1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

近代中東における自由と正義
――民主主義を支えるアラブ世界の伝統

2005年6月号

バーナード・ルイス プリンストン大学名誉教授

独裁や抑圧を、中東では昔から行われてきた統治手法とみなすのは間違っている。こうした見方は、アラブの歴史への無知、現在のアラブへの軽蔑、そしてアラブの未来に対する無関心の裏返しにすぎない。中東の抑圧政権はごく最近登場したものだし、イスラム文明の基盤とは異質なものだ。中東には民主主義を支えるアラブの伝統があるし、イラクでの選挙の成功は、長く苦しみ続けた中東の人々がついに自由と正義を実現する機会を手にしていることを意味する。

中国の経済と貿易の行方

2005年5月号

スピーカー
カーラ・ヒルズ/元米通商代表
シャーリーン・バーシェフスキ/前米通商代表
司会
リオネル・バーバー/フィナンシャル・タイムズU・S・マネージング・エディター

現在でも日本が受け入れている外国投資の規模はポルトガルへの外国からの投資規模と変わらない。外国からの直接投資、そして輸入の受け入れについて、日本はいまも開放的とはいえない。一方、中国は輸入に国内市場を開放している。この点からも中国を保護主義的だと槍玉に挙げるのは難しい。(ヒルズ)

どのような人民元対策であれ、中国は、それによって経済成長が損なわれず、雇用創出のペースが鈍化しないような措置しかとらないだろう。というのも……現在北京は、雇用創出と社会の安定は不可分の関係にあるととらえているからだ。(バーシェフスキ)

邦訳文は、ニューヨークの米外交問題評議会で開かれたコーポレート・プログラムでの世界貿易をテーマとする討論における中国に関する議論の抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

CFRコーポレート・プログラム
中国の台頭にどう対処する
――世界が直面する地政学的リスクとは

2005年5月号

●スピーカー
ファリード・ザカリア/フォーリン・アフェアーズ誌元副編集長
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
●司会
アラン・マレー/ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニスト

危険なのは……中国の共産主義が死滅しつつあることによって生じた思想的・政治的空白がナショナリズムによって埋め尽くされることだ。……日本はいまや第2次世界大戦後に課された特別の制約の一部を振りほどこうとしている。われわれの時代における静かで興味深い戦略上の進化の一つとは、日本が普通の国になりつつあること、この国の「ノーマライゼーション」だろう。(ハース)
現在の中国は20世紀初頭のドイツを思い起こさせる。台頭するパワーは人々のナショナリズムを煽り立てるもので、この感情が近隣諸国、あるいは近隣諸国との国境論争へと向かうように誘導される。(ザカリア)

それは、2001年3月29日、米上院の外交委員会でのジョン・ボルトンの国務次官指名承認公聴会での出来事だった。バーバラ・ボクサー上院議員(民主党・カリフォルニア州)は、ボルトンが「国際連合などというものは存在しない」と過去に述べたことを引き合いに出し、この見解は「アメリカで主流の見解から大きくはずれている」とただした。

外交委員たちの厳しい質問への弁明を試みるボルトンに対して、後に民主党大統領候補となるジョン・ケリー上院議員(民主党・マサチューセッツ州)は、過去の発言からみて、あなたのここでの証言は「指名承認を得るための転向、変節ではないか」と迫る。ここで、ボルトンの強力な支持者で、国連批判を展開し、主権至上主義の急先鋒として知られる長老のジェシー・ヘルムズ上院外交委員長(共和党・ノースカロライナ州)が声を上げる。「ジョン、立場を変えてはいけない。彼らは君を陥れようとしている」(注1)。・・・

ウクライナのオレンジ革命

2005年4月号

エイドリアン・カラトニツキ フリーダム・ハウス顧問

ウクライナのオレンジ革命が冷戦後の東ヨーロッパの歴史の大きな分岐点、この地域が地政学的に大きく欧米側にシフトするという分水嶺であることは間違いないが、オリガーク(寡頭政治の支配者)による圧政を国内運動で打破したウクライナの革命が、ロシアを含む他の旧ソビエト諸国にどのような影響を与えるかはまだわからない。ヨーロッパとロシアの間で揺れる国々にとって、オレンジ革命は何を意味するのか。そしてウクライナはどこへ向かうのか。

