迫り来る「財政の崖」を考える
――世界経済、国際安全保障への余波は
2012年10月号
2012年末から2013年初頭にかけて、アメリカでは減税策の打ち切りと自動的な歳出削減のタイミングが重なることで、「財政の崖」と呼ばれる危機的な財政状況が出現すると考えられている。・・・仮に米議会が2012年末の増税と歳出削減の実施を一時的にでも回避できなければ、2013年に米経済は二番底に陥ると多くのエコノミストが考えている。米経済だけでなく、世界経済への余波も相当に大きなものになる。2012年7月のIMF(国際通貨基金)年次報告書は、2013年初めに予想される米経済の大規模な緊縮路線へのシフトは、「世界経済の安定を脅かす大きなリスクだ」と指摘している。・・・2012年末までに米議会での妥協が成立しなければ、米経済、世界経済、そして世界の安全保障は大きな不確実性に直面する。
