同性愛に対するグローバルな反動
―― 同性愛を拒絶する宗教・政治的ルーツ
2017年6月号

南北アメリカから、ロシアその他の旧共産主義諸国、そして中東からアフリカに至るまでの世界各地で、同性愛者の権利擁護に対する激しい反発と反動が生じている。この反動には社会・宗教・政治的要因が複雑に関わっている。主要宗教のなかで同性愛に対する許容度がもっとも低いのがイスラム教。これにプロテスタント系福音派、カトリック、そして主流派プロテスタントが続く。そして世界の独裁政権の多くが、同性愛者というマイノリティをかつてのユダヤ人や民族的少数派などの少数派集団同様に政治的スケープゴートにしている。そうすることで民衆の政治的支持を高めて権力基盤を固め、保守的な政策を正当化し、市民の関心が真に重要な問題に向かうリスクを低下させられるからだ。・・・