関税、輸入割当などの貿易障壁の引き下げがアジェンダとされた時代は遠のき、いまや、貿易政策の目的は、自由競争に基づく、開放的で規制の行きとどいたインフォメーション・エコノミーを保障することにある。電子商取引はまだ新しい形態で、これを規定している自由貿易合意は、世界を見渡してもアメリカ・ヨルダン自由貿易協定だけだし、一九九八年のサイバースペースの免税合意を別にすれば、WTOもこの領域においてほとんど無力である。今後、WTOの基本理念である非差別主義、内国民待遇、最恵国待遇を、貿易に加えて電子商取引にも適用してゆくべきである。一連のハイテク関連合意やアメリカの「ネットワーク化世界」構想は、今後の方向性をすでに描き出しており、この道筋をたどっていけば、非常に洗練度の高い、自由競争に基づく革新的なインフォメーシ
ョン・エコノミーへとたどり着けるだろう。