「自分の国に誇りをもてますか」
―― 国家アイデンティティと政治参加
2018年6月号
国によって市民の国家へのこだわりや思い入れがなぜ違うのか。アメリカ人、ガーナ人、タイ人が、ドイツ人や台湾の人々よりも強い愛国心を持っているのはなぜなのか。研究者は、それを左右する要因として、民族的多様性やグローバル経済への統合レベル、あるいは戦争や内戦の(経験や)歴史などさまざまな説を唱えてきた。しかし現実には、自分たちの代表を政府に送り込んでいると考える人口が増えるほど、市民が国を誇りに思う気持ちは強くなる。一方で、教科書、国歌、公の儀式を通じて伝えられる単なるナショナリストのプロパガンダは、世界の多くの政治家が思っているよりも効果が薄い。人は自分が所属する集団の代表が国政に参加していると国との一体感を感じる。つまり、国家アイデンティティ意識には政治参加が重要であり、国が民族的に多様であっても同質的であってもそれは変わらない。
