追い込まれた金正恩
―― 出口のない窮状
2013年2月号

軍務に服することなく、20代後半の若さで権力構造のトップに君臨している金正恩は、現在の体制基盤を強化できるかどうか。それは、彼が権力者としての価値と手腕をもっていることをエリート層に立証できるかに左右される。一連の軍高官の解任劇は、金正恩が、彼らからビジネスの既得権益を奪い取ることで、自らのパトロンネットワークを強化しようとした結果だと考えられる。だがその結果、軍高官の不満は高まっている。韓国に対して強硬策をとって国内的に手腕を示そうにも、すでに、ソウルは北朝鮮の強硬策には大規模な報復攻撃も辞さないと表明しており、軽々に火遊びはできない。中国にさえも見限られた部分がある。しかも、携帯電話の普及とインターネットユーザーの拡大によって北朝鮮社会は変化しつつある。金正恩はいずれ身動きのできない状況へと追い込まれ、アメリカは、北朝鮮の核管理体制の弛緩という悪夢のシナリオに直面する恐れがある。・・・