1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

CFRインタビュー
ブッシュ政権はイランの軍事攻撃を検討している

2006年4月号

カーネギー国際平和財団・核不拡散担当ディレクター ジョセフ・シリンシオーネ

ロシアと中国はイランに対する制裁措置の発動を避けたいと考えているし、一方ワシントンは制裁措置の発動だけでなく、軍事攻撃への容認を安保理で取り付けたいと考えている。現状をこう分析するジョセフ・シリンシオーネ(カーネギー国際平和財団・核不拡散プロジェクト・ディレクター)は、ブッシュ政権内ではイランの軍事攻撃に関する議論が行われているだけでなく、その計画も立案されていると語る。「私は現実点では次のように考えている。副大統領を含む、ブッシュ政権の高官の一部はイランに対する軍事攻撃が望ましい選択肢だとすでに判断し、軍事攻撃によってイランの政権を揺るがせば、長年の目標である政権の打倒を達成できると考えている」。軍事攻撃に明確に反対する同氏は、イランを核の平和利用、民生利用へと引き戻し、中東における核武装のドミノ倒し現象を回避すべきだと強調した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

Classic Selection
オフショアリングが誘発する次なる産業革命

2006年4月号

アラン・S・ブラインダー プリンストン大学教授

多くの人々は、教育レベル(とスキルのレベル)が高い人々と低い人々の間の区別、つまり、医師とテレホンオペレーターの違いに象徴される労働市場における重要な雇用区分は今も存在し、今後もなくならないと考えている。だがこうした見方は間違っているかもしれない。むしろ雇用に関する今後の重要な区分は、(インターネットなど)有線や無線での電子送信によって質をほとんど低下させることなく仕事をオフショアリング(外国へアウトソース)できる仕事か、そうでない仕事かで分かれることになる。先進国にとって、オフショアリングは第三の産業革命と呼ぶにふさわしい産業構造の変化、そして社会的変革を呼び込むことになるだろう。

原油価格高騰の真相

2006年4月号

レオナルド・モーゲリ
ENI企業戦略企画担当上席副社長

悲観論者たちは、世界の資源はすでに開発し尽くされており、原油価格のダイナミクスや技術の発展も石油資源の「限界」を覆すことはできないと考えている。たしかに石油の消費が増加の一途をたどっている以上、既存の石油資源に関しては必然的に枯渇に近づいている。だが、科学を装った「資源枯渇」という悲観論者の宿命論は、これまで幾度となく間違っていたことが実証されている。この20年にわたって石油関連投資がないがしろにされてきた結果の原油不足に、中国などの需要増が追い打ちをかけているというのが真実に他ならない。石油資源は潤沢にあるし、今回の原油高騰を例外的な現象とみなすのは間違っている。

CFRインタビュー
イランの核開発を警戒するサウジアラビア

2006年4月号

レイチェル・ブロンソン CFRシニア・フェロー

サウジアラビアはかつてはイスラエルを念頭に、中東の非核化を唱えていたが、いまや東方のイランを念頭に、ペルシャ湾岸の非核化を求めている。「リヤドはテヘラン、そして、アフマディネジャド大統領の行動を非常に心配している」と語るレイチェル・ブロンソン(CFRシニア・フェロー)は、歴史的にみても、アフガニスタンでの聖戦、最終的に9・11へとつながっていった1980年代以降の「サウジの保守化路線」は、革命イランに対抗するためにサウジの社会的な結束を強化するという意図に導かれていたと指摘する。核開発問題だけでなく、「アフガニスタン、イラクでの影響力を拡大したイランが、レバノンだけでなく、パレスチナ(ハマス政権)への影響力を高めつつある」ことをサウジは特に憂慮していると同氏は状況を分析する。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRブリーフィング
有志同盟による対イラン経済制裁か

2006年3月号

Robert McMahon(Deputy Editor, www.cfr.org)

イランの核開発問題が国連安保理に付託され、テヘランにウラン濃縮をやめさせるための経済制裁をとりまとめられるかどうかが注目を集めている。アメリカとヨーロッパの外交官たちは、イランに圧力をかけるには安保理として何らかの行動を示す必要があると考えているが、イランと経済的に深い絆をもつロシアと中国は、イラン危機への対処策として経済制裁を導入することを事実上拒否している。このため、国連安保理の枠外での経済制裁に向けた多国間連帯をまとめることを求める専門家もいる。例えば、核不拡散政策教育センター所長のヘンリー・ソコルスキーは、イラン経済にとって非常に重要な工作機械や物質を輸出しているイタリア、ドイツ、フランスの禁輸措置への協力が特に重要だとし、イランが国内用原油の精製について外国に依存していることに注目すべきだと指摘する。邦訳文は英文からの抜粋・要約。