次なる核武装化潮流

2005年3月号

ジョン・B・ウォルフスタール/カーネギー国際平和財団アソシエート

核兵器の価値を認め、核拡散を不可避とみなす宿命論が勢いを得ていけば、新たな核武装化の波が起きる。北朝鮮やイランの核開発の脅威を前に、世界は無節操な核拡散へ向かいかねない危険な状態にある。この潮流を押し返せるとすれば、核の平和利用という名目の下に何が許されるのかを再定義することに各国が前向きになり、すべての国が合意するコンセンサスをとりまとめられた場合だけだろう。

NPTとイラン核開発問題の本質

2005年3月号

ローレンス・シェインマン/モントレー国際大学教授

「民生目的と称して、外部から必要な技術のすべてを導入して完全な核燃料サイクルを完成し、NPT第十条の条約脱退の権利を行使して、『状況が変わったので、核兵器を生産する』とイランが言い出したらどうするのか」。NPTの欠陥をこう指摘する核不拡散問題の専門家ローレンス・シェインマンは、五月のNPT再検討会議では、このシナリオをめぐって多くの議論が行われると予測する。新型核の開発に関心を持っているアメリカはNPTを順守していないと批判されても仕方がないとコメントする同氏は、非核保有国が条約上の義務を守るように要請するとともに、核保有国も条約上のコミットメントを守らなければならないと強調した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

論争 北朝鮮ウラン濃縮疑惑の真相

2005年3月号

ロバート・ガルーチ 前国務省政策企画局長
ミッチェル・リース 元国務次官補

「ハリソンは、良い逸脱行為と悪い逸脱行為を区別しようと試みている。だが、ウラン濃縮問題は六者協議の中核的課題だし、平壌のこれまでの悪質な行動からみても、北朝鮮の核問題を完全かつ後戻りできぬ形で解体するには、ウラン濃縮問題も間違いなく解決しなければならない」。(リース&ガルーチ)
「リースとガルーチは、二〇〇三年四月に北朝鮮が高強度アルミ管を輸入しようと試みたことを引き合いに出し、それをもって、現実に北朝鮮がアルミ管を入手したかのような議論をしている。私も論文で、同じ事例を引いたが、・・・北朝鮮が実際にアルミ管を入手したかどうかはむしろ疑問だと考えている」。(ハリソン)
朝鮮半島問題の専門家セリグ・ハリソンは「『北朝鮮によるウラン濃縮』というアメリカの疑惑」(フォーリン・アフェアーズ日本語版および日本語インターネット版二〇〇五年一月号)で、ブッシュ政権は北朝鮮がウラン濃縮計画を進めていることを示す断片情報を基に平壌が高濃縮ウランを生産していると断定したが、実際には核不拡散条約(NPT)で核の平和利用として生産が認められている低濃縮ウランの開発を試みていたにすぎないのではないかと疑問を表明し、彼の疑問を支える分析を示した。これに対して、今月号では、二〇〇五年二月まで米政府高官として機密情報に接する立場にあったロバート・ガルーチ、ミッチェル・リースが北朝鮮の兵器級ウラン濃縮計画の「証拠はある」と反論し、科学者のリチャード・ガーウィンもハリソンの分析手法の問題を指摘している。

核不拡散レジームをどう立て直すか

2005年3月号

CFRアップデート

核不拡散条約(NPT)の最大の問題は、NPTの第四条が認めている民生用の核エネルギーの開発プロセスのなかで、各国が核兵器を生産するのに必要な知識のほぼすべてを得てしまうことにある。その後、条約上の義務を破って民生用プログラムを軍事プログラムに転換することもできる。北朝鮮、そしておそらくはイランの核開発、さらには盗み出された核によるテロの脅威を前に、こうした核不拡散レジームのほころびをどう繕っていくかが問われている。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

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