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論文データベース(最新論文順)

東アジアの新戦略環境と同盟関係
―― 同盟国の不安にどう対処するか

2023年3月号

カテリン・フレーザー・カッツ 元米国家安全保障会議ディレクター
クリストファー・ジョンストン 前米国家安全保障会議ディレクター
ビクター・チャ 元米国家安全保障会議ディレクター

「アメリカは、核兵器を含む、あらゆるパワーを用いて、同盟国の領土と主権に対する外からの攻撃を抑止し、必要なら、相手を打倒する」。ワシントンはこの安全保障コミットメントを守れるのか。東京やソウルを守るために(北朝鮮を攻撃して)、アメリカの都市が核攻撃の対象にされるリスクをワシントンは本当に引き受けるのか。同盟諸国は疑念を払拭できずにいる。いまや韓国人の70%以上が核武装を支持し、50%以上が米軍の戦術核の再配備を求めている。日本でも80%以上が中国、北朝鮮、ロシアを軍事的脅威とみなしている。不安を募らす東京とソウルを安心させるために、ワシントンはどのように対処すべきなのか。

国益と自由世界擁護の間
―― ウクライナとアメリカの国益

2023年3月号

ロバート・ケーガン ブルッキングス研究所シニアフェロー

オバマ大統領(当時)は、「ウクライナは、アメリカよりもロシアにとって重要であり、同じことは中国にとっての台湾についても言える」と何度も語っている。一方で、第一次世界大戦、そして第二次世界大戦から今日までの80年間、アメリカがそのパワーと影響力を行使して自由主義の覇権を擁護し、支えてきたのも事実だ。ウクライナの防衛も、アメリカではなく、自由主義の覇権を守ることが目的なのだ。「アメリカはウクライナに死活的に重要な利益をもっている」とみなす米議員たちの発言は、ウクライナが倒れれば、アメリカが直接脅威にさらされるという意味ではない。(関与しなければ)「リベラルな世界秩序が脅かされる」という意味だ。アメリカ人は、再び世界はより危険な場所になったとみなし、紛争と独裁に支配される時代に向かいつつあるとみている。

それぞれのウクライナ戦争
―― 大国、主要国、途上国

2023年3月号

シブシャンカール・メノン 元インド外務次官

世界の多くの地域では、2022年のもっとも重要な問題は、ウクライナ戦争とはほとんど関係がなかった。途上国の多くはコロナ禍の大混乱から立ち上がろうとしている局面にあり、債務危機、世界経済の成長減速、気候変動などのさまざまな難題に直面している。中国にとっても、ウクライナ戦争は大きな足かせとなった。戦争は世界経済、中国のエネルギーと食糧の輸入、そしてロシアとの事実上の同盟関係に影響を与え、世界における中国の影響力は制約された。一方、日独は新しい道を歩み始めている。世界の多くの地域にとって、ウクライナ戦争は、世界秩序を再定義するよりも一段とさまよわせ、国際的な緊急課題にどう対処するかについて、新たな疑問を浮上させている。そして、現在の大国間対立に代わる第3の道はまだ視野に入ってこない。

アジアの安定と米国の優位
―― 大国間政治と非同盟主義

2023年3月号

ヴァン・ジャクソン ビクトリア大学ウェリントン 上級講師(国際関係論)

ワシントンは、1980年代以降、アジアにおけるアメリカの優位と地域の安定は共存しているだけでなく、そこには、因果関係があるとさえ考えるようになった、いまや、支配的優位を維持することにこだわり、主要なグローバルライバルである中国を抑え込み、弱体化させることを意図している。一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)を含むアジアの多くの国は、米中のどちらにも与しない非同盟主義を模索している。アメリカは、自らがイメージする平和への道をアジアに強要できないことを理解しなければならない。支配的優位を確立するという野心を抑え、パワーポリティクスを展開する抽象的舞台としてではなく、そのままのアジアに対応していく必要がある。アメリカは地域の平和を支援することも、地域的優位を模索することもできる。だが、二兎を追うことはできない。・・・

北朝鮮の脅威に向き合うには
―― 米韓と日本による抑止力強化を

2023年3月号

スー・ミ・テリー ウィルソンセンター アジアプログラム ディレクター

平壌の核開発はより危険な新段階に入りつつある。核弾頭の備蓄を急速に増やすと同時に、金正恩は、核使用のハードルを低くしている。核戦力を拡大し、核の先制使用ドクトリンを示し、アメリカとの非核化の話し合いには応じない姿勢をすでに明らかにしている。実際、平壌の判断ミスが戦争につながるリスクは高まっている。連携のとれた力強い対策をとるには、米韓同盟を深化・拡大するとともに、この地域のアメリカのもう一つの主要な同盟国である日本と韓国の協力を強化しなければならない。そのためには、日韓が国内における政治的な反発を克服する一方で、ワシントンが北朝鮮の動向にもっと大きな関心を寄せる必要がある。・・・

