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テーマに関する論文

日米同盟への信頼を取り戻す
―― 同盟喪失リスクをなくすには

2026年11月号

デビッド・サックス 外交問題評議会フェロー(アジア担当) ニック・スナイダー ハドソン研究所 上級研究員

日本にはワシントンに代わるよりよい選択肢はないが、現在のアメリカの冷めたアプローチが続くようなら、日本は同盟への期待値を引き下げるかもしれない。実際、トランプが台湾の地位をめぐって北京に大幅な譲歩をしたり、韓国から軍を撤退させたりすれば、日本は対米外交政策の方向転換を検討せざるを得なくなるだろう。石垣島に米軍のローテーション部隊のプレゼンスを確立するなど、ワシントンは、より野心的な日米同盟の構築を望む立場を明確に示し、日本との経済・軍事協力を拡大する必要がある。アメリカが日米同盟を退化させれば、ワシントン、東京、そしてこの地域全体が同様に苦しむことになる。

流れは米中デタントへ
―― 戦略的安定の本質

2026年10月号

達巍 清華大学 国際安全保障・戦略センター 所長

第2次トランプ政権の発足以降、双方にとって米中関係は「大きすぎて潰せない」ことがすでに明らかになっている。2025年の関税とレアアースをめぐる激しい衝突は、ともに相手の弱点を突けることを明らかにする一方で、両国の相互依存関係が極めて深く、経済対立をめぐって慎重な行動が必要であることを双方に再認識させた。対米競争を受け入れ、それを管理していくという北京の姿勢は「中国の自信の高まり」を反映している。いまや、戦略的安定をめぐる認識の共有へと流れは向かっている。台湾という火種は依然としてなくなっていないが、北京とワシントンは新しい均衡を見出しつつある。

中国と米同盟関係の未来
―― 同盟規模の拡大を

2026年10月号

カート・M・キャンベル 元米国務副長官
ラッシュ・ドーシ 米外交問題評議会 シニアフェロー(中国担当)

二期目のトランプ政権の同盟諸国との対立を前に、同盟関係の崩壊を予測する悲観論が内外で広がりをみせている。だが、現在の危機は、むしろ、トランプ大統領のキャラクターに派生している部分が大きいことを認識すべきで、むしろ、世界の現実に目を向けるべきだ。今後、中国が世界における優位を確立していくと考えられる。幸い、いまやアジアと欧州の同盟国の脅威認識は一致している。同盟諸国の政策立案者たち、そしてトランプ後のアメリカの指導者たちにとって、同盟の規模(拡大と統合)こそ中国との均衡を図り、今後に備える唯一の道であることが明らかになりつつある。

ポスト・ネタニヤフのイスラエル
―― 戦争路線からの決別はできるか

2026年10月号

アモス・ハレル ハアレツ 防衛アナリスト

複数地域で軍事行動を続けるイスラエルの「終わりなき戦争」路線に出口はあるのか。多くの人が、ガディ・アイゼンコットが、ネタニヤフを抑えて10月の選挙で勝利すれば、この強硬路線がどの程度変化するかを考えている。安全保障政策の根本的な転換は難しくても、西岸の入植や暴力の抑制、ガザ統治へのパレスチナ自治政府の関与には見込みが出てくるかもしれない。レバノンやシリアとの対立の緩和や、サウジアラビアとの関係正常化も期待できるようになるかもしれない。元イスラエル軍参謀総長が新しい指導者になれば、ひどく右傾化したイスラエルをどう変化させていくのか。

人工知能をどう捉えるか
―― AIと人間性の未来

2026年10月号

セバスチャン・マラビー 米外交問題評議会 シニアフェロー

バチカンが公表したAIに関する「マニフィカ・フマニタス」の副題は、「人工知能時代における人間性の擁護について」とされている。そこでは「われわれは機械内部での思考は知りえないし、そこには人間が知るに値する思考など存在しない」とされている。しかし真実はその逆だ。アンソロピックの指導者たちは、2028年末までに「人工知能システムが自らに指示を出して、さらに賢いバージョンの人工知能システムを作り出せるようになる可能性」が50%以上あるとみている。機械がわれわれの道徳観を理解することはないとしても、人間が機械を制御しようと望むのなら、われわれはまず機械を理解しなければならない。AIの仕組みを理解したうえで、国際的な安全規制、税制改革、再分配策の研究を進める必要がある。

