを促進しているが、中国とは違って、アメリカは構想への参加を拒否している。実際、世界人口の半数以上が暮らし、国がワクチン接種費用を負担するのが財政的に難しいアジアやアフリカそして中東の新興国では、中国メーカーのワクチンが圧倒的なシェアを握りそうだ。2021年、世界の注目を「健康シルクロード」に向けることで、中国は世界の技術大国かつ公衆衛生の擁護者として自らを「リブランド」しようとしている。これに成功すれば、一流の技術大国という名声に加えて、中国は、途上世界のパートナーとの友好関係を強化し、「グローバルリーダー」の称号への国際的支持を得ることになるだろう。

  • ワクチンナショナリズムを回避せよ
    ―― パンデミックを終わらせる国際協調を

    トマス・J・ボリキー 、 チャド・P・ボウン

    Subscribers Only 公開論文

    開発中の新型コロナウイルスのワクチン候補は160に達し、すでに治験に進んでいるものも21ある。開発国を含む富裕国は、早い段階でワクチンを入手しようとすでに競い合っている。各国の目的は、他の地域でのCOVID19の感染拡大を抑えることではなく、自国市民へのワクチン供給を優先することにある。このような「ワクチンナショナリズム」は、広い範囲で深刻な帰結をもたらす。有効性が確認された最初のワクチンが出現する日が近づいているだけに、グローバルレベルでの公平な分配をめぐる執行可能なシステムを準備する時間はなくなりつつある。先ず短期的な国際合意をまとめる必要があるだろう。国内における重要な公衆衛生上の目的を達成するための目安、つまり、医療関係者などを含めて、ワクチンをどのような職種の人にどの程度接種すべきかについての信頼できる研究があれば、国内人口のすべてにワクチンで免疫をつけさせるという考えを政治家が先送りし、他国とワクチンを共有することに前向きになれるかもしれない。

米中競争と世界

  • 中国が望む世界
    ―― そのパワーと野心を検証する

    ラナ・ミッター

    雑誌掲載論文

    世界第2位の経済大国である中国が、ライバルが規定した条件で世界秩序に参加するはずはない。特に、2008年のグローバル金融危機以降、中国指導部は、自国の権威主義的統治システムは、自由主義国家に至るプロセスにおける一つの形態ではなく、それ自体が目的地であると明言するようになった。明らかに国際秩序を作り替えることを望んでいる。中国は間違いなく、国際社会の「舞台中央に近づきつつある」と習はすでに宣言している。今後の展開にとっての重要な鍵は、中国が世界における自らの野心を、他国にとってある程度許容できるものにできるかどうかだ。現実には、もっともらしい新世界秩序を作る中国の能力を脅かしているのは、その権威主義体質に他ならない。

  • 「アメリカは敗北しつつある」
    ―― 米中競争についての北京の見方

    ジュリアン・ゲワーツ

    雑誌掲載論文

    2008年の金融危機を前に、北京の指導者たちは欧米の衰退が実際に始まったと考えるようになった。マルクス主義的な歴史の流れを信じる北京の指導者たちは、毛沢東の言う救いようのない「反動勢力」で無為に中国を抑え込もうとするアメリカは挫折すると考えてきた。この考えが中国の習近平国家主席の世界観を規定している。それだけに、ワシントンは中国の能力と目的を評価するだけでなく、「北京の指導者たちがアメリカをどのように認識しているか」を踏まえた戦略をとるべきだ。アメリカが衰退の一途をたどっているという中国の指導者たちの思い込みを覆す戦略が必要だ。中国とうまく競い合うためにアメリカが実行しなければならないことの多くは、アメリカが管理できる範囲内にあり、まだ行動のための時間も残されている。

  • 中国のグローバルドローン戦略
    ―― 対抗するか、取り残されるか

    マイケル・C・ホロウィッツ、ジョシュア・A・シュワルツ 、マシュー・ファーマン

    雑誌掲載論文

    2011年まで、軍事ドローンを保有していたのはアメリカ、イギリス、イスラエルの3カ国だけだったが、2011年から2019年の間にその数は18カ国に上昇した。こうした軍事ドローンの拡散は、主要サプライヤーとして中国が出現した時期と一致している。ドローン輸出戦略をとる中国の優位の一つは「相手国政府の立場や内政を問わないこと」にある。一方、アメリカは長く輸出規制を課してきた。トランプ政権が再解釈を通じて規制を緩和するなか、ドローンの輸出を認めるのか、誰に対して洗練された軍事ドローンテクノロジーの輸出を認めるのか。次期政権はこの難しい質問に答えを出すことを迫られる。

