1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

国防と安全保障に関する論文

金融危機と戦略問題
――R・ハースの米下院軍事委員会における証言から

2009年4月号

リチャード・N・ハース/米外交問題評議会会長

金融危機が民衆の政府に対する不満を高め、これが、中国やロシアでの政治的抑圧の強化へとつながっていく恐れもある。途上国への投資が先細りとなるなか、先進国がさらに途上国への対外援助を削減するようになれば、破綻国家の数は増える一方になるかもしれないし、その余波は深刻なものになる。各国が、短期的な経済成長に目を向けるあまり、長期的な温暖化対策に後ろ向きになる危険もある。すでに各国では保護主義が台頭しており、「G20諸国のうちの約17カ国が、2008年11月の金融サミット以降に何らかの形で貿易障壁を引き上げている」。そして、大規模な景気刺激策の後には、インフレやドル危機が待ち受けているかもしれない。今回の危機が次なる危機を引き起こさないようにするには、何をどうすればよいか・・・

イラクを超えて
――中東への包括的な新アプローチを

2009年3月号

リチャード・N・ハース  米外交問題評議会会長
マーチン・インディク  ブルッキングス研究所セバン中東センター所長

イランは、秩序を不安定化させる危険な核開発プログラムの開発に向けて着実に歩を進めている。オバマ政権は、条件をつけることなく、テヘランに公式に交渉を申し入れるとともに、イラクのこれまでの進展を維持するために米軍撤退を慎重に進め、中東和平、特にイスラエルとシリアの和平に力を入れていく必要がある。これらを連動させ、成功へと導くには一つの領域での行動の結果が、他の領域でアメリカが実現しようとしていることにどう作用するかを想定し、避けられない混乱に直面しても路線を維持できるような統合戦略をとる必要がある。

Classic Selection 2009
台頭する中印とインド洋の時代
――21世紀の鍵を握る海洋

2009年3月号

ロバート・D・カプラン アトランティック・マンスリー誌記者

世界の人口の75%が沿岸から200マイル以内の陸地で生活していることを思えば、世界の軍事的未来は遠大な海域で活動する能力をもつ海軍力(と空軍力)によって左右される。しかも、海軍の場合、空・陸軍以上に経済利益、貿易システムを守る上で大きな役割を果たせる。……1890年、アメリカの軍事理論家のアルフレッド・セイヤー・マハンは「海上権力史論」で、「商船を守る海軍力が世界の歴史を形作る大きな要因になる」と指摘したが、現在、中国とインドの海軍戦略家は、マハンの著作をむさぼるように読んでいる。……いまやインドと中国のインド洋をめぐるライバル競争は、あたかも海洋版「グレート・ゲーム」の様相を呈している。

CFRインタビュー
保護主義の台頭と地政学リスクを考える

2009年3月号

ウォルター・ラッセル・ミード 米外交問題評議会アメリカ外交担当シニア・フェロー

「中国のアメリカへのアプローチはより手堅くなり、われわれが世界における目的とみなすものの多くを共有しだしている。しかし、これは『開放的な貿易システムと国際協調は、中国が豊かさと大きな成果を手にする機会をもたらしてくれる』という中国側の認識を前提としている。危機を前にわれわれが門戸を閉ざすか、そうでなくても、『アメリカやフランスは貿易の門戸を閉ざしつつある』と中国が考えるようになれば、これは、ジョージ・ブッシュの路線よりも、はるかに大きな危険を伴う外交的大失策となる。アジアと中国を疎外し、その結果、相手の反発やライバル意識をかき立てるとすれば、その後数十年にわたって世界はその禍根から逃れられなくなる。中国に対して門戸を閉ざすことは、現状においてもっとも大きな危険を伴う選択肢だ」。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFR インタビュー
オバマ政権の北朝鮮問題への関心は低い

2009年2月号

ドン・オーバードーファー ジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツスクール米韓研究所理事長

「すくなくとも、オバマ政権が北朝鮮の核問題を外交上の優先課題に据えそうな気配はない。新政権が取り組むべき課題は山積している。問題は、北朝鮮問題を短期間で具体的な成果に結びつけるのが非常に難しいことだ。この点からも大きな問題として取り上げられるとは思わない。 ……アメリカの政府関係者が北朝鮮に関してもっとも懸念しているのは、北朝鮮がどこかの国を核兵器で攻撃することよりも、核兵器、あるいは核関連物質が全く信頼できない国や非国家アクターの手へと流れていくことだ。・・・私の知る限り、北朝鮮が韓国やその他の国を核攻撃する可能性が高いと考えている米政府関係者は誰もいないが、核分裂物資の拡散については非常に警戒している」。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

