ゾンビ化したアベノミクス
2015年1月号

安倍政権は、輸出促進策の一環として(意図的かどうかはともかく)円安を誘導し、円の価値は30%低下した。だが競争力を強化するための構造改革を先送りしているために、円安効果はほとんどなく、国内経済の成長は停滞したままだ。むしろ、円安による物価の上昇で、勤労者世帯の実質可処分所得は1年前と比べて6%低下した。消費支出が停滞し、経済がリセッションに陥ったのはこのためだ。安倍政権が3本の矢を本当に利用するつもりなら、景気刺激策と金融緩和を、構造改革という困難で時間のかかる手術をするための麻酔薬として利用したはずだ。だが、日本政府は長期にわたって景気刺激策と金融政策を、痛みを感じないようにする麻薬として用いただけで、手術(構造改革)をしなかった。・・・