1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

論文データベース(最新論文順)

人道的悲劇にどう対処する
――人間の安全保障と「保護する責任」

2008年5月号

スティーブン・グローブズ ヘリテージ財団研究員
スチュワート・M・パトリック グローバル開発センター研究員

「大量虐殺、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する犯罪から」他国の人々を「保護する責任」を引き受ければ、「アメリカの主権、国家安全保障や外交政策をめぐる意思決定権の一部を、国際社会の気まぐれに委ねることになる」。「保護する責任」は、説明責任を負わない市民社会のアクターが盛り上げた正統性のない規範であり、この規範は、アメリカの行動の自由を制約し、不必要にアメリを紛争に巻き込んでしまう。(S・グローブズ)
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「もちろん、問題が起きている地域のすべてにわれわれが介入するわけにはいかない。だが、これをどこにも介入しないことのいいわけとしてはならない。大量虐殺や人道に対する犯罪が起きないように努め、それでも悲劇的な事件が起きた場合には、介入してそうした行動をやめさせることは、アメリカの道徳的利益に合致する」(S・M・パトリック)

CFRインタビュー
アジア太平洋諸国は次期米大統領に
何を期待しているか

2008年4月号

アラン・ギンジェル  ローウィー国際政策研究所所長

「アジア・太平洋地域は、世界的にみても、グローバル化、自由貿易の価値と意志をもっとも切実に感じている地域であり、アメリカがしだいに保護主義へと傾斜しつつあるかに見えることをわれわれは懸念している。健全で開放的なグローバル貿易システムは、アメリカの支持がなければ、その存在が危うくなる」。豪ローウィー国際政策研究所所長のアラン・ギンジェルは、民主党の大統領候補たちの保護主義的な貿易レトリックにこう懸念を表明した。
 少年期をインドネシアで過ごしたオバマであれ、ベトナム戦争期に捕虜として北ベトナムに抑留されていたマケインであれ、東南アジアを理解する人物が、米大統領になるとすれば画期的なことだ、と東南アジアが米大統領選挙に大きな関心を寄せていると指摘した同氏は、それでも、21世紀の秩序を形作る非常に重要な関係はもっと北の中国とアメリカの関係になるとコメントしている。
  聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
ロシアは欧米との関係改善を模索する

2008年4月号

アンドレイ・A・ピオントコフスキー (モスクワ)戦略研究センター所長

「メドベージェフとプーチンが対立していくかどうかはともかく、いずれ、メドベージェフとプーチンに仕える官僚たちが対立しだすのは避けられない」
 「二つのパワーセンターを抱え、ロシアはかつて経験したことのない海域へと入りつつある」と指摘するモスクワの戦略研究センター所長、アンドレイ・ピオントコフスキーは、一方で、欧米との関係は改善していくだろうと今後を予測する。そう考えるのは、メドベージェフが権力者になったからではなく、政治的必要性としての欧米との敵対路線、戦略的必要性としての欧米との協調路線が作り出すサイクルのなかで、対立局面が終わりつつあるからだと同氏は語った。
  聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティニグ・エディター)。

CFRインタビュー
資源大国アフガニスタンの
治安と開発のジレンマ

2008年4月号

アンワルルハク・アハディ  アフガニスタン財務相

アフガニスタン政府は、治安確保と経済開発という二つの戦線で同時に戦わなければならない状態にある。「最低限の治安確保こそ、経済開発の前提だが、……紛争が沈静化するまで、国の再建と開発を先延ばしにすることもできない」。
 治安と開発のジレンマをこう指摘するアフガニスタン政府のアハディ財務相は、ケシ栽培の撲滅と歳入の増大という大きな目的の実現に向けて着実に成果を挙げていると強調し、援助の効率化・合理化を図るために、国際社会が援助を政府に与え、これを経済開発資金として予算化することを認めて欲しいと訴えた。
 資源に恵まれたアフガニスタンへの資源開発投資が、経済を上向かせる起爆剤となるのか、それとも、治安への不安が投資を遠ざけてしまうのか。いまやアフガニスタンは大きな分岐点にさしかかろうとしているようだ。
  聞き手は、グレッグ・ブルーノ(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

