1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

テロに関する論文

米外交問題評議会(CFR)は、イラク、北朝鮮、中東問題等を理解するための基礎知識、最新情報をQ&Aスタイルでウェブ(www.cfr.org)上でアップデートしている。Q&Aの一部の邦訳はフォーリン・アフェアーズ、ジャパンウェブサイト(www.foreignaffairsj.co.jp)からアクセスできる。以下は、CFRのウエブ・リソースからの抜粋。

レイチェル・ブロンソン米外交問題評議会シニア・フェローは、八月十九日に起きたイラク国連現地本部爆破事件について、「極度の混乱が状況を支配するようになれば、アメリカ人を殺したいと願う人物たちが世界中からイラクへ押し寄せてくることになる」と指摘した。
「外国から流れ込んでくるイスラムの戦士が、戦後イラクで大きな問題を作り出している。だからこそ、イラクの法と秩序を一刻も早く確立しなければならない」と警告するブロンソンは、イラクだけでなく、「アラブ世界にとって重要な意味を持つアフガニスタン情勢がさらに悪化する危険もある。破壊活動の実行犯たちが狙っているのは、まさにこのポイントだろう」と状況を分析した。
以下は、二〇〇三年八月十九日に、米新聞各社の論説委員を集めて行われたブリーフィングからの抜粋。 全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

サダムが大量破壊兵器で反撃に出れば

2003年2月号

リチャード・K・ベッツ コロンビア大学戦争・平和研究所所長

アメリカは、蛇が攻撃してくるかもしれないと恐れるあまり、蛇をつつこうとしている。だが、つつかれた蛇がすぐさま反撃してくる危険をほとんど無視している。抑止や封じ込めを継続することの危険を大げさに言い立てる予防戦争論者は、戦争によって対米報復攻撃という惨劇が起きる危険を軽くみている。
報復攻撃の脅威に備えるとともに、報復攻撃を誘発するような戦争を始めること自体を再検討すべきだ。予防戦争が「死を恐れるあまりの自殺」になりかねないことを認識し、封じ込めの強化を始めとする、イラク侵攻策に代わる策を検討すべきである。

サダムが大量破壊兵器で反撃に出れば

2003年2月号

リチャード・K・ベッツ コロンビア大学戦争・平和研究所所長

アメリカは、蛇が攻撃してくるかもしれないと恐れるあまり、蛇をつつこうとしている。だが、つつかれた蛇がすぐさま反撃してくる危険をほとんど無視している。抑止や封じ込めを継続することの危険を大げさに言い立てる予防戦争論者は、戦争によって対米報復攻撃という惨劇が起きる危険を軽くみている。報復攻撃の脅威に備えるとともに、報復攻撃を誘発するような戦争を始めること自体を再検討すべきだ。予防戦争が「死を恐れるあまりの自殺」になりかねないことを認識し、封じ込めの強化を始めとする、イラク侵攻策に代わる策を検討すべきである。

米外交問題評議会リポート
イラクに侵攻すれば、世界はどう反応する

2002年12月号

スピーカー パトリック・ジャロー (フランス)ルモンド紙ワシントン支局長 ヒシャム・メルヘム (レバノン)アッサフィル紙チーフ・コレスポンデント ジャスティン・ウェブ BBC(イギリス放送協会)ワシントン特派員 司会 フランク・セスノ ジョージメイソン大学教授

アラブ世界では、アメリカがイラクを粉砕したいのは、イラクが中東地域でのイスラエルの覇権確立を阻む唯一の力を持つ国だからだ、という考えも流布している。民主主義を相手に押しつけることはできない。だが、人権を尊重するような政権をイラクに樹立するというのならまだ話はわかる。ジェファーソン流の民主主義者を中東に見いだそうとしても無理だが、政府の説明責任、透明性、市民の政治参加、マイノリティーの尊重、女性の権利の確立などの基本的価値をアメリカと共有している人材なら見いだせる。(ヒシャム・メルヘム)

南アジアにおける平和の構築

2002年11月号

ペルベズ・ムシャラフ パキスタン大統領  リチャード・ホルブルック 前米国連大使、米外交問題評議会理事

カシミールはごく最近まで一触即発の危険な状態にあった。インド側は挑発的な行動をとっていたし、攻撃のための軍事能力も整備していた。現在はどのような状態にあるのだろうか。攻撃の意図は薄れつつあるが、軍事能力は依然としてそこに存在する。そこに印パ双方の軍事力が存在し、二つの勢力が対峙している限り危険は残る。攻撃の意図が一夜にして変わることは十分にあり得るからだ。

アメリカのパワーの限界

2002年11月号

マイケル・マンデルバーム 外交問題評議会シニア・フェロー

他の追随を許さぬパワーを手にしたアメリカは、いまやハイパーパワー(超国家)としての地位を手にしているだけでなく、アメリカ的価値を反映する平和・民主主義・市場経済思想がグローバル・スタンダードとされている。だが、そのアメリカも、平和・民主主義・市場経済思想となじみのよい安全保障、経済上の国際的公共財を一人で維持していく力と政治的意思はないし、そうした思想が根付いていない地域にこれを強引に導入させる力もない。今後の秩序は、「アメリカが国際的公共財の維持のためにこれからも大きな役割を引き続き受け入れるのかどうか」、そして、相手地域の文化がいかに変貌するかによって左右されることになる。

中東における反米主義の本当の起源 ―政治的ツールとしての反米路線

2002年11月号

バリー・ルービン  国際関係グローバル・リサーチセンター所長

アラブ世界で反米主義が花盛りである理由は、アメリカの政策に民衆が反発しているからではない。アラブ世界の急進派だけでなく、穏健派の政権にとっても、反米を煽り立てるのが、国内の支持をとりつけ、たいしたコストも支払わずに政治的目的を実現する上で限りなく好都合だからだ。ワシントンが譲歩をこれ以上重ねれば、彼らはますますアメリカを侮辱する態度をとるようになり、反米主義路線を取ることの魅力をますます高めてしまう。反米主義を作りだし、煽るような中東のシステムやメカニズムが淘汰されて初めて、大衆の立場も変化してくることを認識する必要がある。

なぜ米上院は包括的核実験禁止条約を拒絶したか

2002年10月号

テリー・L・デイベル  米国防大学教授

CTBTを米上院が承認しなかったのは、この条約を受け入れれば、「抑止と防衛」を犠牲にして、「脅威を削減するような国際環境を形作る」ことを重視せざるを得なくなると考えたからだ。批准拒否のプロセスは、「条約によって軍備管理を試みる流れが完全に途絶えたこと」を意味する分岐点だったかもしれないし、アメリカ外交にとっての分水嶺だったかもしれない。条約の拒絶は、単独行動主義が国際主義を抑え込んだ歴史的瞬間だったかもしれないからだ。

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