1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

国防と安全保障に関する論文

高市ビジョンと地政学
―― 揺れ動く世界と日本の選択

2026年4月号

マイケル・J・グリーン シドニー大学 アメリカ研究センター所長

高市の戦略は「アメリカか、中堅国との連携強化か」という間違った二者択一を強いるものではない。むしろ、アメリカを中核に、アジアやヨーロッパへ広がる経済・安全保障のパートナーシップの広範な連合を築かなければならないという認識に基づいている。これが、中国の威圧に対抗する上で唯一の実行可能なアプローチだろう。彼女の目標は、アメリカとの安全保障関係をさらに強化することを軸に、より好ましい地域的パワーバランスを取り戻すことにある。そのビジョンは、揺るがされた世界秩序に直面する責任ある国家にとって、もっとも現実的な今後の道筋を示している。

プレサイス・マスの時代とドローン
―― シャヘドとルーカス

2026年4月号

マイケル・C・ホロウィッツ 外交問題評議会シニアフェロー (テクノロジー・イノベーション担当)。
ローレン・A・カーン ジョージタウン大学 安全保障・新興技術センター シニアリサーチ・アナリスト

戦闘機、戦車、巡航ミサイルといった高度な能力の開発・配備では依然としてアメリカが主導権を握っているが、監視用ならびに短距離・長距離攻撃用の低コストで自律性の高いドローンの開発・配備ではイラン、ロシア、ウクライナが先行している。そして、高価な兵器で安価な兵器を無力化するワシントンのやり方は持続不可能だ。拡張性のある低コストの精密兵器やセンサーの広範な配備で特徴づけられる「プレサイス・マス」の時代にあって、アメリカは「卓越した軍事能力以上のもの」を必要としていることを理解する必要がある。「ドローンが必要だ。それも大量に、今すぐに必要だ」。

危険な世界にいかに備えるか
―― 問われる日本の安全保障戦略

2026年4月号

岡野正敬 前国家安全保障局(NSS)局長

いまや人々は、かつてより外交政策を注意深く見守り、自分の立場を支える情報を消費する傾向がある。それだけに、国家安全保障の実務を担当する者は、過去の担当者たち以上に、丁寧にその決定を社会に説明し、擁護していかなければならない。現在の脅威についての理解を社会と共有できなければ、日本が有効な対策を講じるのは難しい。安全保障上の複雑な脅威とアメリカとの新たな関係に適応していくには、強力な防衛力と情報力、そして経済力が求められる。しかし、緊張と分裂の少ない未来を築くためには、外交が必要になる。今こそ外交的エンゲージメントに力を入れるべきだと私は確信している。

アメリカ後のアジア
―― 米戦略の破綻と中国の優位

2026年4月号

ザック・クーパー アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート シニアフェロー

アメリカがアジアへの経済的・政治的関与を削減していくにつれて、中国が、同盟国やパートナーを切り崩していくリスクにわれわれは直面している。すでに、こうした諸国の多くは、これまでの同盟や連携を再考し、北京の方がより魅力的なパートナーかもしれず、中国が地域の覇権国になるのは避けられないとの結論に近づいている。このために、第1列島線上の少数の国の防衛を重視するアメリカの戦略さえ、もはや維持できないかもしれない。アジア重視路線から離れ、後退を受け入れることが、アメリカのアジアにおける利益を守る最善の方法ではない。だがそうなるのは、避けられないだろう。

日本を一人にしてはいけない
―― 中国のアジア太平洋覇権を阻むには

2026年3月号

ダン・ブルメンタール アメリカン・エンタープライズ研究所 シニアフェロー
マイク・クイケン スタンフォード大学フーバー研究所 特別客員研究員
ランドール・シュライバー 元米国防次官補

日米は重要な岐路に立たされている。東京が、中国との長期にわたる対立に備えて大胆な措置をとり続けるなか、ワシントンのコミットメントは揺らいでいる。東京は難しい部分をこなしてみせた。今度はワシントンが立場を強化しなければならない。中国は、アジア太平洋の覇権を握るという野望を実現する上で、日米同盟が最大の障害であることを理解している。経済的にレジリエントで、外交的に活発で、軍事能力の高い日本なら、台湾を孤立させ、近隣諸国を威圧し、アメリカがこの地域に関与するコストを引き上げる北京の計画を損なうことができる。アメリカは、日本と同盟国にとって台湾有事は存立にかかわるという高市の発言を支持して、同盟国と共にあることを示す必要がある。

