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国防と安全保障に関する論文

米外交問題評議会リポート
イラク侵攻策と米保守派リアリストの分裂
――いまこの段階で路線変更ができるのか

2003年3月号

スティーブン・ウォルト ハーバード大学政治学教授
ジョン・ミアシャイマー シカゴ大学政治学教授
マックス・ブート 米外交問題評議会中東担当 シニア・フェロー
ウィリアム・クリストル ウイークリー・スタンダード誌編集長

以下は二〇〇三年二月五日に、ニューヨークの米外交問題評議会で開かれたイラク侵攻問題に関するディベートからの抜粋・要約。司会はレスリー・ゲルブ米外交問題評議会会長。

イラクとの戦争に踏み切れば、暴れ者としてのアメリカのイメージはますます強くなり、他の世界からの協調を得られなくなる。われわれが戦争を開始する日、オサマ・ビンラディンはほほえんでいるに違いない。(スティーブン・ウォルト)

サダムの試みを放置すれば、これから三年後には五カ国で国連の核査察が行われ、八年後には十五カ国で査察が行われているような事態に直面する。(ウィリアム・クリストル)

パレスチナ、イラクとアメリカの戦略

2003年3月号

マイケル・スコット・ドーラン プリンストン大学助教授

アラブ政治における「パレスチナ」というスローガンは、抑圧、失業など、アラブ世界の不満、西洋の文化的覇権に対する抵抗を表明するツールにすぎない。
アメリカが、現在の中東秩序を維持していくつもりなら、「パレスチナ」に惑わされずに、サダムやアルカイダという敵を倒し、その後、不満の元凶である中東の社会経済問題を解決するための持続的な作戦を実施すべきだ。今後の中東秩序は、中東の民衆が、アメリカや欧米世界のことを「よりよい生活を実現するためのパートナー」とみなすかどうかに左右される。

朝鮮半島危機を安定させるには
――枠組み合意から包括合意へ

2003年3月号

ジェームズ・T・レーニー 米外交問題評議会・朝鮮半島問題タスクフォース共同議長
ジェーソン・T・シャプレン 前朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)政策顧問

平壌は核開発計画を放棄するには、まずアメリカが不可侵条約に調印すべきだといい、一方のブッシュ政権は、北朝鮮に侵攻する意図はないと表明しつつも、交渉を再開する前に、まず北朝鮮が核開発計画を断念すべきだと主張している。
ポイントは、「北朝鮮の悪事に報いることのないように配慮しつつ、平壌が切望する安全保障上の確約をいかに与えるか」だ。このジレンマを解くには、米日中ロが、朝鮮半島全体の安全と安定を共同で公式に保障すればよい。そのうえで核開発計画を放棄させ、北朝鮮の経済改革、そして、最終的には朝鮮連邦の形成を踏まえた包括合意の形成をめざすべきだ。

米外交問題評議会リポート
ーーイラクの戦後構想の指針

2003年2月号

共同議長:エドワード・ジェレジャン ライス大学ジェームズ・ベーカー公共政策研究所・所長、フランク・ウィズナー AIGグループ副会長
共同ディレクター:レイチェル・ブロンソン 米外交問題評議会シニア・フェロー、アンドリュー・S・ウェイス 米外交問題評議会フェロー

アメリカその他の諸国は、イラクとの戦争に踏み切るかどうかをめぐる運命的な決断を迫られつつある。このリポートは、戦争に踏み切るべきかどうかについてのわれわれの判断を下すものではない。だが、アメリカ政府が、米本土に対する報復テロ攻撃の危険に備え、戦後イラクにおいて、アメリカとイラクを始めとする各国が何をなすかについて現実的な計画をとりまとめずして、戦端を開くことはあり得ない。米本土の安全保障について、米外交問題評議会はすでに、ゲリー・ハート、ウォーレン・ロドマンを共同議長に迎え「アメリカの備えはいまだ十分ではなく、危機にさらされている」というタイトルのリポートをまとめている。米外交問題評議会とライス大学ジェームズ・ベーカー公共政策研究所がまとめた今回のリポートは、二番目の懸念であるイラクの戦後構想をテーマとする。この研究が、より包括的な戦後構想の見取り図となることを期待する。
レスリー・ゲルブ(米外交問題評議会会長)

