1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

ロシアこそがユーラシア秩序再生の要

1998年5月号

ヴァレリー・V・ツェプカロ  駐米ベラルーシ大使

現状の分散化・分裂化現象が続く限り、法や正義ではなく、再び利益や力のバランスによってユーラシア秩序を回復せざるを得なくなり、新たな、そして不吉な「歴史の始まり」が導かれるだろう。ユーラシアの分裂状況を放置すれば、中央アジアやコーカサスでの紛争が他の諸国を巻き込み、トルコ、イラン、中国、日本、そして欧米諸国の利益の錯綜や対立がこの大陸をカオスへと突き落としかねない。米国のユーラシアでの影響力には限界がある。秩序再生は、あくまでロシアによる過去と現在を踏まえた新理念の構築にかかっている。

麻薬取り締まりは本当に有効か

1998年5月号

イーサン・A・ネーデルマン  リンデスミス・センター所長

麻薬を法律で封じ込めようとしても、結局は事態を悪化させるだけだ。取り締まりだけでなく、われわれは薬物依存者への「害が最小限になるよう配慮し」、麻薬乱用と法的禁止策の双方がつくりだす「犯罪や困窮」に焦点を当てた政策を考えるべきである。必要なのは、公衆衛生上の知識や人権に基づく人間への「害を減らす」麻薬政策ではないか。ヨーロッパの経験からみても、「害を減らすアプローチ」のほうが、法による厳格な取り締まりよりも、効き目があるのは明らかだ。いまや必要なのは、麻薬問題を現実的にとらえるだけの「政治的勇気」を奮い起こすことである。

アジアのエネルギー問題をどう解決するか

1998年5月号

ダニエル・ヤーギン ケンブリッジ・エネルギー・リサーチ・アソシエーツ(CERA)会長  デニス・エクロフ 同上席研究員

今後、アジア経済が再び高成長路線へ転じる可能性は高く、石油を中心とするエネルギー需要もさらに高まってくるはずだ。これを背景に、アジア諸国間で緊張、資源競争が生じ、紛争が起きることを予見する専門家もいる。だが、国家が自国経済の舵取りを一手に管理しようと試みた時代から、市場力学、商業化、規制緩和、民営化が世界の経済思考を司る時代への移行が進んでいることを忘れてはならない。膨大なコストを要する資源開発インフラを整備するには、国際金融市場からの資金調達や、先端技術をもつ諸国との協調が不可欠である。エネルギー問題だけでなく、アジア経済の回復がどれだけすすむかを占うキーワードはここでも「市場、規制緩和、民営化」である。

「撤退戦略」という幻想

1998年4月号

ギデオン・ローズ 外交問題評議会研究員

問題地域に兵力を送り込む前に、まず、いつまでに戦力を引き揚げるかを言明するのが昨今のはやりである。だが、議会や国民の支持確保ばかりを気にかけるこの「撤退戦略」では、介入によって何を擁護するのかが無視され、撤退後の現地の状況が慎重に配慮されることもない。いかにして撤退するかではなく、なぜわれわれが介入するのかを真面目に考えない限り、現地での活動効率は今後も無視され続け、介入の意味そのものが見失われることになろう。

生物・化学兵器の新たな脅威

1998年4月号

リチャード・ベッツ 外交問題評議会 国家安全保障プログラム・ディレクター

いまやわれわれが心配すべきはテロ国家や集団が、生物兵器や化学兵器を使用することである。かつてとは様変わりしたポスト冷戦世界では、いかなる対応策を講じてもこの危険を抑止することはできない。そして、彼らが自らの問題を唯一の超大国の責任とみなすような構図がそこに存在するため、テロ攻撃の最大のターゲットは米国である。軍事専門家の関心は使用される前にこれらを破壊する「先制・予防戦略」にあるが、われわれは再び「市民防衛プログラム」に目を向けるべきではないか。

