イランの孤立と米シリア戦略
―― なぜ親アサド同盟は分裂したか
2018年7月号
ロシアはアサドが権力を維持できるように支えてきたが、アサド政権にとってもっとも重要な同盟相手のイランは介入を利用して、シリアでの永続的な軍事的プレゼンスを確保するのが狙いだった。イランが大がかりに介入したことで、シリアの戦況は大きく塗り替えられたが、現在のイランはシリア国内に展開する軍事力をテコに、イスラエルに軍事的圧力をかけようと試みている。こうしたイスラエルとの対決路線を重視するイランの路線が、アサドを支える他の国際プレイヤーとの軋轢を生み出している。シリアの統治体制を固めていくにつれて、アサドそしてロシアを含むアサドを支援する勢力は、大統領としてのアサドのプレゼンスを正常化し、再建に向けた資金を確保しようと試みており、イスラエルとの戦争は望んでいないからだ。
