ユーラシアに迫り来るアナキー
―― ユーラシアのカオスと中ロの対外強硬路線
2016年3月号
1930年代までに十分なパワーを培ったドイツが対外侵略に打ってでたのとは逆に、中ロという現在のリビジョニスト国家は、国内の不安定化、脆弱性ゆえに対外強硬路線をとっている。ロシアは深刻なリセッションに陥っているし、中国の株式市場のクラッシュは今後の金融混乱を予兆している。経済的苦境のなかでアナキーに陥れば、中ロはナショナリズムを高揚させ、不満を募らす民衆の関心を外へ向かわせることで、内的な結束を固めようとするかもれない。クレムリンでのクーデター、ロシアの部分的解体、中国西部でのイスラムテロ、北京における派閥抗争、中央アジアの政治的混乱など、ワシントンは、カオスの到来に備えるべきだ。冷戦、ポスト冷戦という比較的穏やかな時代は過ぎ去り、ユーラシアの解体に伴うアナキーに派生する長期的な大国間紛争の時代に備えるべきだろう。