コロナウイルスと米中の覇権
―― パンデミックと中国の野心
2020年5月号

ワシントンがパンデミック対策に失敗する一方、迅速な動きをみせた北京は、パンデミックの対応を主導するグローバルリーダーとして自らを位置づけようと試みている。自国の体制のメリットを喧伝し、諸外国に援助を提供し、外国政府を一つの方向へ動員しようとするなど、大胆な行動をみせている。アウトブレイクを隠蔽しようとした北京の初動ミスが、世界の多くの地域を苦しめている危機を助長したのは事実だろう。それでも、「中国がリーダーシップをとっているようにみなされ、ワシントンにはその能力も意思もないと判断されれば」、21世紀の世界のリーダー争いを根本的に変化させられることを北京は理解している。