新帝国主義というアメリカの野望
2002年10月号
保有する圧倒的なパワーと、テロという脅威の到来が、帝国主義の誘惑を大きくしている。だが、正統性もなく、戦後国際秩序の規範や制度を無視して、アメリカがパワーを思うままに行使すれば、いずれ敵意に満ちた国際環境が出現し、アメリカの国益を確保するのも難しくなる。アメリカの新帝国主義的大戦略はリーダーシップの実践というよりも、むしろたんなる軍事パワーの行使にすぎない。勢力均衡を重視するリアリズム、そしてリベラルな多国間主義を再評価し、成熟した大国として、他国の立場を大きく脅かさないように配慮しつつ、秩序の安定と国益を模索する戦略へと立ち返るべきだ。