
経済成長率だけでは国を判断できない。いまや次なる覇権国との呼び声の高い中国も、社会保障を強化して、経済成長よりも社会的安定を選ばざるを得ない状況に直面し、必然的に成長率は低下していく。何が国を偉大な存在にするのか。大規模な人口、経済力、軍事力だけでは十分ではない。・・・比類なき研究・開発への取り組みと高い高等教育のレベル、そして、他国の利益も高めるようなやり方で自国の利益を模索し、世界の公共財を高めて行く路線を取ることが必要だ。この路線を取ったがゆえに、20世紀には、アメリカの行動を待望する各国の期待が育まれていった。中国やロシア、あるいはヨーロッパや日本が、自国の利益を超えた領域での行動をとるだろうか。アメリカを世界の中枢を担う「規格外国家」としている最大の要因は、国益を国際的な公共財へと変化させるリベラルな思想を持っていることだ。