米台自由貿易協定の締結を
―― その地政経済学的意味合い
2021年7月号

中国は2010年に経済協力枠組み協定(ECFA)を台湾と締結し、関税と貿易障壁を大幅に引き下げることに合意している。この状況で、北京によって台北が他国との自由貿易協定を結ぶ道が閉ざされれば、必然的に台湾経済は追い込まれ、中国の台湾に対する影響力は大きくなっていく。一方、米台自由貿易協定を結べば、中国を牽制し、他の諸国が台北との貿易交渉を開始するための(北京に対する)政治的盾を提供できる。中国が軍事力を強化し、自信を高めているだけに、ワシントンは、中国の冒険主義を抑止する追加措置を特定する必要がある。台湾との自由貿易協定は経済的恩恵をもたらすだけでなく、アメリカが台湾との関係を重視していることを示す強いシグナルを中国に送り、台湾の自信を高め、台北は強い立場から北京にアプローチできるようになる。いまや野心的な米台自由貿易を模索すべきタイミングだろう。