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論文データベース(最新論文順)

北朝鮮に原子力の平和利用を認めよ
―― 平和と原子力のバーターを

2017年7月号

リチャード・ローズ ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト、マイケル・シェレンバーガー エンバイロンメンタルプログレス 会長

平壌が本当に望んでいるのは、攻撃されないという保証、そして、経済開発のための電力生産能力を手に入れることだ。この意味では、核問題の軍事的解決策を望むタカ派だけでなく、原子力エネルギーに反対するハト派も間違っている。衛星写真をみると、電力の3分の1が原子力発電所によって供給されている韓国が明るく輝いているのに対して、北朝鮮はほぼ全域が暗闇に覆われている。核・ミサイル開発への制限を受け入れることを条件に、原子力による電力生産へのアクセスを認めれば、平壌は近隣諸国を脅かすのを止め、ミサイルその他の軍事物資の密輸を止める経済的インセンティブをもつようになるはずだ。われわれは北朝鮮において、アイゼンハワー大統領が1953年に国連で提唱した「平和のための原子力」構想を実現する機会を手にしている。

女性と経済活動
―― 有給出産休暇の大いなるポテンシャル

2017年7月号

アレクシス・クロー PwC地政学投資チーム アメリカアドバイザリー・リード

OECD諸国のなかで唯一、アメリカには普遍的な(連邦レベルでの)有給出産休暇制度がない。データが存在する世界170カ国のなかで、出産休暇中の女性に対する金銭的保証をまったく与えていないのは、アメリカとニューギニアの2カ国だけだ。問題の解決策が有給出産休暇制度の導入であることはすでに分かっている。女性たちは、出産休暇をとる段階ではすでにある程度のキャリアを積んでいる可能性が高く、組織の内外で価値ある関係を築き、専門知識を身に付けている。出産休暇中にも報酬を受け取っていれば、その女性が同じ企業に戻ってくる可能性は高くなり、企業パフォーマンスにも好ましい影響を与える。アメリカ女性の労働参加率が、手厚い有給休暇制度や家族にやさしい制度をもつカナダやドイツと同程度の参加率へ上昇すれば、少なくとも500万人の女性が労働力に参加し、アメリカ国内で年間5千億ドル以上の新たな経済活動が生み出されることになる。

ブレグジット後の連合王国
―― 先進小国のケースから何を学べるか

2017年7月号

マイケル・オサリバン クレディスイス チーフ・インベストメントオフィサー、デビッド・スキリング ランドフォール・ストラテジーグループ ディレクター

連合王国を構成するイングランド、北アイルランド、スコットランド、ウェールズそして隣接する独立国家アイルランドが、ブレグジットの混乱に翻弄されるのは避けられないだろう。特に、スコットランドや北アイルランドがイギリスからの独立を目指した場合、さらに大きな混乱に直面する。幸い、ブレグジット後に備える上で、これら連合王国の構成国や近隣国が参考にできるモデルがある。スウェーデンからニュージーランドまでの小規模な先進諸国(先進小国)だ。これらの国は教育を通じた人材育成、良質なインフラへの投資、危機に備えた規律ある財政政策の実施を心がけてきた。独立を目指すスコットランド、北アイルランドだけでなく、ブレグジットの大きな余波にさらされるアイルランドも、これら先進小国の叡知に学ぶべきだろう。

「中国の偉大な復興」と栄光の記憶
―― 偉大な過去の神話と屈辱の世紀

2017年7月号

エリザベス・エコノミー 米外交問題評議会 アジア研究部長

習近平の「中華民族の偉大な復興」というスローガンは中国民衆の共鳴を呼んだ。これは「屈辱の世紀」に耐えた中国を「正しい地位」に復帰させ、国際秩序の中心を超えたその上に位置づけるというストーリーだ。しかし、朝貢外交の時代を下敷きにするこの歴史認識は正しいとは言えない。現実には、周辺国は中国を怒らせずにわが道を行くために、さまざまな口実を駆使し、場合によっては真っ向から中国の意向を無視してきた。正確でない歴史認識を基に未来を語る中国に、われわれはどう対処していけばよいのか。実際、習近平政権は、外国のアイデアと資本が入ってくるのを制限する一方で、中国の対外的な政治的、経済的、軍事的影響力の強化を模索している。・・・

サウジはなぜカタールに強硬策をとったか
―― カタールの独自外交とアルジャジーラ

2017年7月号

デビッド・B・ロバーツ キングスカレッジ・ロンドン 助教授

国営のカタール・ニュースエージェンシー(QNA)は、タミル首長の一連の挑発的な発言を紹介した後、「カタールを陥れるバーレーン、エジプト、クウェート、サウジ、アラブ首長国連邦による陰謀を突き止めた」とするツイートを流している。その後ドーハは「カタールのニュースエージェンシーは、周到に計画されたハッキング被害に遭った」と主張し、米FBIもこの事実を事後的に確認したが、断交という抜いた刀をサウジが鞘に収める気配はない。サウジを含む湾岸の君主諸国が今回なぜカタールに圧力をかけているのか、その理由ははっきりしない。だが、アルジャジーラでアラブの独裁体制を揺るがし、ムスリム同胞団を支援してエジプト政府と敵対し、イランとも接触してきたカタールにサウジがこれまで同様に手を焼いているのは事実だろう。米軍基地を受け入れ、天然ガス資源を世界に供給しているとしても、時間が経過するにつれてカタールはさらに追い込まれていく。・・・

