半導体は何処へいった
―― グローバルサプライチェーンをいかに守るか
2021年8月号
なぜ半導体チップは不足しているのか。コロナ危機のなかで、リモートワークシステムの投資が進み、多くの人がホームオフィスディバイスを新たにアップグレードしたことで、チップ需要が急増したのは事実だ。しかし、最大の問題は、トランプ政権が国家安全保障上の懸念を理由に2018年に中国との貿易・技術戦争に入り、これによって、グローバルな半導体のサプライチェーンと市場が揺るがされたことだ。特にファーウェイへの制裁措置へのパートナー国の同調を求めたことで、市場の歪みは大きくなった。すでにバイデン新政権は、日本、韓国、欧州連合(EU)との首脳会談で新たな半導体戦略に向けた基本合意をまとめている。必要なのは多国間協調の詳細を詰めて、それを具体化し、履行していくことだ。