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国防と安全保障に関する論文

アルカイダ対イスラム国
―― アフガンにおける権力闘争

2021年11月号

コール・ブンゼル  フーバー研究所フェロー

タリバンは、アルカイダとの関係を維持する一方で、アフガンの正統な支配者として国際的な承認を得たいと考えている。アルカイダの「トランスナショナルな(テロ)アジェンダ」は共有していない。タリバンの利益認識はアフガンに始まりアフガンに終わる。一方、イスラム国(ISIS)は強硬路線をとることで、タリバン内の強硬派を取り込んでアフガンでの基盤を拡大したいと考えている。(米軍の撤退と)タリバンの復権によって、アルカイダは組織を再編する上でこの10年で最大の機会を手にするかもしれないが、それを生かすのは容易ではない。一方、ISISが民衆の支持を勝ち取り、マンパワーと資金面でタリバンと五分に持ち込むのもおよそ不可能だ。・・・

中国のアフガニスタン・ジレンマ
―― 失われる安定と予測可能性

2021年11月号

セス・ジョーンズ  米戦略国際問題研究所(CSIS) シニアバイスプレジデント ジュード・ブランシェット  米戦略国際問題研究所(CSIS) 中国研究部長

「ポストアメリカの中央アジア」情勢は中国に恩恵よりもリスクをもたらすことになるだろう。国境の西側でアフガンという破綻国家に直面し、南西側ではインドとの緊張が高まっている。北東には北朝鮮という不安定で厄介なパートナーがいる。しかも、台湾海峡を含めて、アメリカとの競争はエスカレートしている。習近平は安定と予測可能性を模索しているが、アメリカのアフガン撤退後の地域情勢では、そのどちらも手に入れられなくなるだろう。実際、アメリカのアフガン撤退は、(台湾を含む)東部での競争のエスカレーションに集中すべきタイミングで、北京を身動きできなくする恐れがある。

今度こそアジアシフト戦略を
―― 経済・安全保障エンゲージメント

2021年10月号

ザック・クーパー アメリカンエンタープライズ研究所 リサーチフェロー アダム・P・リフ インディアナ大学 準教授(国際関係論)

バラク・オバマがアジアリバランシング戦略を表明して10年。そこにある現状は「野心的なレトリックと控えめな行動間のギャップが作り出した不安と懸念」でしかない。今後、三つのポイントが重要になる。アジアへの関与を中国への対応枠組みの一部としてではなく、前向きなアジェンダ、地域戦略ととらえること。アメリカが離脱した後に成立した、TPPをベースとする「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」の参加に向けて交渉を再開すること。そして、中東での軍事プレゼンスを削減してアジアでの抑止力を強化することだ。特にアジアの同盟国やパートナーと協力して、力強い拒否的抑止戦略を考案し、武力行使ではアジアでの目標は達成できないと北京に納得させる必要がある。ワシントンがアジアリバランスといったレトリックを何回使ったかはほとんど意味がない。重要なのは、実際にそうするかどうかだ。

アフガンは再びテロの聖域と化すのか
―― グローバルジハードとナショナリズム

2021年10月号

ダニエル・バイマン ジョージタウン大学教授

すでにアルカイダはタリバン勢力と一体化し、合同で訓練し、共同作戦を展開しているとする見方もある。一方、タリバンとイスラム国との関係は不安定だ。「タリバンはアフガンのナショナリズムを優先して汎イスラム主義を放棄した」とISISは批判し、アルカイダとタリバンの双方に強く反発している。現実には、ジハード主義運動のなかで権力抗争が起きているとみるのが真実に近い。今後、タリバンはISIS司令官の取り込みを図り、忠誠を誓わない集団は粉砕していくつもりかもしれない。しかし、対テロ作戦上の最大の試金石は、タリバンが再びアルカイダが国際テロ攻撃の拠点としてアフガンを使用することを認めるかどうかだ。少なくとも、国際テロを支援するタリバンのインセンティブはそれほど大きくないだろう。アルカイダが実行した9・11の結果、米軍が介入してきたために、タリバンは20年にわたって権力を奪われ、米軍との戦闘で中枢のリーダーたちを失ってきたのだから。

アイデンティティと中国の政治・外交
―― 共産党の自画像と北京のアジェンダ

2021年7月号

オッド・アルネ・ウェスタッド  イェール大学教授(歴史学)

中国を支配しようとする者にとって、アイデンティティ、領土、文化に関する問いにどう答えるかは極めて重要だ。大清帝国の瓦礫の上に現代中国を構築した共産党にとって「中国とは何か、そして中国人とは誰か」を定義することは、「中国的特質を持つ社会主義」を育むのと同じくらい重要だった。それだけに、広東省南部の人々のほとんどが「自分を中国人だ」と自覚しているのに、チベットや新疆にルーツがある人々がそうではないと考えていることは大きな問題だ。共産党は国内で生活する人すべてを中国人と定義している。そして、共産党が、国の領土主権にこだわっているのは、帝国から引き継いだ領土の一部で、その支配に挑戦する動きが生まれることを警戒しているからに他ならない。台湾ほど中国の出方を警戒すべき場所はない。北京は、いつでも好きなときに力によって乗っ取る権利があると考えている。

