プーチンとロシアの未来
―― ソビエト崩壊の教訓
2022年9月号

ソビエト崩壊の代替シナリオは存在しなかったと考えるのは決定論者だけだろう。実際には、ソビエト帝国は、その解体後もルーブル経済圏として何年も存続し続けた。ソビエト同様に、弱体化したロシアが崩壊すると欧米が予測するのも決定論にすぎない。もちろん、欧米が本気でプーチンを止めたいのなら、とにかく圧力をかけ続けるしかない。制裁を長期化し、その内容をさらに厳格化してゆけば、欧米の反ロシア経済レジームに世界経済の他のアクターも参加し、制度化されていくだろう。それでも、弱体化したロシアがソビエトのような崩壊の時を迎えるとは考えにくい。むしろ、欧米は「弱体化し、屈辱にまみれながらも、それでも独裁的なロシア」と共存せざるを得ないシナリオに備えるべきだろう。