1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

アジアの資本主義と文明の変容

2001年1月号

ウォルター・ラッセル・ミード
外交問題評議会シニア・フェロー

「非公式なやり方に依存して、膨大な資本を呼び込んだうえに、経済行動を拡大するためであれば収益への配慮を無視するような傲慢な姿勢が生まれたため、結局、流れ込んだのと同じ速さでアジアから資本が逃避してしまった」かつて「奇跡」を実現したのと同じ文化的価値が、どうして今は「大失敗」を招いているのか。アジア危機を経た世界は、「質素、勤勉、家族中心の価値観、権威への尊重」という美徳が、「強欲、硬直性、情実主義、あからさまな腐敗」といった悪徳へと変貌しうることを知っている。それでも、アジア的価値の優越性を唱え続け、アジア危機を契機として欧米批判の論陣を張る人物たちの真意は、どこにあるのか。

世界の森林を守るには

2001年1月号

デビッド・G・ビクター
外交問題評議会シニア・フェロー
ジェシー・H・アズベル
ロックフェラー大学

古代文明の時代以来、人間は森林を伐採して生活してきたが、いまや世界の人口に食物を供給し、木材やパルプを供給するのにかつてのように自然の森林資源を浪費する必要はない。農業の生産性を高めることで農地を縮小し、人工林の生産性を高めることで、森林の面積を大幅に増大させるとともに、乱伐されている森林の面積を減らしていく道が存在するからだ。そのために行動を起こすべきは今で、G8を枠組みにして、新たな森林保護のための国際協調枠組みをつくるべきである。

資源の利用効率改善が育む「新資源」

2001年10月号

エモリー・B・ロビンス ロッキーマウンテン研究所研究担当最高経営責任者
L・ハンター・ロビンス ロッキーマウンテン研究所戦略分析担当最高経営責任者

エネルギーの利用効率の改善ペースが石油資源の枯渇ペースを上回り続ければ、いずれ石油は低価格であっても市場で見向きもされない資源になる。利用効率の改善によって節約される資源は、いまや米国内のエネルギー供給の五分の二に匹敵する規模に達しており、これこそもっとも急速に拡大している新しい「資源」だ。石油価格を引き下げ、安定させることができるのは、唯一需要サイドでのエネルギー利用効率の改善促進だけだし、利用効率レベルをほんの少し引き上げるだけでそれは実現する。石油の供給を増やすのではなく、使用効率の改善に重点を置いた需要管理措置とクリーンな代替エネルギー促進策を政策の基盤に据えるべきだ。

中国はデフォルトに陥るのか

2001年1月号

ウィリアム・ギャンブル  エマージング・マーケット・ストラテジーズ社プリンシパル

景気刺激策、軍事予算の拡大など、中国政府の歳出が増大しているにもかかわらず、歳入はますます先細りとなりつつある。中国では脱税行為が「制度化」されているために、税を負担することはむしろ危険な行為なのだ。
権限を持つ個人や集団が国家資源に寄生し、私腹を肥やし、社会を貧困化させる――これが今日の中国の姿なのだ。最終的に財政難が国庫を干上がらせ、国内の安定が大きく脅かされるばかりか、混乱は国外に波及するに違いない。

平和維持活動は紛争の近隣諸国に委ねよ

2000年12月号

マイケル・ハーシュ ニューズウィーク誌外交担当チーフ・コレスポンデント

人道的な介入の必要性は今後もなくならないが、アメリカも国連も世界の警察官にはなれない。アメリカにはその意思がなく、国連にはそうする能力がないからだ。
しかし、世界の警察官はいなくても、「地域的警察官」に国連が正統性を与えることで、問題に直接的な利害を有する地域諸国が地域的な平和維持に努力すれば、問題の多くを解決できるはずだ。
国連の承認をとりつけた地域的な警察官による取り締まりで、すべてではなくとも、世界における多くの残虐行為をやめさせることができる。

高官任命プロセスを簡素化せよ

2000年12月号

ノーマン・オルンスタイン アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所研究員   トーマス・ドナイロン 元米国務省広報担当次官補

政府高官の指名・承認プロセスはますます複雑化し、(承認までの)時間が長期化し、その結果、要職のポストの空白期間はより長く、集まる才能はより薄っぺらになりつつあり、そのぶん内政外交の統治が難しくなっている。外交と内政のリーダーシップの空白を少なくし、国益に対するダメージを抑え込むには、指名・承認プロセスの大幅な簡素化と議会による承認遅延行為をなくすことを目的とする政権移行改革をただちに法制化すべきである。

コンドリーザ・ライス、ブッシュを語る

2000年12月号

コンドリーザ・ライス  ジョージ・ブッシュ外交アドバイザー

ブッシュ政権が誕生した場合、国家安全保障問題大統領補佐官への就任がひろく取りざたされるコンドリーザ・ライスが語る、次期政権のNMD(米本土ミサイル防衛)、貿易政策、国連、人道介入へのアプローチ。新政権が、「対中強硬策」をとり、「平和維持活動を紛争近隣諸国に委ねる」とすれば、北東アジアでの紛争に日本はどのような対応を余儀なくされるのか。ブッシュの人柄と政策、そしてリーダーシップを浮き彫りにする外交問題評議会でのディベート。

入国管理というグローバル経済のジレンマ

2000年12月号

ステファン・E・フリン 外交問題評議会シニア・フェロー

グローバル経済の繁栄は、国境を越えた貿易の自由な流れを維持できるかどうかにかかっているが、グローバル経済を支える第3の支柱が安全で迅速な輸送・入管体制であること、そして貿易の自由な流れが一方でテロリズムや麻薬密輸などの新たな脅威を作り出していることにはあまり関心が払われていない。このジレンマを解決できるのは官民協調、国際協調型の入管・通関システムの構築を通じてのみである。

新政権のための対日経済政策指針

2000年12月号

ローラ・タイソン  タスクフォース議長 / ダイアナ・ニュートン プロジェクト・ディレクター

日本政府が手がけている構造改革の促進は、アメリカの国益や目的に合致しているという見地から、日本側による構造改革路線の維持とアメリカによる改革支持を前提にした今後の対日経済政策への具体的提言。対日経済政策については、投資環境の改善と金融改革部門の改革、独禁法規制の重視を求め、テレコミュニケーション、電子商取引、知的所有権など、ニューエコノミー部門での課題を討議する日米の財界ダイアログの導入を提言。その枠組みとして、従来の二国間交渉ではなく、WTO(世界貿易機構)、OECD(経済開発協力機構)、G8(主要八カ国蔵相・中央銀行総裁会議)、APEC(アジア太平洋経済協力会議)などの多国間枠組みをつうじた経済交渉を行うべきだと指摘している。

Page Top