1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

CFRインタビュー
ブッシュ大統領の
歴史的評価は平均以下となる

2008年3月号

ジェームズ・M・リンゼー テキサス大学国際安全保障・法律研究所ディレクター

ジョージ・ブッシュは平均以下の大統領としかみなされないだろう。イラクでの困難な戦争を決着させられなかったし、国内でも、社会保障プログラム、移民問題などに結論を出せなかった。ひとことで言えば、機会を生かせなかった大統領とみなされるはずだ。
 ジョージ・ブッシュの大統領としての評価についてこう語るアメリカの内政と外交の専門家、ジェームズ・リンゼーは、「ブッシュ大統領はアメリカのパワーで何が達成できるかを過大視し、……結局『誰もついてこなくても自分はやる』と言い出した。だが、2003年にはアメリカだけでは手に負えないアジェンダを抱え込んでいたし、すでにこの時には孤立していた」と指摘し、北朝鮮、イラン、そして国際協調についても、「機会をうまく生かせなかった大統領」として記憶されることになると示唆した。
 聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgの副編集長)。

CFRインタビュー
民族・宗教で読み解く米大統領選挙

2008年3月号

ウォルター・ラッセル・ミード 米外交問題評議会シニア・フェロー

一般的に言えば、現在のアメリカの政治状況では、2人の責任ある候補たちが大統領選挙を戦うとして、有利なのはよりタカ派の候補だろう。民主党候補も、イラク戦争の全体像、本質、現地情勢からみれば、早期撤退を明言できない。とりわけ、軍の最高指揮官である大統領になるのなら、そうは断言できない。逆にマケインはこの点をうまく追い風にしたいと考えている。もちろん、マケインがこの賭けにうまく成功するかどうかはわからない。
 こう指摘する歴史家のウォルター・ラッセル・ミードは、マケインが南部キリスト教右派を取り込むには、ハッカビーよりもサム・ブラウンバックを副大統領候補に指名すべきだと述べ、一方、民主党の場合、黒人票とヒスパニック票の重要性の高まりに加えて、ビル・クリントンの政策に反発を感じ、彼のことを嫌っている民主党左派の反乱が起きていることに注目すべきだとコメントした。
 聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgの副編集長)。

「うまく経営されている企業が利害を有し、その本質を理解しているアジェンダに莫大な資源、専門知識、技能、マネジメントのスキルを投入すれば、他の組織や慈善団体よりもはるかに大きな社会的利益を導き出すことができる」。気候変動や水不足、感染症その他の地球の将来に大きな影響を与える問題に対処するうえで企業が応分の役割を果たすこと。これがグローバル・コーポレート・シチズンシップと呼ばれる概念の本質だ。たしかにグローバルアジェンダに対処するおもな責任は今も政府や国際機関にある。だが企業は、政府や市民社会グループと適切なバランスのパートナーシップを組んで、問題解決に大いに貢献できるはずだ。…グローバル・コーポレート・シチズンシップは社会における企業の前向きな役割を強化し、長期的な利益を高める企業の社会的関与の一形態であり、いずれ、企業をおもなステークホルダーに組み込んだ、新しいグローバル統治のモデルを示すこともできるようになる可能性を秘めている。

独裁体制と経済成長に因果関係はあるのか
――ロシア権威主義経済モデルの虚構

2008年3月号

マイケル・マクフォール   スタンフォード大学民主主義・開発・法治センター所長
キャサリン・ストーナー=ウェイス  スタンフォード大学民主主義・開発・法治センター副所長

1990年代のロシアでは民主化が進められたものの経済が低迷し、逆にこの10年は独裁体制が強化されたのに経済は大きく改善している。 しかし、現在のロシア政府のパフォーマンスはきわめて低く、治安、公衆衛生、腐敗、財産権の保障という面でみれば、現在のロシアの暮らし向きは、10年前よりも相対的に悪くなっている。ロシアの国際的な経済競争力、進出先あるいは取引先としての経済環境も悪化し、情報公開は進まず、政治的腐敗も深刻になっている。原油、天然ガスなど、原材料価格の高騰がロシア経済の大きな追い風となっているのは事実だが、それだけの話だ。ロシアの独裁体制と経済成長の間に何らかの因果関係があるとすれば、独裁制が成長に悪影響を及ぼしているということだ。