シリア東部をめぐる米ロ・イランの攻防
―― シリアにおける政治ゲームの始まり

2017年7月号

アンドリュー・タブラー ワシントン近東政策研究所  シニアフェロー

イラクと国境を接するシリア東部をめぐる攻防戦が始まっている。すでにアメリカは4月にアサド政権をミサイル攻撃しただけでなく、5月には親アサド勢力を空爆し、シリアのクルド人勢力への軍事援助の強化を発表している。ロシアとイランも、シリア東部におけるイスラム国勢力の崩壊によってシリア政府が失地を回復するチャンスがもたらされると考え、アサド軍支援を強化している。特にテヘランはイランからイラク、シリア、そしてヒズボラが支配するレバノンをつなぐシーア派の回廊を形成することを狙っている。当然、米ロの安全に関する覚書が、今後シリアにおいて試されることになるし、控えめにみても偶発事故が起きる危険は高まっている。いまやアメリカとその同盟国諸国の部隊が、アサドの部隊だけでなく、アサドを支えるロシアやイランの部隊と直接的軍事衝突に巻き込まれる恐れが出てきている。

情報機関と米大統領
―― 相互信頼の再確立を

2017年7月号

ジャミ・ミシック 前CIA副長官

進行中の作戦や外交交渉がどのような状態にあるかを知らなければ、情報コミュニティが提供する情報が高官たちの必要性を満たすことはなく、無意味だと切り捨てられる。しかも、高官たちが情報を必要とするタイミングも限られている。何かに対する警告を発しても、時期尚早なら相手にされず、タイミングを逃せば情報機関の失態として批判される。もっとも大切なのは、危機に直面する前から、大統領を含む政府高官と情報コミュニティ間のスムーズに機能する実務的関係を築き、信頼を育んでおくことだ。政策決定者が情報プロフェッショナルを誤解していれば、国家安全保障が脅かされる。一つの真実を追い求める情報プロフェッショナルたちの仕事へのより奥深い理解と評価をもつことで、大統領と政府高官たちはその関係の絶妙のバランスを取り戻す必要がある。

ウゴ・チャベスとは何者か

2006年6月号

マイケル・シフター 米大陸対話フォーラム政策担当副会長

ラテンアメリカにおけるウゴ・チャベスの影響力は「ベネズエラ、そしてラテンアメリカのアジェンダ(課題)が何であるかをうまく特定して定義する能力」に根ざしている。社会格差、お粗末な状況にある教育や医療制度など、ラテンアメリカ地域の社会的病巣を彼がうまく、しかも正当な形で表現するからこそ、チャベスは人々への大きな訴求力を持っている。この地域の社会的病巣に関する彼の診断は正しいし、彼の意図は誠実なものかもしれない。しかし、彼が示している処方箋は、まやかしである。実際、チャベスは、石油の富を場当たり的に、あるいは政治的思惑でばらまくだけで、社会問題に長期的に対処するモデルをうまく考案できていないし、彼の政策は失望を禁じ得ないほどに小さな成果しか上げていない。必要なのは、この社会問題を建設的に解決していける、より適切な処方箋を示すことではないか。

軍隊と経済的技術革新
―― なぜイスラエル軍は経済に貢献できるのか

2017年6月号

エリザベス・ブラー アトランティック・カウンシル 非常勤シニアフェロー

「徴兵された若者たちにとって、イスラエル国防軍・技術諜報部門での経験はハーバード大学で学んでいるようなものだ」。(国防軍でスキルを学び)ネットワークを形作り、いずれ、ともにビジネスをするようになる。徴兵した兵士たちにイスラエル国防軍が与える訓練はイスラエル経済に大きな恩恵をもたらしている。実際、ブームに沸き返るイスラエルのハイテク部門の多くを軍出身者たちが支えている。兵役を経験しているイスラエル人が成人人口の60%なのに対して、ハイテク部門人材に占める兵役経験者の比率は90%に達している。例えば、若年労働者の失業率が高く、持続可能な雇用を創出する方法を模索しているヨーロッパは、イスラエルのやり方に学ぶことができる。イスラエルの実例から適切な教訓を引き出して応用すれば、世界の多くの国が、近い将来に、兵役を終えた若者たちが軍隊で身に付けた人的資本、社会資本、文化資本を生かして、民間部門との絆を形作っていくだろう。

エルドアンとトルコ社会の分裂
―― 今も続くクーデター未遂事件の余波

2017年6月号

マイケル・J・コプロー イスラエル政策フォーラム 政策ディレクター

大統領権限の強化の是非を問う国民投票でエルドアンは勝利を収めたが、イスタンブール、アンカラ、イズミールという3大都市は、いずれも憲法改正にノーという答を出した。反憲法改正派は「(国民投票は)エルドアンにとって僅差での勝利だったのだから、彼もこれまでの立場を譲るのではないか」と期待していたが、そうなるはずはなかった。むしろ、エルドアンは分裂をさらに深刻にするために、あらゆることを試みていくはずだ。「クーデターを画策するギュレン運動の関係者やクルド労働者党(PKK)との戦いに勝利を収めるには、憲法を改正して、大統領の権限を強化する必要があり、憲法改正に反対するのはテロリストを支持するようなものだ」と彼は主張してきた。ジャーナリスト、アカデミックな研究者、忠誠が十分でない政府役人に対する弾圧は、今後ますます熾烈を極めるだろう。エルドアンはトルコ市民が国民投票で決めた新しい大統領制を支持しない者は、反逆的な主人(ギュレン)に仕える反乱者と決めつけている。・・・

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