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論文データベース(最新論文順)

CFR Backgrounder
中央アジアで衝突する米中のシルクロード構想

2015年7月号

ジェームズ・マックブライド オンラインライター・エディター

古代シルクロードによって中央アジアは世界最古のグローバル化の中枢地域となった。西と東の市場がつながったことで膨大な富が生み出されただけでなく、文化的・宗教的な規範と伝統が双方向へ拡散した。・・・しかし、16世紀までには、アジアとヨーロッパの陸上貿易は、より安価で時間もかからない海洋貿易ルートへとほぼ移行していた。現在の中央アジアは世界的にみても地域統合の遅れている地域の一つで、それだけに中央アジア地域を経済的に統合していけば、大きなポテンシャルを開花させられる可能性がある。この地域を重視しているのは新シルクロード構想を表明した中国だけではない。アメリカも新シルクロード構想を通じて、中央アジア地域への関与を深めている。インドもロシアも独自の中央アジア構想をもっている。それぞれの構想がどのように交わり、衝突するかによって、今後の中央アジア秩序が描かれることになるだろう。

ロボットが人の日常を変える
―― パソコンからパーソナルロボットへ

2015年7月号

ダニエラ・ラス マサチューセッツ工科大学コンピュータサイエンス&人工知能ラボディレクター

ロボットが日常化した世界では、人は目を覚ますと、自分専用のお使いロボットにスーパーマーケットで朝食用のフルーツとミルクを買ってくるように命令するかもしれない。ロボットはスーパーマーケットで、自分で買い物をしている人間に出会うかもしれないが、彼らもスーパーまで自律走行車を利用し、店内でも欲しいモノがある場所に連れて行き、商品の新鮮さ、生産地、栄養価値の情報を提供してくれる自動カートを利用している。・・・ロボット工学の目的は、ロボットが人間を助け、人間と協力する方法を見つけることにある。ロボットが人間の生活の一部となり、現在のコンピュータやスマートフォンのように一般的、日常的なものになればどうなるだろうか。現在の研究課題はロボットがモノをどのように扱うか、いかに推定するか、環境をどのように知覚するか、そしてロボット同士で、そして人間といかに協力するかを進化させていくことにある。

イスラム国のサウジ攻略戦略
―― テロと宗派間紛争

2015年7月号

ビラル・Y・サーブ アトランティックカウンシル  シニアフェロー

アルカイダは、2003―2006年にサウド家を倒そうと、テロでサウジ国内を混乱に陥れようとした。これはサウジの近代史におけるもっともせい惨で長期化した紛争だった。そしていまやイスラム国がサウジ国内でテロ攻撃を繰り返している。イスラム国の戦略は、アルカイダのそれ以上に巧妙かつ悪魔的で危険に満ちている。バグダディはサウジのシーア派コミュニティを攻撃して挑発し、その怒りをサウジ政府へと向かわせることで、宗派間戦争の構図を作り出そうとし、すでにサウジのことをイスラム国・ナジュド州と呼んでいる。一方、サウジの新聞とツイッターはシーア派に批判的な発言で溢れかえっている。政府は(反シーア派的な)メディアの主張と宗教指導者の活動をもっと厳格に監視し、抑え込む必要がある。そうしない限り、宗派間紛争が煽られ、サウジ政府とイスラム国の戦いが長期化するのは避けられないだろう。

ドローンのポテンシャルを生かすには
―― 無限大のポテンシャルVS.規制

2015年6月号

グレッチェン・ウェスト ドローンディプロイ社副社長

いまやドローンテクノロジーは軍事領域だけでなく、政府や警察などの公的部門でも利用されるようになった。しかし、民間での利用は市民がドローンを公園に持ち込んで趣味で楽しむ程度で、商業利用はほとんど進んでいない。たしかに、ドローンの登場で不動産エージェントは、これまでは考えられなかった角度から物件の写真をとれるようになり、農家は作物の病害虫被害をかつてなく早い段階で発見できるようになった。だが、ドローンの商業利用のポテンシャルは無限大だ。この新しい産業の成長を抑え込むような行き過ぎた規制を導入すべきでない。2025年までに商業ドローンの世界市場規模は17億ドルに達するとみなす予測もある。現実に即した分かりやすいルールを考案すれば、ドローンの商業利用は一気に開花するだろう。

中国の夢と現実
―― 習近平時代の中国の夢と民衆の思い

2015年6月号

ペリー・リンク
プリンストン大学名誉教授

中国人であることは何を意味するのか。それは「世界に冠たる文明の一部となり」、儒教的価値に即した適切な行いを実践し、守っていくことを意味する。こうした儒教思想を前提とする伝統的な道徳・政治システムは非常に長期にわたって維持されてきた。西欧列強のテクノロジー、ナショナリズム、共産主義によって大きな衝撃は受けたが、それでも基本的な流れは変化しなかった。民主主義という近代的なラベルを取り入れつつも、中国は伝統的な権威主義モデルを維持しようと試みた。だが、この矛盾がいまや大きなきしみ音をたてている。中国的特性の今日的価値観が何であるかについてのコンセンサスはもはや存在しないし、いまや中国の大衆は民主主義という言葉をそのまま受け入れている。だがそれでも、習近平は伝統的な政治道徳モデルを復活させようとしている。事実、彼の言う「中国の夢」は富や国家的プライドだけでなく、権威への服従を強調している。・・・

CFR Events
ギリシャ危機と中国発世界不況
――世界経済アップデート

2015年6月号

ルイス・アレクサンダー
野村證券インターナショナル、 マネージングディレクター ピーター・フィッシャー
前財務省次官補(国内金融) エレン・ゼントナー
モルガンスタンレー、 マネージングディレクター セバスチャン・マラビー
米外交問題評議会地政経済学センター所長