北極の海氷後退と資源争奪競争
――地球温暖化の経済・安全保障的意味合い

2008年3月号

スコット・G・ボルガーソン 外交問題評議会国際関係フェロー

地球温暖化が進むなか、北極の海氷の後退が速いペースで進んでおり、いまや北極海の航行ルートが開けるかどうかではなく、いつそのルートが定期的な海洋運輸のためのシーレーンとして確立されるか、石油や天然ガスなどの魅力的な北極の天然資源の開発がどの段階で正式に可能になるかが注目されている。これほど権利関係が曖昧で、劇的に変化し、限りなき経済的ポテンシャルを秘めている海域はかつて存在しなかった。手つかずの資源と大きな経済的ポテンシャルを持つ北極地方が、大西洋と太平洋を結び、これまでよりも距離の短い航路で結ばれるとなれば、今後、この地域が国際政治の大きな争点とされることは間違いない。

Classic Selection
CFRミーティング
馬英九が語る 中台関係の過去と未来

2008年2月号

スピーカー 馬英九  台北市長
司会    ジェローム・A・コーエン  米外交問題評議会非常勤シニア・フェロー

「台湾の中華民国政府は、1952年に日本に2国間会議を呼びかけ、4月28日に日華平和条約を締結した。この条約にも日本は占領していた領土への権利、権限、請求権を放棄するという条項が盛り込まれたが、やはり領土が誰のものになるかについての言及はなかった。ただ、この条約が当時、中華民国の外交部長(外相)だった叶公超が代弁する中華民国政府と日本との間で調印されたことは明らかである。日華平和条約が日本と台湾の間で調印されたことはきわめて明白であり、国際法の原則に基づき台湾は中華民国の領土に復帰したと解釈されるべきだ」

(Classic Selection とは、現在の情勢を理解するうえで有益と思われる過去の掲載論文の再録です。本文の内容、及び著者の肩書きは掲載当時のものです)

中国の民主化は一進一退を繰り返しながらも、先に進んでいる。必要なのは、一握りの支配層の権威と判断に依存するシステムから、広く受け入れられている拘束力のあるルールによって政府を運営するシステムへの移行を完遂させることだ。
地方での選挙、司法制度の改革、監督体制の強化をめぐって中国が現在進めている民主化の実験は、すべてルールを基盤とする制度への移行というトレンドのなかで行われているし、中国社会も開放化と多元性を模索して、しだいに市民社会の形成へと向かいつつある。大きな鍵を握るのが、胡錦涛の後継者がどのようにして選ばれるかだ。共産党メンバーの一部は、胡錦涛が引退する2012年までに、彼の後継を担う党総書記は、党中央委員会のメンバー全員の投票によって選ばれるようになるかもしれないと考えている。
孫文が1世紀前にそう望んだように、現世代の指導層も、民主主義こそ、中国人が長年にわたって模索し、命をかけて戦ってきた繁栄、独立、自由を実現するための最善の道であると考えているかどうか、今後の後継者選びがそれを測る大きな目安となる。

CFRインタビュー
なぜイラクから
撤退すべきではないか

2008年2月号

ジョン・マケイン 米共和党予備選・大統領候補

民主党が求めるように、ここでイラクから撤退すれば「これまでの成果は台無しになるし、この地域はカオスへと陥って大量虐殺事件が起き、アルカイダが再び息を吹きかえすことになる」。
イラクから撤退すべきでない理由をこう指摘した共和党のマケイン候補は、「かなり長期間にわたって(イラクに)米軍を展開させる必要がある」と語る。
イランとの交渉路線については、「私は、テロやイスラエルに対して極端な意見を持っている大統領にそれを宣伝するフォーラムの場をあえて与えたいとは思わない」と述べ、否定的であることを示唆した。
聞き手は、ロバート・マクマホン(www.cfr.orgの副編集長)。(邦訳文は英文からの抜粋)

Page Top