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に関する論文

米ポピュリズムの歴史と今日的意味合い
―― ティーパーティー運動が揺るがすアメリカの政治と外交

2011年5月号

ウォルター・ラッセル・ミード アメリカン・インタレスト誌コントリビューティング・エディター

ポピュリストの政治的エネルギーが高まる一方で、主流派メディア、外交エスタブリッシュメントに始まり、金融企業、一般企業の経営陣、そして政府にいたるまでの確立されたアメリカの組織への信頼が失墜しつつある。現在のポピュリスト運動の代名詞であるティーパーティー運動は、彼らが「憶測を間違え、腐敗している」とみなす各分野の専門家に対する反乱とみなせる。しかも、2010年3月にアメリカで実施された世論調査では、回答者の37%がティーパーティー派を支持すると答えており、これは、少なくとも1億1500万のアメリカ人がティーパーティー運動になんらかの共感を示していることを意味する。アメリカの政策決定者、そして外国政府の高官たちは、アメリカ政治における主要な勢力であるポピュリストを十分に理解せずして、もはや米外交に関する適切な判断を下すことができなくなっていることを認識する必要がある。

CFRインタビュー
アフター・フクシマ
――フクシマ原発事故の教訓

2011年5月号

ジョン・エイハーン 前米原子力委員会委員長

フクシマ原発危機がいまも収束しないために、広く原発施設に対する不安と懸念が高まりつつある。実際、フクシマ原発がどのような状態にあるかは、いまもはっきりとしない。米原子力委員会のジョン・エイハーン前委員長によれば、フクシマ原発の「使用済み核燃料がどのような状態にあるかは依然として確認されていないし、ましてや、原子炉内の核燃料がどのような状況にあるかはわかっていない」。当然、「危機を管理できる状態にもっていくには、まだかなり長い時間がかかる」。チェルノブイリ原発事故、スリーマイル島原発事故以降、それぞれの事故を阻止するためにはどのような措置をとっておくべきだったかについて結論を出すには、数年の時間を要した。フクシマの原発事故についても、今後の対策に向けた結論が出るのはかなり先の話になる。だが、あらゆる設計上の規制を満たしているかどうかを検証する必要があるし、規制をいかに適切に進化させ維持していくかを考えることが絶対的に必要だ。

中国の台頭はたしかに危険をはらんでいるが、それが伴うパワーバランスの変化によって覇権競争が起きて米中の重要な国益が衝突することはおそらくない。核兵器、太平洋による隔絶、そして現在比較的良好な政治関係という三つの要因のおかげで、現在のアメリカと中国はともに高度な安全保障を手にしており、あえて関係を緊張させるような路線をとることはないだろう。米中間の緊張の高まりを抑えつつ、地域バランスを維持するには、事態をやや複雑にするとはいえ、ワシントンはアジアでもっとも重要なパートナーである日本と韓国に信頼できる拡大抑止を提供し、一方で、台湾防衛のような最重要とは言えないコミットメントについては従来の政策を見直し、アメリカは台湾から手を引くことも考えるべきだろう。何よりも、アメリカは中国の影響力と軍備増強によって生じるリスクを過大視し、過剰反応しないようにする必要がある。

CFRインタビュー
中東の構造的変化に目を向けよ
――自由と権利を求め始めた民衆

2011年5月号

エドワード・デレジアン 元駐シリア、駐イスラエル米大使

チュニジアやエジプトの民衆が「もうたくさんだ」というスローガンを掲げたことが中東の現状をうまく現している。政治的権利、社会経済的権利を奪われ、雇用も創出されない状況に人々は「もうたくさんだ」と変化を求めた。さらに、政府の腐敗、富裕層と貧困層の間の巨大な富の格差にも人々は激しい憤りを感じていた。民主主義の価値からみても、われわれは民衆が作り出している歴史的潮流の側につく必要がある。だが、中東は多様であり、相手国の特性を考えた上でアプローチを区別する必要もある。チュニジアとエジプトはバーレーンとは違うし、バーレーンはシリアとも違っている。そして、これらの諸国とリビアに共通点はない。中東へのアプローチを一つの枠組みでとらえることはできない。例えば、ホルムズ海峡に近いバーレーンに対しては経済安全保障の視点も必要になるし、リビアについても、われわれはまず反体制派の実体を見極める必要がある。