  • アメリカの危険な対中コンセンサス
    ―― チャイナスケアを回避せよ

    ファリード・ザカリア

    Subscribers Only 公開論文

    「経済的にも戦略的にも、中国はアメリカの存続にかかわってくる脅威であり、これまでの対中政策はすでに破綻している。ワシントンは中国を封じ込めるためのよりタフな新戦略を必要としている」。これが、民主・共和両党、軍事エスタブリッシュメント、主要メディアをカバーしている新対中コンセンサスだ。しかし、このコンセンサスでは脅威が誇張されている。ソビエトの脅威を誇張したことの帰結がいかに大きかったことを思い出すべきだ。中国が突きつける課題を現状で適切に判断しないことの帰結はさらに大きなものになる。40年にわたる中国へのエンゲージメントを通じてやっと獲得したものを浪費し、中国に対決的政策をとらせ、世界の二大経済大国を経験したことのない規模と範囲の危険な紛争へ向かわせる。この場合、われわれは数十年にわたる不安定化と不安の時代に向き合うことになる。・・・

  • 民主世界と中国の冷戦
    ―― 北京との共存はあり得ない

    アーロン・L・フリードバーグ

    Subscribers Only 公開論文

    欧米の期待に反し、政治体制の締め付けを緩め、開放的政策をとるどころか、習近平は国内で異常なまでに残忍で抑圧的な政策をとり、対外的にもより攻撃的な路線をとるようになった。アメリカに代わって世界を主導する経済・技術大国となり、アメリカの東アジアでの優位を切り崩そうとしている。北京は、民主社会の開放性につけ込んで、相手国における対中イメージと政策を特定の方向に向かわせようと画策している。だが、北京は、中国市民を恐れている。自分たちが「社会の安定」と称するものを無理矢理受け入れさせるために大きな努力をし、国内の治安部隊やハイテク監視プログラムに数十億ドルを費やしている。共産党が絶対的な権力をもつ中国が、リベラルな民主世界が強く団結している世界において快適に共存できるとは考え難いし、民主世界が団結を維持できれば、中国が変わるまで、ライバル関係が続くのは避けられないだろう。

  • アジアにおける戦争を防ぐには
    ―― 米抑止力の形骸化と中国の誤算リスク

    ミシェル・A・フロノイ

    Subscribers Only 公開論文

    中国の積極性の高まりと軍備増強、一方での米抑止力の後退が重なり合うことで、米中戦争がアジアで起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている。アメリカを衰退途上の国家だと確信し、すでに抑止力は空洞化しているとみなせば、北京は状況を見誤って台湾を封鎖あるいは攻撃する恐れがある。早い段階で台湾に侵攻して既成事実を作り、ワシントンがそれを受け入れざるを得ない状況を作るべきだと北京は考えているかもしれない。要するに、北京はワシントンの決意と能力を疑っている。こうして誤算が起きるリスク、つまり、抑止状況が崩れ、2つの核保有国間で紛争が起きる危険が高まっている。

  • 中国に迫り来る大混乱
    ―― コロナウイルスと不安定化する体制

    ミンシン・ペイ

    Subscribers Only 公開論文

    習近平改革のすべては、結局、共産党を弱体化させている。国有企業の不自然な成長は中国経済の構造を歪め、監視体制の強化は人々の反発を買い、新型コロナウイルス拡散への対応は、政府に対する市民の失望を高めた。米中競争に派生する緊張が、民衆を習近平体制の打倒へ向かわせるかもしれない。習の威信と権力が傷つけば、彼の政治的ライバルたちが大胆な行動をとるようになるかもしれない。少なくとも指導層内部での不協和音が大きくなれば、習近平の不安とパラノイア志向は大きくなり、着実なコースを描く彼の能力はさらに損なわれる。コロナウイルスの対応を含む、過去数カ月の出来事は、共産党の支配体制が多くの人が考える以上に不安定化していることを示している。

  • 未来に備える能力の強化を
    ―― 軍の近代化と産業基盤の再生

    ヒラリー・クリントン

    雑誌掲載論文

    アメリカはさまざまな脅威に直面しつつも、危険なまでに備えを欠いている。この国の産業や技術上の優位は崩れ、その生命線であるサプライチェーンは危機にさらされ、同盟関係はほころび、政府は空洞化している。必要なのは防衛力の近代化と国内産業基盤の強化で、この二つを組み合わせる必要がある。軍の近代化は、莫大なコスト削減につながり、その余剰資金を、国内における先進製造と研究開発に投じることができる。そうすることで、アメリカがライバル諸国と競争し、気候変動や未来のパンデミックなど非伝統的な脅威に備える助けになる。このように外交政策と国内政策を統合すれば、その双方をより効率化できる。それは、不透明な世界でこの国が再び足場を築いていく助けになるはずだ。

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