中国とインドはアフリカをめざす
 ――中印との貿易をアフリカの経済開発につなげるには

2008年4月号

ハリー・G・ブロードマン  世界銀行アフリカ地域経済顧問

 アフリカと中国、インドの貿易がこれまでにないペースで拡大しており、アフリカの指導者は、現在の中国とインドとの経済関係をもっとうまく利用して成長に弾みをつけるべきだろう。中国とインドのアフリカへの進出拡大は、アフリカ諸国が限られた一次産品への極端な依存状況から脱し、労働集約的な軽工業品とサービス産業へとシフトしていく大きな機会を提供している。
 この機会を生かすには、改革を通じて市場競争力や統治の質を高め、インフラを整備し、好ましい投資環境を整備しなければならない。改革がきちんと実行されれば、中国とインドのアフリカへの経済進出は、世界の最貧層の3億人が暮らし、最も困難な開発上の問題を抱えるアフリカの発展と世界経済への統合を実現するためのかつてない呼び水になるかもしれない。

中国とインドはアフリカをめざす
―― 中印との貿易をアフリカの経済開発につなげるには

2008年4月号

ハリー・G・ブロードマン 世界銀行アフリカ地域経済顧問

アフリカと中国、インドの貿易がこれまでにないペースで拡大しており、アフリカの指導者は、現在の中国とインドとの経済関係をもっとうまく利用して成長に弾みをつけるべきだろう。中国とインドのアフリカへの進出拡大は、アフリカ諸国が限られた一次産品への極端な依存状況から脱し、労働集約的な軽工業品とサービス産業へとシフトしていく大きな機会を提供している。この機会を生かすには、改革を通じて市場競争力や統治の質を高め、インフラを整備し、好ましい投資環境を整備しなければならない。改革がきちんと実行されれば、中国とインドのアフリカへの経済進出は、世界の最貧層の3億人が暮らし、最も困難な開発上の問題を抱えるアフリカの発展と世界経済への統合を実現するためのかつてない呼び水になるかもしれない。

人民元の切り上げ要求は間違っている

2008年4月号

デビット・D・ホール  アメリカン・プロスペクト誌共同編集長
リリック・ヒューズ・ホール チャイナ・オンライン発行人 

ワシントンでは人民元の切り上げで米中間の貿易不均衡を是正できると考えられているが、そもそも貿易不均衡は米議会が考えているほど大きな脅威ではない。中国の貿易黒字の拡大を、中国が世界経済、そしてアメリカの企業と消費者に数多くの利益をもたらしている結果とみなすこともできる。
 ……人民元の切り上げを求めていかに熱い議論を展開し、仮にそれが実現するとしても、アメリカの対中貿易赤字が削減するとは考えにくい。むしろ、中国の経常黒字を減らし、貿易収支を均衡させると思われるのは、中国の税制改革、企業・金融部門の改革、段階的な企業の財務状況の公開、内需拡大の奨励策だろう。
 より重要で大きな課題は、中国のグローバル経済への統合プロセスをいかにしてうまく成功させるかだ。そのためには、9番目のメンバーとしてG8に中国を迎え入れるための改革を行うべきだ。

CFRインタビュー
分裂する中国社会と
ナショナリズムの行方
――チベット問題は氷山の一角にすぎない

2008年4月号

エドワード・フリードマン  ウィスコンシン大学政治学教授

経済開放政策が中国社会を揺るがしている。現状の開放策を維持するか、それとも中国らしさを支える伝統的な価値へと回帰するかをめぐって、地域も軍もナショナリストたちさえも内に分裂を抱えている。
 改革開放路線を導入した鄧小平は、当初から「反帝国主義スローガン」に代わる国の統合と連帯を図るツールが必要なことを理解していた。経済開放策を導入しようとしているのに、「反帝国主義スローガンではなじみが悪い。そこで、(国を束ねるツールとして)誕生したのがナショナリズム路線だった」。だが、あまりにナショナリズムを多用すれば、近隣諸国の多くをアメリカ側へと追いやってしまうことに気づいた胡錦涛は、一転、近隣諸国への柔軟外交に転じた。
 そしていまやナショナリストたちは、アメリカとの良好な関係を可能な限り維持するか、それとも、ヨーロッパや東南アジアとの貿易と投資の流れをもっと強化し、アメリカへの依存状況を軽くするかで割れている。
 邦訳文は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)のエドワード・

CFRインタビュー
サイバースペースと
未来形戦争を考える

2008年4月号

ウィリアム・T・ロード 米空軍サイバーコマンド司令官

米軍は、軍が使用するサイバースペース、つまり、軍のデジタルリソース、コンンピューターインフラの防衛構想を強化している。
 米軍のサイバーコマンドの司令官に任命されたウィリアム・T・ロードは、サイバー空間の攻撃にはコストがほとんどかかからないために、攻撃してくる相手は数多くいると指摘し、「大規模な軍隊を持たない国も、現実世界では考えようもなかった攻撃を国その他のターゲットに挑めるようになった」と指摘し、「戦争のスタイルそのものが変わってくると思う」と今後を予測した。
  聞き手は、グレッグ・ブルーノ(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。

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