メリトクラシーと新エリート
―― 中間層の崩壊とエリートの呪縛
2020年2月号
法学者ダニエル・マルコビッチは、ここで取り上げる新著『メリトクラシーの罠』で、メリトクラシー(能力主義)の勝者たちは、エリート校を卒業するや、金融や法律などの領域で莫大な給料を得る「上位労働者」になると指摘している。「自分たちだけが実行できる仕事に大きな報酬が与えられるように経済的価値を定義し直し、あらゆる経済活動を自分たちの管轄にたぐりよせる」。こうして、中間層にとっては「停滞・枯渇し、縮小する世界」が作り出された。機会の平等のためのツールとしてメリトクラシーを正当化し、その結果、格差がこれまでにないレベルに拡大し、特権を覆すどころか、メリトクラシーの勝者には効率的な相続メカニズムの基盤が提供された。・・・但し、このマルコビッチの見方に説得力はない。・・・