人工知能への備えはできているか
―― うまく利用できるか、支配されるか
2019年8月号
AIは良くもあり、悪くもある。賢いが、鈍い部分もある。文明の救世主であるとともに、世界の破壊者でもある。実際、どのようにして決断を導き出しているか分からないし、それを人間が解明することもできない。特に、汎用人工知能(AGI)については、「独自に進化し、人間が管理できなくなるのではないか」と懸念され、特定型AIについても「デザイナー(である人間)がその意図を完全に伝えられず、壊滅的な結果が引き起こされるのではないか」と心配されている。一方で、AGIのことを心配するのは、火星が人口過剰になることを心配するようなもので、先ず、(AGIに関して)想定されていることが実現する必要があると主張する専門家もいる。イノベーションの進化ペースをどの程度「警戒」し、(機械のメカニズムに関する)説明の「正確さ」をどこまで求め、(個人データを利用することによる)パフォーマンス強化と「プライバシー」のバランスをどこに求めるか。社会がこれらのバランスをどうみなすかで、人間がAIとどのような関係を築いていくかが左右される。
