オクシデンタリズム
――敵の目に映る西洋の姿

イアン・ブルマ/バードカレッジ教授
フォアド・アジャミー/ジョンズ・ホプキンス大学教授

Occidentalism

IanBuruma 社会現象を軸に各国文化の分析に取り組んできたジャーナリストで、現在はニューヨークのバードカレ ッジ教授。日本にも長く滞在し、著書に『イアン・ブルマの日本探訪』(TBSブリタニカ)などがある。フォーリン・アフェ アーズにも、一九九六年に「李登輝と二つの台湾」(Taiwan'sNewNationalists)を発表している。
FouadAjamiジョンズ・ホプキンス大学教授で専門は中東研究。アメリカを代表する中東研究者の一人として知ら れる。

2004年6月号掲載論文

アジャミー オクシデンタリズムについて定義してほしい。それは反米主義のことなのか。

ブルマ いや、そうではない。オクシデンタリズムを反米主義ととらえるのはアメリカにありがちな誤解というものだ。実際、アメリカだけでなく、アメリカに敵対的な地域を含む世界の多くの地域で西洋とはアメリカのことで、オクシデンタリズムとは実際にはアメリカの外交政策やハリウッド映画に対する敵意を意味すると考えられている。アメリカの外交政策を批判したり、ハリウッド映画に嫌悪感を抱いたりするのは人の自由であり、何も問題はない。それはわれわれの言うオクシデンタリズムではない。

 オクシデンタリズムとは、もっと古い時代からある、西洋のことを、冷酷でコスモポリタン的で個人主義的な心なき世界とみなす考えのことだ。西洋世界は金儲けと快適さを探し求めることに血道を上げるばかりで、他の固有の社会に有毒な影響を与えるという西洋へのイメージともいえるだろう。もっとも、私がここで指摘しているのは幻想であり、現実に存在する文明の衝突とは違う。オクシデンタリズムとは、自らの社会に深く根ざした固有の価値観に対して西洋が毒をまき散らすという幻想のことだ。実際、あるイランの知識人は、毒をまき散らす西洋という意味を込めて、ウエストキシフィケーション(西洋の毒による汚染)という造語をつくり出している。



*邦訳文は、二〇〇四年四月二十二日にニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラムの議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

  • オクシデンタリズムとは何か
  • 都市に対する敵意
  • 西洋内の反西洋思想の系譜
  • 思想の汚染
  • 近代性と西洋への敵意
  • イスラム主義と反ユダヤ主義

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