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に関する論文

日韓の核武装論を再検証する
―― 核拡散の連鎖を防ぐには

2026年6月号

ビクター・チャ ジョージタウン大学 特別教授
クリスティ・ゴヴェラ オックスフォード大学 准教授(日本政治・国際関係学)

韓国での世論調査では、核武装への支持率が75―80%に達し、日本でもかつてタブーとされてきた核問題についてオープンな議論をすることに、市民の56%以上が賛成している。こうしてメディアは、両国の核武装論を大きく取り上げるようになった。だが、実際の政策に大きな影響力をもつ両国の戦略エリートの多くは核保有に慎重な態度を崩していない。むしろ、単独で核を保有するよりも、アメリカとの同盟関係を通じた「核の共有」を模索する方が好ましいと考えている。ただし、こうした現状も、駐留米軍の規模が削減されるか、あるいは、日韓のどちらかが、核保有へ動けば、大きく揺るがされる危険がある。

重要鉱物という不確実性
―― 求められるルールと規制

2026年6月号

ラバ・アレズキ フランス国立科学研究センター 研究ディレクター
フレデリック・ファンデルプルーフ オックスフォード大学 経済学教授
マイケル・ロス カリフォルニア大学ロサンゼルス校 教授

重要鉱物を取り巻くテクノロジー進化の軌道も地政学的な構造も、誰が基準を設定し、採掘ルールを執行し、供給をめぐる紛争を裁くのかも大きな不確実性のなかにある。問題は「資源の呪縛」や中国の独占状況だけではない。何にどの重要鉱物が必要とされるかは、技術の進化によって決まるために、投資判断が非常に難しい。つまり、技術が進化すれば、ほぼ一夜にして無駄になる恐れのある資源への過剰投資のリスクがある。しかも、重要鉱物資源は紛争に悩まされる領有権論争のある地域に存在することが多く、その採掘や精製は石油よりも労働集約的で、市場の風向きも短期間で変わる可能性がある。どうみても、ルールと規制を含む、重要鉱物のより大きな管理システムが必要とされている。

北朝鮮の驚くべき台頭
―― 金正恩の勝利

2026年6月号

チュン・H・パク 元北朝鮮問題担当米特別代表

驚くべき運命の逆転によって、現在の北朝鮮はいかに想像力たくましい専門家も予想できなかった形で台頭し、世界ののけ者から世界的なパワープレーヤーへと変貌を遂げている。新たなネットワークと能力を保有し、核保有国であり続けることへの黙認も存在する。北朝鮮の兵士がウクライナ戦争でロシア兵と共に戦い、いまや北朝鮮は反欧米陣営の一員として歓迎されている。新たな立場と能力を得て、近隣諸国を脅し、威圧する危険は高まっている。実際、金正恩は米韓同盟を試し、北京とモスクワがそれにどう反応するか見極めようと、具体的な行動をみせるかもしれない。

経済戦争をいかに戦うか
―― 分断された世界と経済的繁栄

2026年6月号

エドワード・フィッシュマン 米外交問題評議会 地経学センター ディレクター

各国は自国の経済的影響力がどこに存在するかを特定し、ライバルに対して影響力を行使するためのツールを考案している。これは、経済的軍拡競争に他ならない。経済戦争に向けた武装を進める一方で、他国が自国に対して使用する可能性のある経済兵器に対する防壁を築いている。この状況で、世界経済が対立するブロックに分裂していくと警告する専門家もいる。しかし、より大きな危険は、あらゆる国が利己的な経済行動をとり、1930年代に世界経済を崩壊させ、世界を第二次世界大戦へ向かわせたような、混沌とした分断が引き起こされることだ。それを回避する道は存在するのか。

戦争とシーア派の覚醒
―― 呼び覚まされた不安と恐怖

2026年6月号

ハミドレザ・アジジ ドイツ国際政治安全保障研究所 客員フェロー

イラン戦争は、様々な領域でシーア派の不安と恐怖を高め、そのアイデンティティ志向を高めた。シーア派系の政治・軍事アクターも、利益とリスクをどのように判断するかの基準を見直している。こうして、2023年以降、数多くの挫折と弱体化を経験してきた抵抗の枢軸にも、再生の流れが生じている。だが今回は、テヘランによる調整を通じてではなく、むしろ苦境に立たされたシーア派のアイデンティティが促す、より自然な衝動によって、抵抗運動が再生されるだろう。イランとその地域ネットワークを弱体化させることを目的とした戦争が、それを支える社会的・政治的条件を強化してしまうかもしれない。