権力と精神病理
――政治権力と自信過剰症候群

2009年1月

シャーウィン・B・ヌーランド
イエール大学医学部臨床外科教授

政治指導者を苦しめるのはいわゆる病気だけではない。権力の座にあるがゆえに国の最高指導者が精神的な変調をきたし、誇大妄想やナルシシズムに陥り、無責任な行動をとるようになることも少なくない。こうした「政治的自信過剰症候群」を患うリーダーは、自分が偉業を成し遂げる能力を持つとともに、それを期待されていると考え、自分にはあらゆる状況下で何が最善かを見抜く力があり、通常の道徳の範囲を超えて行動できると思い込んでいる。毛沢東やフィデル・カストロ、ロバート・ムガベなどの例からも明らかなように、政権の座にある期間が長ければ長いほど、こうした傾向は強くなり、その結果、「政策遂行能力の完全な欠落」という事態に陥る。

メドベージェフ露大統領が語る
全ヨーロッパ安全保障フォーラムとは
――オルブライト vs. メドベージェフ

2008年12月号

スピーカー
ドミトリー・メドベージェフ  ロシア連邦大統領
司会
マドレーン・オルブライト  元米国務長官

「ヨーロッパ的な機構・制度に参加していないわれわれにとって、ロシアの声をヨーロッパに聞いてもらうことは大きな利益になる。実際、われわれはNATOにもEUにも参加していない。われわれは、すべての問題を話し合えるようなプラットフォームを持ちたいと考えている。……われわれはヨーロッパ諸国が一つにまとまるだけでなく、ヨーロッパを形づくっているNATO、EU、CIS、CSTOというすべての組織がまとまって、さまざまな問題の解決に向けた試みに参加できればと考えている。そうした汎ヨーロッパ的なフォーラムを形成できれば、前向きの役割を果たせるはずだ。……こうしたフォーラムをつくれば、ロシアだけでなく、(NATOやEUなどの)組織に参加しておらず、忌憚なき意見を表明する機会を持たない諸国にその機会を提供できる。このフォーラムがあれば、……8月に起きたグルジアの南オセチア侵略のような危機を今後回避できるようになると思う」

核のない世界は実現できる

2008年12月号

アイボ・ダールダー ブルッキングス研究所シニア・フェロー
ジャン・ローダル アトランティック・カウンシル前会長

世界はより多くの核保有国と核分裂物質、警備体制が十分ではない原子力施設の増殖に特徴付けられる時代へと足を踏み入れつつあり、その結果、核を入手しようとしているテロリストの試みはより簡単になり、核兵器が現実に使用されるリスクも高くなっている。核兵器を暫定的に保有する目的を「他のアクターによる核兵器の使用を阻止することに制限し、アメリカが保有する核弾頭の数を1千個へと削減し、世界におけるすべての核分裂物質の所在を明らかにし、それを監視するための包括的な核管理レジームを立ち上げ、核廃絶に向けた最大限の国際的連帯をとりまとめていくべきだ。いま、核廃絶の道を歩みださなければ、いずれ核兵器が本当に使用される日がやってくるリスクを受け入れざるを得なくなる。

イランの権力と政治構造を解明する
――ハメネイの絶対権力を崩さなければ、何も変わらない

2008年12月号

アクバル・ガンジ イラン反体制派ジャーナリスト

現在のイランが直面する苦境を招き入れたのは誰の責任か。1人を名指しするとすれば、それはイランの最高指導者として過去20年にわたって絶対的な権力を保持してきたハメネイだ。実際、あらゆる権力を牛耳っているのはハメネイで、アハマディネジャドが2009年の大統領選挙で敗れても、事態は何も変わらないだろう。特に外交分野では変化を期待できない。今後イランが本当に変わるとすれば、イラン人が現在のスルタン国家体制を超えて動きだす方法を見つけたときだけだろう。これまでのワシントンの最大の関心は、イスラム共和国の核開発プログラムを阻止し、中東地域におけるイスラエルの戦略的優位を確保することにあった。一方、イラン人の反体制派、人権活動家、民主活動家の目的は、非暴力的なやり方で、自由、人権、連邦主義を模索する民主政治制度を導入することにある。イランと交渉していくつもりなら、ワシントンはハメネイの絶対権力、そして、イランの民主化勢力の立場に十分配慮しなければならない。

Page Top