内からの崩壊を恐れる平壌
―― なぜ平壌は経済改革路線の導入を拒絶するのか
2008年3月号

北朝鮮のエリートたちは、彼らが直面している最大の脅威が、国の外ではなく、内側にあることを理解しており、改革を拒絶することが、民衆を管理するうえでもっとも好ましい政策であることを理解している。中国や韓国による改革導入の要請に平壌が耳をかさないのもこのためだ。たしかに、国境の南にいる同胞たちが北朝鮮では考えられないような物質的な豊かさと社会的自由のなかで暮らしていることを次第に理解するようになれば、早晩、北朝鮮民衆の多くは、韓国市民同様に繁栄を手にしたいと考えるようになり、そのためには、でたらめな政策をとっている政府を排除したいと考えるようになる可能性はある。しかし、これを回避するために北朝鮮の指導者は改革の導入を拒絶し、情報統制を強化するとともに、自国の国益からみて北朝鮮の不安定化を望まない中韓からの支援を引き出すことに成功している。この構図が短期的に変化するとは思えない。