開放路線下ですすむ労働者虐待
1997年5月号
中国の労働者の多くは、急速な経済成長の恩恵を受けることもなく、酷使・虐待されたあげくに、搾取されており、その不満は高まる一方だ。共産主義イデオロギーが崩れはじめたいま、国や共産党への忠誠心が労働者の不満を緩和させることもありえない。にもかかわらず、中国の指導層は「労働者たちのことを経済発展のための踏み台」と見なしつづけ、「国の発展のための青写真を考える際に労働者の立場など全く考慮されない」のが現実だ。労働者であるとともに、一方では市場における最大の集団でもある彼らに「自分たちの利益をアピールする自由さえ認められない」とすれば、この矛盾によって政府や企業と労働者の摩擦は間違いなく激化し、現状がつづくかぎり、大いなる社会不安が起きるだろう。ここでのシナリオは三つ、「弾圧」「段階的変化」あるいは「革命」である。