北朝鮮政策に関する提言
――強硬策ではなく、封じ込めと限定的関与策を

2003年2月号

ジェームズ・レーニー 、モートン・アブラモウィッツ 米外交問題評議会・朝鮮半島問題タスクフォース共同議長

アメリカとその同盟諸国の反対だけでなく、中国の反対をも押し切って、北朝鮮が使用済み核燃料の再処理を進めれば、そのときは本当の危機が起こるかもしれない。こうした事態が現実とならないように、われわれは限定的エンゲージメント政策への将来的移行を踏まえた、多国間協調型の封じ込め政策をとるべきである。そのためにも、北朝鮮に誘因を与えることが適切と判断される場合には、その可能性を模索できるだけの政策上の柔軟性を残しておく必要がある。

サダムが大量破壊兵器で反撃に出れば

2003年2月号

リチャード・K・ベッツ コロンビア大学戦争・平和研究所所長

アメリカは、蛇が攻撃してくるかもしれないと恐れるあまり、蛇をつつこうとしている。だが、つつかれた蛇がすぐさま反撃してくる危険をほとんど無視している。抑止や封じ込めを継続することの危険を大げさに言い立てる予防戦争論者は、戦争によって対米報復攻撃という惨劇が起きる危険を軽くみている。
報復攻撃の脅威に備えるとともに、報復攻撃を誘発するような戦争を始めること自体を再検討すべきだ。予防戦争が「死を恐れるあまりの自殺」になりかねないことを認識し、封じ込めの強化を始めとする、イラク侵攻策に代わる策を検討すべきである。

米外交問題評議会インタビュー
イラクと北朝鮮への対応はなぜ違うのか

2003年2月号

マイケル・マンデルバーム 米外交問題評議会シニア・フェロー、ジョンズ・ホプキンス大教授

以下は、マイケル・マンデルバーム(米外交問題評議会シニア・フェロー、ジョンズ・ホプキンス大教授)の対イラク・北朝鮮戦略についてのインタビューからの抜粋・要約で、一部順序を入れ替えてある。(聞き手は、www.cfr.orgのコンサルティング・エディター、バーナード・ガーズマン)

北朝鮮とイラクに対してブッシュ政権が異なる政策をとっているのは、両国が異なる環境にあり、これまでの対外行動の歴史も違うからだと私は判断している。もちろん、こうした外交路線の使い分けが、政治的に支持されるかどうかはわからない。イラクとの戦争をするのなら、なぜ北朝鮮を放置しておくのかと言い出すアメリカ人がいずれ数多く出てくることになるだろう。

イラクとアラブ世界の将来

2003年1月号

フォアド・アジャミー ジョンズ・ホプキンス大学教授

アラブの指導者たちは、心のなかでは「砂漠の嵐」を超える「完全な嵐」の到来を待ち望んでいる。短期間で決着がつき、サダム・フセイン追放の機会がつくり出されるような戦争を望んでいる。だが、これを「正義の戦争」と納得するアラブの民衆はほとんどいないだろうし、戦後には厄介な現実が待ち受けていることをアメリカは心しておくべきだ。
アラブ世界は、アメリカの罪をあげつらうことも、改革派を「外国勢力の手先」と切り捨てることもできる。それだけに、戦争をいかに戦うか、大いなる慎重さをもって臨まなければならない。

なぜ米上院は包括的核実験禁止条約を拒絶したか

2002年10月号

テリー・L・デイベル  米国防大学教授

CTBTを米上院が承認しなかったのは、この条約を受け入れれば、「抑止と防衛」を犠牲にして、「脅威を削減するような国際環境を形作る」ことを重視せざるを得なくなると考えたからだ。批准拒否のプロセスは、「条約によって軍備管理を試みる流れが完全に途絶えたこと」を意味する分岐点だったかもしれないし、アメリカ外交にとっての分水嶺だったかもしれない。条約の拒絶は、単独行動主義が国際主義を抑え込んだ歴史的瞬間だったかもしれないからだ。

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