「ポストアメリカ」世界の現実
―― 非秩序のなかの生存戦略

2026年10月号

マーク・レナード 欧州外交評議会

米主導の国際秩序はすでに空洞化し、世界は分断、ルール無視、経済・技術上のチョークポイントの武器化が進む「非秩序」の時代に入っている。だが、アメリカの同盟諸国は、ワシントンが旧秩序の支援や同盟諸国の支援から手を引いていることを、いまも理解していない。ヨーロッパ、日本、韓国は、旧秩序の復活を待つのではなく、アメリカ依存を減らし、柔軟な連携、技術主権、自立した防衛力を組み合わせる生存戦略を築くべきだ。各国は旧秩序が消え去ったことを認め、世界は秩序を完全に失った非秩序の状態に陥ると考えられることを認識すべきだ。地政学に対する新たなアプローチを模索する必要がある。

ウクライナの新しい現実
―― 選挙、民主主義、ドローン

2026年10月号

ナタリア・グメニュク ジャーナリスト(在ウクライナ)

ウクライナにおけるドローンの台頭は、ロシアとの戦場だけでなく、その政治と社会も変化させている。ドローンのイノベーションが民間主導で進められてきたために、市民の軍事戦略への関心が高まる一方で、伝統的なレガシー兵器を手がける軍需企業の新興テクノロジー企業への反発が高まっていた。ゼレンスキーが、このタイミングで、ドローンインフラの展開を支えてきた主要な設計者の一人であるフェドロフ国防相を解任したことで、2026年7月を境に一気にウクライナの政治と社会は流動化した。いまやキーウは、この新しい現実への対応を迫られている。

経済成長で債務を克服できる?
―― AI経済ブームの幻想

2026年10月号

ケネス・S・ロゴフ ハーバード大学 教授

アメリカの債務拡大の軌道は持続不可能であり、債務危機に直面すれば、世界経済に衝撃が走り、ドルの地位も脅かされる。一部には、目覚ましいAIの技術的進化がもたらす生産性の向上と経済成長によって、アメリカの債務問題はいずれ問題ではなくなるとみる人もいる。だが、多くのエコノミストは、AIによって今後10年間の生産性上昇率が従来のトレンドから上振れする幅は1―2%程度とみている。しかも、人口の高齢化、グローバル化の後退に派生するコスト負担によって恩恵は部分的に相殺されるだろう。仮にAIが新たに大きな歳入をもたらしても、国防費の増額、環境災害対策など、歳出を求める圧力は大きい。実際、歳入をはるかに上回る歳出を続けることを求めてきた政治圧力を軽減することは、AIにもできないだろう。

ホルムズ危機の新地政学
―― 石油ショックと米中の影響力

2026年10月号

ジェイソン・ボードフ コロンビア大学 国際公共政策大学院教授
メーガン・L・オサリバン ハーバード大学 ケネディ・スクール 教授

ホルムズ危機の本当のリスクは、その衝撃が穏やかなものだったために、主要国がそのリスクを侮り、自国の対応能力を過信することかもしれない。実際、ホルムズ危機の第2幕は、第1幕よりもはるかに大きな被害をもたらす危険がある。在庫や備蓄が少なくなる一方で、需要が回復しているからだ。非ホルムズの代替ルートの脆弱性は高まり、石油インフラは攻撃されている。つまり、バッファーがいつまで持つか分からない。世界が将来のショックに備えるには、クリーンエネルギーや原子力への投資を含めて、レジリエンス強化のための対策が急務だろう。石油ショックへの米国と中国の影響力が高まる一方、途上国が大きな危険にさらされる構造が生まれていることも認識しなければならない。

イラン戦争の教訓
―― トランプの失策とパウエル・ドクトリン

2026年9月号

コリ・シェイク 米議会図書館 ジョン・W・クルーゲ・センター キッシンジャー・チェアー

もちろん、戦争は複雑であり、状況に左右される。トランプ大統領が(軍事介入の原則を定めた)「パウエル・ドクトリン」に従っていれば、イラン戦争は、はるかにうまく進んだと断言することはできない。それでも、ドクトリンの基準を無視したことが、作戦をさまざまな形で失敗へと追い込んだことは疑いようがない。トランプは新たな戦争のあり方を見いだしたのではなく、敗北する新たな方法を見いだしたに過ぎない。パウエル・ドクトリンの核心は、文民指導者が単に「何かをする」ためだけに軍事力へ訴えることを抑制することにあった。

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