トランプ戦略の末路
―― 主要国の反発と拒絶

2026年3月号

スティーブン・M・ウォルト ハーバード大学ケネディ・スクール 教授(国際関係)

ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。対米依存を減らす努力をする国もあれば、アメリカのライバルと新たな取り決めを結ぶ国もあるだろう。そして相当数の国が、アメリカの利己的な行動へ報復する機会を待ち望むようになるだろう。結局、世界的な反発が高まり、ワシントンの主要なライバルにとって魅力的な機会がもたらされる一方、アメリカの安全、繁栄、影響力は低下していくだろう。

アメリカは信頼できるのか
―― 思い悩むアジアのパートナー

2026年3月号

ジョシュア・クランジック 米外交問題評議会(CFR) シニアフェロー(東南アジア・南アジア担当)

西半球と米本土防衛を重視するトランプ政権は、「アメリカの利益に対する脅威としての中国」という認識を下方修正している。一方、これまでとは違って、 新しい米国防戦略では台湾は言及されていない。国家安全保障戦略でも、アメリカは「台湾海峡における現状の一方的変更」に反対するのではなく、単に「支持しない」とされている。日本のような、アジアにおけるもっとも緊密なパートナーとの防衛関係をめぐっても、アメリカの信頼性は疑問視されている。 いまや全てのアジア諸国がアメリカとのパートナーシップが信頼できるかどうかを再検証している。

体制変革と歴史の教訓
―― イラン、ベネズエラ、ガザ

2026年2月号

リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長

アフガニスタン、イラク、リビアでの惨憺たる失敗から考えれば、ベネズエラやイランなど、ここにきて体制変革論が突然、復活していることには驚かされる。少なくとも、政権打倒後の計画がなければ、壊滅的な事態に直面することは、歴史の教訓としてわかっている。だが、おそらくもっとも重要なのは、「対応を必要とする現象としての体制変革」と「特定の結末を得るための意図的な政策としての体制変革」をワシントンが区別することだ。ベネズエラ、ガザ、そしておそらくはキューバへのアプローチを考える上で重要なのは、他国におけるトランスフォーマティブな変化を作り出すのではなく、出現した機会を前にそれに対応し、支援することに焦点を合わせることだ。

米同盟諸国の苦悩
―― アメリカ後の選択肢を求めて

2026年2月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所 スカラー
マーラ・カーリン ブルッキングス研究所 客員研究員

安全保障と防衛をアメリカに依存する同盟民主諸国を中心に形成された戦後世界は、トランプによってすでに破壊されている。国内に分断を抱え、国防より社会保障の支出を優先する傾向のある同盟諸国は、トランプのやり方が永続化しないことを願い、時間稼ぎをして、様子見をしている。だが、それは賢明ではない。同盟を不必要な重荷とみなすトランプの立場を、アメリカ人も共有し、グローバルリーダーの重荷を背負うことにはいまや消極的だからだ。同盟諸国は、早急にアメリカ後に備えるべきだ。核開発を含めて、国防領域の自立を試みる国も出てくるかもしれない。同盟諸国がアメリカに代わる選択肢をもたないことは、危険であるばかりか、無責任と言えるだろう。

同盟国の核武装で戦後秩序の再建を
―― 独日加の核武装シナリオ

2026年1月号

モーリッツ・S・グレーフラート ユーラシア・グループ 国際問題研究所 フェロー
マーク・A・レイモンド オクラホマ大学 准教授(国際関係論)

ワシントンは核不拡散政策の厳格な順守を見直し、カナダ、ドイツ、日本という少数の同盟国による核武装をむしろ奨励すべきだろう。この3カ国は、合理的な政策決定と国内の安定という面で実績があるし、アメリカとその同盟国に大きな恩恵をもたらしてきた戦後秩序の再建に貢献できる。ワシントンにとって、このような「選択的な核拡散」は、パートナーが地域防衛でより大きな役割を担い、アメリカへの軍事依存を減らすことも可能にする。これらの同盟諸国にとって、核武装は中ロなどの地域的敵対勢力の脅威だけでなく、同盟関係への関与を弱めるアメリカの戦略見直しに対する信頼できる防護策となる。

Page Top