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アイデンティティと中国の政治・外交
―― 共産党の自画像と北京のアジェンダ

オッド・アルネ・ウェスタッド  イェール大学教授(歴史学)

Identity Politics with Chinese Characteristics How the CCP’s Quest to Define “China” Shapes Beijing’s Agenda

Odd Arne Westad ノルウェー出身の歴史家で、現在はイェール大学教授(歴史学)。専門は冷戦史、東アジアの歴史。著書にThe Cold War: A World History (New York: Basic Books, 2017)などがある。フォーリン・アフェアーズでは「中国対外行動の源泉―― 米中冷戦と米ソ対立の教訓」(FAR2019年9月号掲載)などを発表している。

2021年7月号掲載論文

中国を支配しようとする者にとって、アイデンティティ、領土、文化に関する問いにどう答えるかは極めて重要だ。大清帝国の瓦礫の上に現代中国を構築した共産党にとって「中国とは何か、そして中国人とは誰か」を定義することは、「中国的特質を持つ社会主義」を育むのと同じくらい重要だった。それだけに、広東省南部の人々のほとんどが「自分を中国人だ」と自覚しているのに、チベットや新疆にルーツがある人々がそうではないと考えていることは大きな問題だ。共産党は国内で生活する人すべてを中国人と定義している。そして、共産党が、国の領土主権にこだわっているのは、帝国から引き継いだ領土の一部で、その支配に挑戦する動きが生まれることを警戒しているからに他ならない。台湾ほど中国の出方を警戒すべき場所はない。北京は、いつでも好きなときに力によって乗っ取る権利があると考えている。

  • アイデンティティと文化の意味
  • 中華帝国
  • 帝国から国民国家へ

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