中国の台湾侵攻は近い
―― 現実味を帯びてきた武力行使リスク

2021年7月号

オリアナ・スカイラー・マストロ   スタンフォード大学国際関係研究所 センターフェロー

この数カ月、北京が平和的な台湾アプローチを見直し、武力による統一を考えていることを示唆する不穏な動きがある。「アメリカが台湾有事に介入してきても、状況を制することができる」と考えられている。かつては台湾への軍事作戦など現実的オプションではないと考えていた中国政府も、いまや、それを現実の可能性として捉えている。習近平は台湾問題を解決するという野心を明らかにし、武力統一というオプションへの中国市民と軍指導層の支持も強化されている。この30年で初めて、ほぼ1世紀にわたる内戦を決着させるために中国が軍事力を行使する可能性を真剣に憂慮すべき環境にある。

中ロ離間戦略を
―― 対ロエンゲージメントのポテンシャル

2021年6月号

アンドレア・ケンドール=テイラー  新アメリカ安全保障センター 大西洋横断安全保障プログラム ディレクター
デヴィッド・シュルマン 共和党国際研究所 シニアアドバイザー

中国とロシアの利益の重なり合い、軍事力その他の分野での相互補完性は、アメリカのパワーに対する両国の脅威をたんなる足し算以上に大きくしている。中国は、ロシアとの関係を利用して軍事力のギャップを埋め、技術革新を加速し、アメリカのグローバルリーダーシップを切り崩そうとしている。一方、国際社会で周辺化されていくことを警戒するモスクワは、アメリカがロシアと交渉せざるを得ないと考える環境を作り出そうと考え、北京との関係をそれを強化するための手段とみているようだ。例えば、中国に洗練された兵器を販売することで、モスクワはそうした関係の構築を模索してきた。ワシントンは関係の強化へと両国を向かわせるような行動を避けつつ、中ロの接近と協調をいかに制約するかをクリエーティブに考える必要がある。

「台湾と中国」というアメリカ問題
―― 台頭する新興国と衰退する超大国

2021年6月号

チャールズ・L・グレーザー  ジョージ・ワシントン大学エリオット・スクール 教授(政治学、国際関係論)

ワシントンは慎重なアジア政策をとっていると考えられているが、実際には、環境が変化していることを考慮せずに、既存のコミットメントを維持している。かつてのようなパワーをもっていない大国が、現状を無理に維持しようと試みれば、非常に危険な賭けに打って出る恐れがある。もちろん、東アジアの同盟関係へのコミットメントは維持すべきだが、台湾を含む南シナ海地域への関与路線は見直すべきだろう。アメリカのパワーが低下しているのなら、最善の選択肢はコミットメントを減らすことかもしれない。これは、南シナ海において中国がより多くの影響力をもつことを認め、台湾を手放し、もはや東アジア地域における支配的なパワーではないことをワシントンが受け入れることを意味する。・・・

時代後れで危険な湾岸政策
―― アメリカの湾岸政策のリセットを

2021年4月号

クリス・マーフィー  米民主党上院議員(コネチカット州選出)

「ペルシャ湾岸地域を支配しようとする外部勢力によるいかなる試みも、アメリカの死活的に重要な利益に対する攻撃とみなす」。この演説がその後「カーター・ドクトリン」として知られるようになり、以来、アメリカの中東政策の基盤とされてきた。しかし、いまやサウジよりもメキシコからより多くの石油をアメリカが輸入していることからも明らかなように、状況は大きく変化している。バイデン大統領は、新しい現実を見据えて政策をリセットし、むしろ、多角的で安定した国民経済、民衆の声に耳を傾けるような政府をもつ平和な地域へ湾岸が向かっていくのを助けるべきだろう。

ザ・アリーナ
―― 米中対立と東南アジア

2021年3月号

ビラハリ・カウシカン 前シンガポール外務省 事務次官

中国の国家規模と経済の重みが東南アジア諸国の不安を高め、習近平国家主席の強引な外交路線がそうした感情をさらにかき立てている。しかし、こうした不安もアジア最大のパワーとの政治的、経済的つながりを維持していく必要性とともに、バランスよくとらえなければならない。「中国かアメリカか」、いずれか一つとの排他的な関係を選べる国は東南アジアには存在しない。アメリカが中国に対してあまりにも強引なスタンスをとれば、事態が紛糾するのではないかという地域的懸念を高め、あまりにも控えめな態度をとれば、見捨てられるのではないかと不安になる。だが「国家は競争する一方で、協力することもできる」。これこそ基本的に東南アジアがアメリカと中国の関係に期待していることだ。

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