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CFR Events
苦悩するヨーロッパ

スピーカー
ペテル・バラージュ 中央ヨーロッパ大学 ディレクター
ハイジ・クレボ=レディカー  米外交問題評議会シニアフェロー
アナンド・メノン キングス・カレッジ・ロンドン 教授(ヨーロッパ政治)
プレサイダー
ローラ・ゼレンコ  
ブルームバーグ エグゼクティブエディター(マーケット)

Troubled Europe

Peter Balazas ハンガリーの政治家で、同国外相などを経て、現在は中央ヨーロッパ大学教授。
Heidi Credo-Rediker 米外交問題評議会シニアフェロー。国務省経済顧問を経て現職。
Anand Menon キングス・カレッジ・ロンドン教授。

2016年5月号掲載論文

「EUからの完全な脱退を望む人」と「片足を抜くべきだ」と考える勢力の間でキャンペーンが展開されている。そこに、残留することの利点を重視する勢力は存在しない。・・・但し、国民の判断を仰いだ後、政府が何をするかが法的に定められていない。僅差で(脱退を支持する)結果が出た場合でも、イギリス政府は(EUに脱退を申請するのではなく)、むしろ、(残留を前提に)ブリュッセルでイギリスとEU間の問題の是正を再度試みるかもしれない。(A・メノン)

「ヨーロッパは、自分が作り出した問題を解決することについては長けている。共通通貨ユーロの危機がそうだったし、欧州憲法の起草もそうだった。一方、ヨーロッパのシステムは28カ国のメンバーを前提に作られているために、ロシアであれ、難民であれ、想定外の国や人が入り込むとうまく機能しなくなる。これは外部要因が入り込むと、28カ国間の責任分担、コストと利益の分配のためのメカニズムが混乱するためだ」(P・バラージュ)

「イスラム教徒たちは、トランプの立場がヨーロッパ全域での反イスラム感情を煽り立てることになりはしないかと警戒していた。実際、トランプの立場は、反移民の立場をとる右派、反EU政党の立場を勢いづけている。とはいえ、ヨーロッパでもアメリカでも格差問題が根底にあり、これがグローバル化に取り残されたと感じている右派と左派を勢いづかせている」(ハイジ・クレボ=レディカー)

  • 多層的なヨーロッパ問題
  • イギリスにとってのEU
  • 東ヨーロッパの近代化疲れ
  • ロシアとEU
  • トルコとドイツの合意
  • 欧米におけるポピュリズムの台頭

<多層的なヨーロッパ問題>

ゼレンコ まずペテルに質問したい。ヨーロッパは人の自由な移動を保障するシェンゲン協定を守り、テロリストを粉砕し、これまでの穏やかな移民政策を維持できるだろうか。これらを実現しつつ、一方では経済を成長させる必要もある。

 

ペテル・バラージュ それらをわれわれは「対処不能なトリレンマ」と呼んでいる。しかもそうしたトリレンマが数多くある。すべての問題を同時には解決できない。切実に対応を必要としているのは難民危機だろう。これについては、ドイツと欧州連合理事会議長国(オランダ)の外交努力のおかげで、解決の糸口が見つかりつつある。・・・

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