米欧中トライアングル
―― 米欧対立とヨーロッパの選択

2026年6月号

達巍 清華大学 国際安全保障・戦略センター所長

ヨーロッパにとって、アメリカとの対立は、中国との間で抱える課題以上に大きな危険をはらんでいる。中国との対立が主に貿易などの物質的利害にかかわるものであるのに対して、アメリカとの対立は欧州統合やリベラルな価値といった「アイデンティティ」そのものにかかわってくるからだ。実際、欧州右派を擁護するトランプ政権の攻撃的ナショナリズムは、ヨーロッパの統合プロジェクトそのものを脅かしている。アメリカに対抗するために、ヨーロッパが「中国カード」を切る可能性、あるいは、中国が「ヨーロッパカード」を切る可能性はどれくらいあるのか。それとも、世界は文明の衝突へ向かっていくのか。

米国に背を向けたアラブ諸国
―― 中ロと欧米の逆転

2026年6月号

アマネイ・A・ジャマル アラブ・バロメーター 共同創設者
マイケル・ロビンス アラブ・バロメーター ディレクター

アラブ諸国政府はすでにアメリカとの関係を遮断し始めるか、ワシントンとの取引の一部を国内社会に伝えず、隠すようになった。アメリカとイスラエルが、イラン戦争を始めた結果、湾岸諸国は大きな被害を受け、一部の指導者はアメリカの金融機関からの資金引き揚げを検討している。いまやアラブ世界では、中ロの方が、欧米よりも道徳的優位をもつと考えられている。アメリカは、正統性を喪失している。

ハンガリーを超えて
―― 世界の民主化運動が学ぶべき教訓

2026年5月号

ロリーヌ・レーデイ テキサス大学オースティン校 公共政策大学院准教授(国際関係論)

「政府に友好的なオリガルヒを通じて経済的影響力を行使し、党に忠実な支持者を責任者に任命して社会・文化・メディア組織を支配する」ビクトル・オルバンの権力システムは、国内で「競争的権威主義」体制を築こうとする世界の独裁者たちのモデルとされてきた。だが、この支配体制にも、権威主義政権の与党に有利な選挙の区割りと制度にも、落とし穴は存在した。民主派は、野党勢力を結集し、与党が作り出した社会的分断を逆手にとり、その政治腐敗、悪化する行政サービスや高インフレへの対応に失敗したことを選挙の争点に据えた。ハンガリーでの民主派勢力の成功は、競争的権威主義体制下にある各国の野党が学ぶべき教訓を示している。

国家資本主義の時代
―― 地政学的混乱と政府の経済介入

2026年5月号

ジャミ・ミシック 元キッシンジャーアソシエイツ会長
ピーター・オルザック ラザード 最高経営責任者
セオドア・ブンゼル ラザード地政学 アドバイザリー マネージングディレクター

貿易戦争、重要鉱物の輸出規制、そして大西洋同盟の亀裂を含む、地政学的混乱が、新たな経済手段を迅速に整備することを政府に迫り、すでに各国は国家資本主義へ深く足を踏み入れている。国の経済安全保障のために、企業行動の変化を強制する必要性があると考える政府は、輸出管理制度、投資審査メカニズム、補助金制度を駆使している。ますますホッブズ的な国際環境になる現状では、これまで以上に政府介入が必要なのかもしれない。しかし、経済ルールを政治家の恣意的な気まぐれに完全に置き換えるのは、大きな地政学的過ちにつながる。強権的で不安定な国の介入は、経済活動や競争を急速に萎縮させてしまう恐れがある。

強大化するドイツパワーの危うさ
―― 欧州の分裂と大国間競争リスク

2026年5月号

リアナ・フィックス 米外交問題評議会 シニアフェロー(欧州担当)

このままの流れが続けば、2030年までにドイツは再び軍事大国になる。ヨーロッパは「ロシアの脅威に対抗してドイツが再軍備軌道にあること」を全般的に歓迎しているが、慎重に考えるべき部分もある。ドイツの軍事的優位は、いずれ安全保障のジレンマを引き起こし、大陸内に分断をもたらすかもしれないからだ。特に極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が政権を握れば、そのような悪夢が現実になる危険は大きくなる。ドイツは自らの強さに伴うリスクを認識して、より深く統合されたヨーロッパの軍事構造に自らの防御力を組み込むことで、自制しなければならないし、近隣諸国は、どのような防衛統合を望むかを明確に示す必要がある。

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