ドローン外交の夜明け
―― ドローンがパワーバランスを覆す

2023年2月号

エリック・リン=グリーンバーグ マサチューセッツ工科大学  アシスタント・プロフェッサー(政治学)

いまや、イランやトルコなどの新たな軍事サプライヤーがドローン輸出を通じて対外的影響力を強化している。かつて軍事ドローンの生産をほぼ独占していたアメリカは、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)の輸出規制によって、緊密な同盟国への輸出さえ制限されている。この間隙をついて、MTCRに加盟していない中国やイスラエルが積極的にドローンビジネスに参入し、ほとんど規制を気にせずに取引をするようになり、イランやトルコがこれに続いた。ドローンの輸出相手国との関係を深め、ライバルに対抗し、応分の見返りと譲歩を引き出すことで、ドローン外交は、地域の安定を脅かし、アメリカのような伝統的兵器輸出国の影響力を脅かしている。・・・

重要鉱物とサプライチェーン
―― クリーンエネルギーと大国間競争

2023年2月号

モーガン・D・バジリアン コロラド鉱山大学教授(公共政策)
グレゴリー・ブリュー イェール大学ジャクソン・スクール  博士研究員

再生可能エネルギーへのシフトには、リチウム、コバルト、ニッケル、銅などの重要鉱物を確保することが不可欠だ。しかし、重要鉱物の生産はほんの一握りの国に集中している。インドネシアが世界のニッケルの30パーセントを、コンゴ民主共和国が世界のコバルトの70パーセントを生産している。しかも、重要鉱物の加工と最終製品の製造は中国に集中している。世界のリチウムの59%、その他の重要鉱物の80%近くを精製し、電気自動車用電池の先端製造能力の4分の3以上を中国が独占している。これら重要鉱物の調達がうまくいかなくなればエネルギー転換は立ちゆかなくなる。多様かつ強靭で安全なサプライチェーンを構築し、国内外の重要鉱物へのアクセスを高めるには何が必要なのか。

2023年のトレンドを考える

2023年2月号

マンジャリ・C・ミラー CFRシニアフェロー(インド、パキスタン、南アジア担当)
J・アンドレス・ギャノン CFRシャントン核安全保障フェロー
イヌ・マナク CFRフェロー(貿易政策担当)
エベニーザー・オバダレ CFRシニアフェロー(アフリカ研究)
クリストファー・M・タトル CFRシニアフェロー、ディレクター(リニューイング・アメリカ・イニシアティブ)

グローバルな食糧不安、今後の地政学的変数の一つであるインドとロシアの関係はどう推移するのか。中国の軍事的脅威にアジアの地域諸国は適切に対処しているか、アフリカの経済成長を妨げている頭脳流出の原因は何か。そしてアメリカにおける政治的分裂状況は、今後さらに激化していくのか。地域、イッシューの専門家が分析する2023年のトレンズ。

クリミアを取り戻すべき理由
―― ウクライナの立場

2023年2月号

アンドリー・ザゴロドニュク ウクライナの政治家で企業家。現在はウクライナ国防戦略センター会長。2019–2020年にウクライナ国防相を務めた。

これまでの軍事的成功をみれば、ウクライナにクリミアを解放する力があるのは明らかだろう。クリミアにはロシアの一部にとどまることを希望する人もいるが、それ以上に、モスクワの支配から逃れたいと考える人が多い。ロシアは、国土を奪い、勢力圏を拡大し、帝国を復活させることに夢中だ。相手に弱さを感じとれば、飛びかかってくる。欧米の一部の専門家が言うように、和平と引き換えにクリミアを差し出してはならない。そんなことをすれば、プーチンの侵略行為に報い、さらなる侵略のインセンティブを与えるだけだ。クリミアがロシアの支配から解放されるまで、ウクライナの安全は期待できず、経済再建もできないだろう。当然、ウクライナは、クリミアを奪還するまで戦いをやめない。

体制変革を求めるイラン民衆
―― 社会的連帯を助けるには

2023年2月号

エリック・エデルマン 元米国防次官
レイ・タキー 米外交問題評議会 シニアフェロー(中東担当)

これまでのイランの民衆蜂起には社会的まとまりがなかったが、今回は違う。民衆は広く連帯している。農民たちは水不足に、学生たちは自由の欠如に、教員たちは報酬の不足に、そして退職者たちは社会保障の乏しさに不満を抱いてきた。蓄積されてきた人々の怒りと苛立ちを発散する抗議運動に火をつけたのが、ヒジャブの着用方法が不適切だという理由で警察に連行されたマフサ・アムニの死だった。最高指導者ハメネイが創刊した日刊紙でさえ、「インフレ、失業、少雨、環境破壊などの問題が、退職者から教育者、学生に至るまでの人々を抗議に駆り立てている」と指摘している。バイデン政権は、変革を起こすために命を危険にさらしているイランの人々が国を取り戻せるように、できる限りの手を尽くすべきだ。・・・

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