米連邦準備制度理事会のベン・バーナンキ議長は、(米議会が債務上限の引き上げに応じず)アメリカ政府がディフォルトを宣言せざるを得なくなれば、「景気回復の道は断たれ、再度、金融危機を誘発する恐れがある」とコメントしている。仮にディフォルトに陥らなくても、議会が債務上限の引き上げ承認に手間取れば、アメリカ経済、そして世界経済に大きなダメージが出る。・・・・JPモルガン・チェースのジャミー・ダイモンCEOは、債務上限問題を軽くみることに警告を発し、上限引き上げに向けた行動を明確にとらなければ、近い将来に本当にディフォルトに陥る危険があると指摘し、同氏は、「今後に備えて、きわめて慎重な措置をとる」と表明している。米政府がディフォルトを宣言せざるを得なくなるリスクはどの程度あるのか、ドルは準備通貨の地位を維持できるのか。

 「カダフィを権力ポストから追放するというアメリカの政策目的」と「それを実現するために進んで何をするか」の間に大きなギャップが存在し、その結果、アメリカ政府は大きな混乱に直面している。短期的には目的を引き下げて、状況を安定化させるしかない。停戦を強く求めるべきだし、これ以上多くの人命が失われないように手をつくす必要がある。このためなら、当面、カダフィが権力ポストに居座り続けるのを認め、この間、国が短期的に二つに分断されることになっても仕方がないだろう。

いかに先進国は知識労働者を移民として魅了できるか
―― ドイツのジレンマ

2011年4月号

タマール・ジャコビー イミグレーションワークスUSA代表

19世紀に大国が領土と天然資源をめぐって競い合ったように、現代の大国はブレインパワー、つまり国際経済のエンジンとなる科学者や技術者、起業家、有能な経営者を求めて競い合っている。先進国は高度な知識とスキルを持つ外国の人材を必要としているが、各国の市民は外国人が持ち込む異質な文化を受け止められるかどうかを確信できずにいる。ドイツは、今後先鋭化してくる労働力不足問題を認識していながらも、変化を受け入れる準備ができていない。移民の社会的同化を促進する制度もうまく整備されているとはいえない。それでも、ドイツが他の国々よりも早く問題に気づいて対策を検討していることは事実だし、この点を、外国の有能な人材も考慮することになるだろう。

中国の対外強硬路線の国内的起源
―― 高揚する自意識とナショナリズム

2011年4月号

トーマス・クリステンセン プリンストン大学教授

民衆レベルでの大国意識が定着し、ナショナリズムが高まる一方で、国内の不安定化が予想される。このため、中国政府は世論動向に非常に神経質になっている。民衆の声を北京のエリートたちが無視できた時代はすでに終わっている。政府は、長期的な政府の正統性と社会的安定をいかに維持していくかをもっとも気に懸けており、党指導層は、ナショナリスト的立場からの政府批判をもっとも警戒している。しかも、軍、国有エネルギー企業、主要輸出企業、地方の党エリートなど、国際社会との協調路線をとれば、自分たちの利益が損なわれる集団が中国の外交政策への影響力を持ち始めている。これが、中国がソフト路線から強硬な対外路線へと舵を切った大きな理由だ。中国での権力継承が完了する2012年までは、中国国内における政治、心理要因ゆえに、中国の対外路線をめぐって状況を楽観できる状態にはない。

9カ月後、日本経済は復活する
―― 再建コストで債券市場がパニックに陥ることはない

2011年4月号

セバスチャン・マラビー 米外交問題評議会地勢経済学センター所長

日本政府は復興・再建コストを負担しなければならず、これが、すでに先進国のなかでは最大の対GDP比債務を抱える日本経済に重くのしかかると懸念する専門家もいる。だが、冷静に考えるべきだ。復興・再建にどのくらいのコストがかかるだろうか。ざっくりとしたところで言えば、1000億ドル程度だろう。・・・たしかに、1000億ドルと言えば、かなりの金額だが、ほぼ10兆ドル規模の日本の債務総額からみれば、たいした数字ではない。債務総額が1%増えるだけだ。・・・・金融市場に流動性を提供する必要があるし、必要以上の円高には対抗策をとるべきだ。被災地域の再建のために、財政赤字をさらに大きくすることを躊躇すべきではない。いまは、慎重で保守的な路線ではなく、大胆な対策をとるべきタイミングだ。私は、日本政府は間違いなく大胆な措置をとると信じている。

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