パンデミックと政治
―― 何が対応と結果を分けたのか
2020年7月号

「一部の国は他の国よりもなぜうまくパンデミック危機に対応できたのか」。答えはすでに明らかだ。パンデミック対応の成功を説明する要因は国の能力、政府への社会的信頼そして指導者のリーダーシップだ。有能な国家組織、市民が信頼して耳を傾ける政府、そして優れた指導者という三つの条件を満たす国は、ダメージをうまく抑え込む、見事な対応をみせた。一方、政府が機能不全に陥り、社会が分裂し、指導者にリーダーシップがなければ、市民や経済は、ウイルスに翻弄された。対応をひどく誤ったアメリカの威信と名声はいまや地に落ちている。今後、数年にわたって、パンデミックはアメリカの相対的な衰退とリベラルな国際秩序の形骸化をさらに進め、世界各地でファシズムの復活を促すことになるかもしれない。現在のトレンドが劇的に変化しない限り、全般的な予測は憂鬱なものにならざるを得ない。