南アジアにおける平和の構築
2002年11月号

カシミールはごく最近まで一触即発の危険な状態にあった。インド側は挑発的な行動をとっていたし、攻撃のための軍事能力も整備していた。現在はどのような状態にあるのだろうか。攻撃の意図は薄れつつあるが、軍事能力は依然としてそこに存在する。そこに印パ双方の軍事力が存在し、二つの勢力が対峙している限り危険は残る。攻撃の意図が一夜にして変わることは十分にあり得るからだ。
1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。
2002年11月号
カシミールはごく最近まで一触即発の危険な状態にあった。インド側は挑発的な行動をとっていたし、攻撃のための軍事能力も整備していた。現在はどのような状態にあるのだろうか。攻撃の意図は薄れつつあるが、軍事能力は依然としてそこに存在する。そこに印パ双方の軍事力が存在し、二つの勢力が対峙している限り危険は残る。攻撃の意図が一夜にして変わることは十分にあり得るからだ。
2002年11月号
サダム後のイラクについて十分な検討をしていないことについては、ブッシュ政権は批判されてしかるべきだ。サダム政権の打倒を、アラブ世界の民主化の序章としなければ意味がない。そうしない限り、われわれは歴史的な機会を失ってしまう。アラブ世界がアメリカのサダム・フセイン追放策に一致団結して反対しているというのは、おとぎ話にすぎない。イラクの近隣諸国政府は、国内の反発を恐れて公にはアメリカのイラク政策に反対しているが、プライベートな場では、アメリカのイラク政策を強く支持している。
2002年11月号
経済的後発性や停滞が生み出す悲惨な現実や絶望が国際的なテロリズムの背景にある。したがって、より豊かな生活ができるようになると人々が希望を抱くようになれば、民衆がテロリズムに魅了されることも少なくなり、アラブ・イスラエル紛争への打開への道も開けてくる。一連の経済開発構想をつうじて生まれる経済的絆が政治的絆を育むようになれば、人々は痛ましい過去ではなく、期待に満ちた未来に目を向け、暴力と敵意は平和と友好に置き換えられることになる。
2002年11月号
他の追随を許さぬパワーを手にしたアメリカは、いまやハイパーパワー(超国家)としての地位を手にしているだけでなく、アメリカ的価値を反映する平和・民主主義・市場経済思想がグローバル・スタンダードとされている。だが、そのアメリカも、平和・民主主義・市場経済思想となじみのよい安全保障、経済上の国際的公共財を一人で維持していく力と政治的意思はないし、そうした思想が根付いていない地域にこれを強引に導入させる力もない。今後の秩序は、「アメリカが国際的公共財の維持のためにこれからも大きな役割を引き続き受け入れるのかどうか」、そして、相手地域の文化がいかに変貌するかによって左右されることになる。
2002年11月号
アラブ世界で反米主義が花盛りである理由は、アメリカの政策に民衆が反発しているからではない。アラブ世界の急進派だけでなく、穏健派の政権にとっても、反米を煽り立てるのが、国内の支持をとりつけ、たいしたコストも支払わずに政治的目的を実現する上で限りなく好都合だからだ。ワシントンが譲歩をこれ以上重ねれば、彼らはますますアメリカを侮辱する態度をとるようになり、反米主義路線を取ることの魅力をますます高めてしまう。反米主義を作りだし、煽るような中東のシステムやメカニズムが淘汰されて初めて、大衆の立場も変化してくることを認識する必要がある。
2002年11月
今回の討論は、欧州連合(EU)が最近開発を進めている衛星ナビゲーション・システム(ガリレオ)について、また、ガリレオがアメリカの戦略的、政治的、経済的利益に与える影響について考察することを目的とする。アメリカとEUがGPSとガリレオとの間の互換性と相互運用性を確保するように協調するならば、ガリレオは世界中のユーザーが使用する衛星ナビゲーションとタイミングサービスの質を高めるだろう。しかし、協調しなければ、ガリレオはGPSに対する大きな脅威となり、世界中のユーザーに対して好ましくない影響を与えることになる。さらに、これらの二つのシステムが競合した場合、GPSを改良する努力を強化しない限り、最終的にガリレオが勝利を収めることになろう。
2002年11月号
以下は、この秋にフォーリン・アフェアーズ誌上で発表されたアメリカの覇権と単独行動主義をテーマとする三論文、「アメリカの覇権という現実を直視せよ」(ステファン・G・ブルックス&ウィリアム・C・ウォールフォース、「論座」二〇〇二年九月号)、「ジョージ・W・ブッシュの世界像」(マイケル・ハーシュ、同十月号)、「新帝国主義というアメリカの野望」(G・ジョン・アイケンベリー、同十一月号)に寄せられた反論とコメント。
2002年11月号
サダム後のイラクについて十分な検討をしていないことについては、ブッシュ政権は批判されてしかるべきだ。サダム政権の打倒を、アラブ世界の民主化の序章としなければ意味がない。そうしない限り、われわれは歴史的な機会を失ってしまう。アラブ世界がアメリカのサダム・フセイン追放策に一致団結して反対しているというのは、おとぎ話にすぎない。イラクの近隣諸国政府は、国内の反発を恐れて公にはアメリカのイラク政策に反対しているが、プライベートな場では、アメリカのイラク政策を強く支持している。以下は二〇〇二年九月二十四日にニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラムの議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2002年10月号
2002年10月号
CTBTを米上院が承認しなかったのは、この条約を受け入れれば、「抑止と防衛」を犠牲にして、「脅威を削減するような国際環境を形作る」ことを重視せざるを得なくなると考えたからだ。批准拒否のプロセスは、「条約によって軍備管理を試みる流れが完全に途絶えたこと」を意味する分岐点だったかもしれないし、アメリカ外交にとっての分水嶺だったかもしれない。条約の拒絶は、単独行動主義が国際主義を抑え込んだ歴史的瞬間だったかもしれないからだ。