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3・11は日本をどう変えていくか

マイケル・グリーン 戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長

Tokyo's Turning Point

2011年5月号掲載論文

日本が復興への道をたどり始める第一局面までは現政権が職責を維持するのかもしれない。だがこの局面を過ぎれば、日本の市民は指導者に対してこれまでとは異なるレベルの政治手腕を求めるようになるだろう。民主党、自民党を問わず、若手の閣僚や政治家たちは、地震とツナミ災害後、決意を示すとともにバランス感覚を発揮し、従来の政治家とは一線を画す行動をみせ始めている。歴史的にみても、日本では危機に直面すると、狼狽している長老政治家を尻目に若手が大胆な行動をみせる下克上によって時代が形作られてきた。いまや日本は、そのような時代を再び迎えつつある。・・・災害に襲われ苦難のなかにあるとはいえ、高い志をもつ若手の政治家世代が自分たちの出番を待っていることを忘れてはならない。

  • 災害が表面化させた日本の弱さと強さ
  • 成長戦略を描けるか
  • 政治家のリーダーシップ、危機管理能力が問われる
  • 災害後の日米同盟
  • 3・11後の近隣諸国との関係はどうなるのか
  • 国家の意思

<災害が表面化させた日本の弱さと強さ>

2011年3月11日に日本を襲った壊滅的な地震、ツナミ、そして原子力事故は、自然の怒りを前にすれば、人間がいかに無力な存在であるかを世界に思い知らせた。日本が世界の最先端をいく国の一つで、災害対策のもっとも進んだ国だっただけに、衝撃は大きかった。

今回の悲劇は、世界の主要国としての地位を日本が維持していく上で直面していた大きな課題を改めて浮き彫りにした。

少子高齢社会を象徴するように、犠牲者の多くが高齢者だった。最近における政治の不安定化を象徴するように、この5年間で6人目の首相の災害対応に人々はいらだちを露わにしている。エネルギー資源に乏しいがゆえに、地震やツナミという災害に見舞われやすいにも関わらず、原子力に依存していたことが裏目にでた部分もある。そして、日本が置かれている経済的苦境も改めて認識されつつある。・・・

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