ヨーロッパは、ギリシャ政府が到底満足しない程度の融資しかオファーしない。ここでギリシャは「ヨーロッパの条件を受け入れてユーロに留まるか、あるいは、別の道を選ぶか」を決めなければならなくなる。だが私は、最終的にギリシャはユーロ圏に留まるとみている。・・・(L・アレクサンダー)<br>

中国のGDPの50%は新規投資だ。つまり、次年度に前年度と同じ数と規模の高速道路、病院、道、橋、トンネル、工場、学校しか作らなければ、経済の半分は成長しなくなる。依然として成長の余地は残されているが、そう遠くない将来に、中国経済は縮小し始める。・・・いずれバランスシートを合理的なレベルへと縮小させなければならなくなる。このタイミングで中国発世界不況が起きる。(P・フィッシャー) <br>

グローバルな「ローフレーション」を前に世界では2014年12月以降、30を超える国の中央銀行が量的緩和、金融緩和、あるいは為替介入を試みている。結局、この状況ではアメリカ経済はドル高という重荷を引き受けざるを得ない。アメリカ経済のインフレ率もそう高くないが、ドル高をある程度容認せざるを得ない環境にある。(E・ゼントナー)

破綻国家へと向かうイエメン
―― イエメンにおけるサウジの挫折

2015年6月号

ファリア・アル・ムスリム
カーネギー中東センター客員研究員

空爆では何も解決しない。国際コミュニティと地域諸国がイエメンを救うためのコミットメントを示さない限り、この国はシリア、リビア、イラクのような混乱、あるいはそれ以上のカオスに陥り、これら3カ国の問題が重なり合う無残な空間と化すかもしれない。イエメンに介入せざるを得なくなったこと自体、・・・サウジの失敗を物語っている。アラブ世界でもっとも豊かな国がアラブ世界の最貧国の政治ダイナミクスを変えるために空爆を実施せざるを得なくなった。現在の危機は、この数年にわたって地域諸国がイエメンの混乱に傍観を決め込んだことによって直接的に引き起こされている。仮にフーシ派を抑え込めたとしても、劣悪な生活レベル、少数派の政治的周辺化、弱体な政府といった紛争の根本要因は残存する。すでに1000人のイエメン人が空爆の犠牲になり、数千人が負傷し、数十万人が難民化している。

中国の新シルクロード構想
―― 現実的な構想か見果てぬ夢か

2015年6月号

ジェイコブ・ストークス
ニュー・アメリカンセキュリティ研究所フェロー

シルクロード構想は、アメリカのアジア・リバランシング戦略への対抗策として考案された。陸と海の新シルクロードに沿って巨大な経済圏を形成しようとする、一帯一路とも呼ばれるこの構想は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)による資金的裏付けをもち、中国の政治・経済エリートにも支持されている。相手国のインフラ整備を助けるだけでなく、中国(の国有企業)が抱え込んでいる過剰生産能力のはけ口としての外国市場を切り開き、人民元の国際的役割を強化できる可能性もある。いずれ、中国が主要な役割を担う非欧米型国際ネットワークの構築という北京の野望を実現する助けになるかもしれない。しかし、この構想は、ロシアのユーラシア経済連合、インドの対外構想と直接的に衝突するし、結局は、アフリカや中東での紛争に引きずり込まれ、中国のパワーを時期尚早に広く薄く拡散させることになるだろう。・・・

AIIBを恐れるな
―― 米日がAIIBに参加すべき理由

2015年6月号

フィリップ・Y・リプシー スタンフォード大学助教授

欧米は、経済的・地政学的に台頭する中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を立ち上げた意図を疑い、既存の国際的金融機関の役割を切り崩そうとしているのではないかと懸念している。たしかに、アメリカが世界銀行を通じて、日本がアジア開発銀行(ADB)を通じて優位を手にしてきたのと同様に、AIIBは中国に優位を与えることになるだろう。だが、多国間開発銀行で主導権をもつことは大国の証のようなものだ。重要なポイントは、「多国間開発銀行の設立か、あるいは空母の調達のいずれかで、中国が影響力と国際的な名声を確立しようと試みるとして、どちらの道筋が好ましい」とわれわれが考えるかにある。米日がAIIB構想に参加すればより大きな利益を確保できるし、AIIBの今後のコースに影響を与えることもできるだろう。

日本の新しいエネルギーミックス
―― 原子力とソーラーを組み合わせよ

2015年6月号

バラン・シバラム  米外交問題評議会フェロー

ソーラーパワーの電力網へのアクセス制限や固定価格買取制度の見直しなど、日本ではソーラーパワー拡大を阻む逆風が吹いている。しかし、「原子力かソーラーか」ではなく、この二つを組み合わせれば、2020年までに日本は化石燃料輸入を3分の1減らすことができるし、電力需要の3分の1を満たせるようになる。日本の電力会社は、ソーラー電力を買い取って電力網に組み込むよりも、安定した資本収益を期待できる一元的な原発施設のほうが好ましいと考えているのかもしれない。しかし、原子力とソーラーを組み合わせてともに推進すれば、エネルギー安全保障を強化し、経済を拡大し、地球温暖化対策上のゴールに近づき、他の諸国が踏襲できるモデルを示すことができる。日本は、安全性に配慮しながら原子力による電力生産を強化するとともに、ソーラーエネルギーを育んでいく長期的なエネルギービジョンを示すべきだろう。

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