アジア通貨危機とIMFの誤診

1998年4月号

マーティン・フェルドシュタイン ハーバード大学経済学教授

IMFは今回のアジア通貨危機に際して、緊急融資と引き換えに、各国政府に構造改革・制度改革という大がかりな改革プログラムを押しつけるという大胆な行動に出たが、この処方箋は結局は悪い結果を招く危険性が高い。国や企業が対外債務の返済ができなくなったとき、この問題を解決する主要な責任はあくまで「借り手、そして貸し手である銀行や債券保有者」にあることをIMFは再認識すべきである。アジア通貨危機の本質をIMFはどうして読み違えたのか。伝統的役割からの逸脱はなぜ起きたのか。

ダライ・ラマのジレンマ

1998年3月号

メルヴィン・C・ゴールドシュタイン ケースウェスタン・リザーブ大学人類学教授

チベットへの民主政体の導入を求めたダライ・ラマの果敢な対外キャンペーンは、欧米世界での支持を背景に、中国政府を守勢に立たせたかに見えた。だが中国政府による経済統合策によって、大量の非チベット系中国人起業家、労働者がチベットに流入し、いまやチベットの文化、宗教、民族性までもが危機にさらされ、形勢は完全に逆転している。「政治的自治の範囲」をめぐる中国とチベット間の「妥協」は可能なのか。ダライ・ラマ、中国、そして米国は「妥協」に向けて、どのような行動をとり得るのか。

第二局面に突入したアジア経済

1998年3月号

ブルース・コッペル 東西センター上級研究員

アジア経済の混乱は、経済構造改革の手をつけやすい部分の移行が完了したことを示すにすぎず、必ずしも奇跡の終わりを意味するわけではない。だが、繁栄から取り残されてきた「もう一つのアジア」が抱える政治・経済問題、そして社会問題を解決せずして、今後の持続的成長は不可能である。新たな課題は何で、どのような選択をなすべきなのか。

中国は「民主化」途上にあるのか?

1998年3月号

ミンシン・ペイ  プリンストン大学助教授

中国の政治改革は経済改革に大きく後れをとっているが、それでもゆっくりと進展している。中国指導層の最優先課題は、急速な経済成長がつくり出す圧力に対する政府の管理能力を強化する方向で、「注意深い改革路線を実施する」ことにある。北京政府は、ソビエトが「法改革を実施する前に政治開放・民主化路線をとったために」政治システムそのものが崩壊したことを理解したうえで、現に法システムの整備に着手しているのだ。ただし、米国人が考えるような「民主化」は、中国政府が政治システムの堅固さに自信を持つまでは、今後も小さな可能性にとどまるだろう。

グローバル化と新たな統治システム

1998年2月号

ウォルフガング・H・ライニッケ ブルッキングス研究所上席研究員

相互依存とグローバリゼーションはまったく異なる。相互依存が、国家を単位とする国際システムにおける依存関係の「量的拡大」であるのに対して、グローバリズムは「おそらくは国民国家の終焉へとつながりかねない国際システムの抜本的な質的変化」だからである。そして、グローバリゼーションが状況を規定しているのはもっぱら先進工業世界においてで、その内実は、企業内、企業間ネットワークの著しい拡大に特徴づけられる。一方で途上世界がその波から取り残され、いまだ相互依存の関係にあることを忘れてはならない。こうしたなか、IMFや世銀のようなそもそも相互依存に対応するために組織された機構に役割の調整が求められるのは当然として、どうすれば、「民主社会の統治原理」を損なわずにグローバリゼーションから国家主権を守ろうとする試み、保護主義、ナショナリズム、領土紛争などが引き起こす多様な危機に対応できるだろうか。「IMFのような相互依存型の機構と、各国の規制当局者が一堂に集うジョイント・フォーラムといったグローバリゼーション対応型のレジームが、よりいっそう緊密に協力すべきであるのは間違いなく」、これに民間企業も巻き込んだ統治ネットワークの形成が急務である。

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