1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

パレスチナの反乱は終わらない

2002年5月号

クリス・ヘッジ ニューヨーク・タイムズ紙記者

パレスチナの子どもたちは、幼いころから民族主義と復讐の責務を聞かされて育ち、イスラエルに対する反発は世代を超えて社会に浸透している。貧困の中で困難な生活を余儀なくされている占領地の人々にとって、抵抗運動を繰り広げることこそ生活の中で最も没頭できることなのかもしれない。「かつてのインティファーダの英雄たちの時代は去り、今や幅を利かせているのは、ファタハの腐敗とは無縁な、髭を伸ばしたイスラムの戦士たちである」。

中央アジアを安定化させるには

2002年5月号

ポーリーン・ジョーンズ・ルオン  イエール大学政治学助教授 、エリカ・ウェインソール テルアビブ大学政治学助教授

中央アジア各国の政治的抑圧体制ゆえにイスラム主義運動が過激化し、民衆を過激派への支持へと向かわせている。これが秩序の不安定化を招き、さらに、穴だらけの国境線を越えて兵器や過激派が自由に移動していることが状況をさらに深刻にしている。過酷な抑圧体制を敷くウズベキスタンを、ブッシュ政権が、対テロ戦争との関連で中央アジアの覇権国に仕立て上げれば、地域秩序はますます不安定化する。イスラム原理主義の脅威をもっぱら軍事問題としてとらえれば、水資源をめぐる紛争、麻薬、難民、武器の流出入など、テロを招いた根本的問題への対応が放置され、不安定な状態が続くことになるからだ。

イスラム世界とメディアの攻防

2002年5月号

デイビッド・ホフマン 「インターニュース・ネットワーク」代表

アメリカの正義や価値観をいかに訴えかけても、イスラム世界の反米感情がなくなることはない。政治的失策への市民の不満の矛先を、自国政府ではなく、アメリカに向かわせてガス抜きさせるという、アラブ社会の安全弁としての国営メディアが存在するからだ。グローバル社会にイスラムの人々が参加できるようにするには、まずイスラム社会の市民が情報へのアクセスと表現の自由を享受できるようにし、女性やマイノリティーに発言権を認めなければならない。イスラム社会が表現の自由を獲得して初めて、テロが生まれた暗闇に日が差し込むようになる。

変化する任務、変貌する米軍

2002年5月

ドナルド・H・ラムズフェルド 米国防長官

今後ペンタゴンは、どこのだれかわからない、見たこともない勢力による、不確実で予期せぬ攻撃から国を守らなければならない。われわれの課題は、新タイプの攻撃から米国の都市、友好国、同盟国、海外展開軍、そして、宇宙での資産やコンピューター・ネットワークを守りつつ、新たな敵と戦うために遠隔の地に戦力を展開する能力を持つことだ。新しい三元戦略は、削減された核戦力、最先端の通常戦力、一連の防衛システム(弾道ミサイル防衛、巡航ミサイル防衛、宇宙防衛、サイバー防衛)から成り、これらが抑止の新アプローチの基盤となる。

カスピ海資源開発の政治経済学

2002年4月号

ジャン・H・カリッキ ウッドロー・ウィルソン・センター研究員

カスピ海周辺のエネルギー資源を間違いなく地域市場、国際市場へ搬出するには、ロシアのパイプライン輸送に依存している現状を見直して、多層的なパイプライン建設を実現する必要がある。膨大な資源を有するカスピ海周辺諸国が、ロシアやイランの力を借りずにエネルギー資源とパイプラインを欧米と共同開発することこそ、アメリカと世界全体を潤すだけでなく、カスピ海周辺諸国にとっても自国の安全と繁栄を確保する最も確実な道であり、ブッシュ政権はこの方向での政策面の見直しを早急に行うべきだ。

イラクを攻撃すべきこれだけの理由

2002年4月号

ディレクター チャールズ・ボイド  元駐留NATO米軍副司令官 、 共同議長 リチャード・ホルブルック 前米国連大使、 カーラ・ヒルズ  元米通商代表部代表

以下は、米外交問題評議会が米同時多発テロ後に組織した「テロリズムに関するタスクフォース」の研究会報告からの抜粋。タスクフォースには、シャリカシュビリ元統合参謀本部議長、ブラウン前国防長官、ルービン前財務長官、アジャミー・ジョンズ・ホプキンス大学教授、ナイ・ハーバード大学教授、ウェブスター元CIA及びFBI長官、ウィールジー元CIA長官、ジョージ・ソロス氏らが参加している。

金融危機のさらなる教訓
――アルゼンチンのケースから

2002年4月号

マーティン・フェルドシュタイン ハーバード大学教授

アルゼンチンでの金融危機の教訓は3つある。固定為替レートは、通貨の過大評価、通貨危機、債務不履行を引き起こしかねず、変動為替レートこそがこれらの問題を避ける唯一の方法だということ。第2に、ドル建ての借り入れが非常に危険だということ。そして第3に、貿易自由化、外国からの直接投資の奨励、国営企業の民営化策が好ましい政策であるということだ。

石油をめぐるロシア対サウジの最終決戦
――エネルギー安保の分水嶺

2002年3月号

エドワード・L・モース  前米国務副次官補(国際エネルギー担当)、ジェームズ・リチャード ファイヤーバード・マネジメント社ポートフォリオマネジャー

ロシアの石油企業によるロシア、中央アジア地域での開発が実現すれば、今後4年のうちに旧ソビエト諸国からの石油輸出の合計は、サウジアラビアの輸出にほぼ匹敵するものになる。九月十一日が、ロシア、アメリカ、石油輸出国機構(OPEC)にとって、全く新たな地政学状況を作りだしていることを、ロシアは、政治・経済的に立ち直る好機と捉えている。問題は、サウジアラビアが、ロシアの攻勢を阻止できるほどの、徹底した価格戦争を戦う余力があるかどうかだ。

新世紀の戦略的機会を生かすには

2002年4月号

ジョセフ・R・バイデン 米上院外交委員長

対テロ作戦をめぐっては、各国の国内法による取り締まりから情報活動の共有にいたるまで、われわれは同盟国、友好国の国際的協力を必要としており、孤立も単独行動主義もアメリカの選択肢とはなり得ない。単独行動主義を経て、やっと開かれた国際協調とアメリカのリーダーシップというドアをアメリカ政府が突然閉ざしたり、何度も開けたり閉めたりすれば、今後数十年にわたって秩序を規定するであろう力学をうまく形作れなくなってしまう。現在の機会を秩序の長期的安定へと向かわせるには、国際協調を基盤とする世界へのエンゲージメントを堅持しなくてならない。

以下は、二〇〇二年二月四日にワシントンで開かれた、米外交問題評議会主催のミーティング・プログラムでのジョセフ・バイデン米上院外交委員長の演説からの要約・抜粋。

中東諸国の政治・経済改革の断行を求めよ

2002年4月号

マーティン・インディク 前駐イスラエル米大使

ワシントンはこれまで、社会変革によるカオスか、状況を放置したままでの腐敗の継続かという二者択一のなか、中東の腐敗した政権を支援することを選択してきた。だが、腐敗したサウジアラビア、エジプトの政権を支援した結果、アルカイダを誕生させるような社会土壌を育んでしまった。もはや同じ過ちを繰り返してはならない。ワシントンは新たな取り決めの一部として、中東諸国での政治・経済改革を強く求めていくべきである。

Page Top