アメリカなき民主世界
―― 民主的後退の世界的帰結
2021年8月号
トランプは共和党を彼に忠実なだけでなく、民主主義に敵対する組織として再編している。この流れのなか、開票と投票結果の認定を含む独立した選挙管理体制を覆そうとする法律の制定が試みられている。この試みが成功すれば、アメリカは「自由で公正な選挙のための最低限の条件を満たせない」史上初の先進民主国家になる。民主主義の失敗による壊滅的ダメージの余波にさらされるのはアメリカだけではない。それは深刻なグローバルな帰結を伴う。パワフルな国家には、模範であれ、悪例であれ、影響力があるからだ。トランプ政権期に、民主的不況が民主的世界恐慌へ悪化したのも、まさにこのためだ。アメリカの民主主義に何が起きるかが、世界中の民主主義の運命を決めることになる。