台湾の陳水扁総統が中国の「一つの中国」路線に抵抗するなか、中台は互いに相手への批判を強めつつある。だが、現状を危機的な状況にあると考える専門家はほとんどいない。陳が台湾独立にこだわるのは、総統としてうまく権力を行使できないためだとみる専門家も多い。立法院(議会)では国民党と親民党の野党連合が多数派であるため、陳の政治構想のほとんどは挫折し、結果、陳は政治的には身動きのとれない状況にある。台湾政治が二極化するなか、中国は台湾の野党陣営との接触を増やし、一方、独立を求める陳水扁政権は、台湾政治内での存在をアピールしようと中国を挑発するかのような行動をとっているが、現実には「レームダック」に陥りつつある。

CFRタスクフォース・リポート
イランの核開発危機を検証する

2006年3月号

パネリスト 米外交問題評議会(CFR) シニア・フェロー(科学技術担当) チャールズ・D・ファーガソン CFRシニア・フェロー(ロシア・ユーラシア担当) スティーブ・R・セスタノビッチ CFRシニア・フェロー(中東担当) レイ・タキー プロジェクト・ディレクター CFRシニア・フェロー リー・フェインシュタイン

イランは核開発と国家アイデンティティーを重ね合わせだしている。核開発はタカ派政権のアジェンダではなく、イランの国家的なアジェンダになりつつある。(R・タキー)

イランへの軍事攻撃の可能性は低い。……ブッシュ大統領は「イランの核の平和利用は認める」とすでに発言しているし、ロシアが示している妥協案にも前向きだからだ。(C・ファーガソン)

ロシアの目的はイランから(核開発放棄の)合意を引き出すことにあるのか、それとも玉虫色の発言を引き出すことにあるのか、はっきりしない。(S・セスタノビッチ)

NPTを踏みにじっているにもかかわらず、イランは「自分たちはNPTで認められた核の平和利用を行う権利をもつ」と争点をすり替えている。(L・フェインシュタイン)

日中関係はどこへ向かうのか
 ――政治化された歴史とライバル意識の行方

2006年3月号

ケント・E・カルダー  ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー・センター所長。

小泉首相の個人的、政治的思惑が何であるにせよ、そして、その意図がうまく理解されていないとしても、彼の靖国参拝は、国際的に日本の外交路線を大きく誤解させる火種をつくり出し、日本と中国の指導者が2国間の経済・安全保障関係を管理していくのをますます難しくしている。しかし、ポスト小泉の指導者は大きな機会を手にすることになる。新首相は、日中の首脳会談を復活させ、エネルギー・環境問題をめぐる中国との対話路線を強化し、世俗的な戦没者追悼施設建設の可能性を模索し、靖国神社への参拝を慎むことができる。こうした路線をとれば、日本は外交的な優位をつくり出せるし、日本と中国は、とかく政治的論争となりがちな歴史問題に気を奪われることなく、両国の関係の安定化という真の課題に取り組めるようになるだろう。

原油価格の高騰が続くなか、石油に替わるエネルギー資源の開発を模索していく価値は十分にあるが、代替エネルギーに過大な期待をかけるのはやめた方がいい。運輸交通部門などで石油以上に効率的なエネルギー資源を得ることは、不可能に近い。しかも、代替資源に切り替えるにはインフラを一新しなければならないため、そのコストを考えるといかなる代替エネルギー資源も、石油よりも割高になってしまう。ただし、地球環境への長期的な負担を軽減するには、代替エネルギーの研究開発を今後も進めていく必要がある。

CFRインタビュー
それでもイラクの政治プロセスは破綻しない

2006年2月号

W・パトリック・ランゲ 前米国防情報庁中東・対テロ部長

シーア派の聖地であるアスカリ聖廟が爆破された事件によって、シーア派とスンニ派間の紛争が誘発され、すでに有力なスンニ派指導者を含む165人が犠牲になっている。イラクの暴力レベルがかつてないほどに高まり、無秩序状態に陥るなか、シーア派の指導者はシーア派の群衆に自重を呼びかけている。メディアはイラクが内戦に陥る危険を指摘し、ニューヨーク・タイムズ紙も「政治交渉は崩壊した」と伝えた。しかし、米国防情報庁の前中東・対テロ部長のW・パトリック・ランゲは、こうした見方には与しない。これまではシーア派が大規模な反撃を慎んできただけの話で、実際には、イラクでは長く宗派間紛争による内戦状態にあったとみるランゲは、「宗派間紛争はいずれ下火になっていき、シーア派は今後も政治権力の基盤固めに取り組み、スンニ派は政府にゲリラ戦争を挑み続けるだろう」と今後を分析した。聞き手はリオネル・ビーナー(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

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